新 呪いのシリーズ/闇色の誘惑(曽祢まさこ)
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965 名前:1/3 :2009/11/06(金) 22:08:52
- 呪術師カイ シリーズ 「闇色の誘惑」 曽根まさこ
呪術師カイは、10年分の寿命と引き換えに呪殺を請け負う。
カイの影(しゃべる黒猫)は、殺意をもつ人の前に現れ、カイへの呪殺依頼方法を教える。
カイの旧友のサラは、非常に優秀な占い師。愛理が幼い頃両親が離婚して、愛理は父親に引き取られた。
愛理が小学校低学年のとき、知らない女性(サラ)が愛理父を尋ねてきた。
事業を営んでいる愛理父は、サラに相談していたのだが、サラのアドバイスを
2度も無視したためにがけっぷちに追い詰められていた。
サラは”元”顧客に別れをつげに来たのだ。
サラは愛理に気付くと、「将来あなたのところに不思議な黒い猫が現れる。
その時は、よく考えて慎重に行動するのよ。道は一つではないのだから」と告げた。翌日、愛理父は車の運転を誤って死んだ。
しかし愛理は、事業に失敗して破産した愛理父が自殺したのだと思った。愛理は母親に引き取られた。母親は×1の男性(連れ子あり)と再婚していたので、
愛理に血のつながらない父(養父)と兄が出来た。
養父も兄も愛理を娘として、妹として愛してくれたので、愛理はすぐに新しい家族が大好きになった。愛理はやがて兄に恋するようになった。
しかし、愛理が中学生のとき、愛理の気持ちに気付いた母親が言った。
「あなたと兄は異母兄妹なのよ」
養父と母親は幼馴染同士で、高校生の頃に付き合っていた。
愛理父と結婚後、偶然再会し、母親は今でも養父が好きなことに気付いて不倫関係になった。
養父の家庭を壊す気はなかったのですぐに別れたが、愛理はそのときの子だった。
妊娠に気付いた母親は、愛理父に正直に事情を話すつもりだった。しかし手放しで
「子供が出来た!」と喜ぶ愛理父を見たら、とても言い出せなかった。
子供は無事産まれた。親バカ全開の愛理父の姿を見て「妻として母として尽くそう」と
思っていた。だが養父の妻が事故死したと聞いて、どうしても養父に会いたくなって離婚した。
愛理が自分の子であることは、養父も知らない。
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966 名前:2/3 :2009/11/06(金) 22:09:33
- 「実の兄なら、諦めるしかない。でも、母親のことは一生恨んでやるから!」と叫んで
愛理は自室に閉じこもり、泣いた。
愛理父を裏切った母親が許せなかった。兄への気持ちが捨てられなかった。
泣いていた愛理はふと気付いた。
愛理と兄が血がつながっていると知っているのは、母親だけ。母親さえいなければ…
その時、突然黒猫が現れた。「殺したいほど憎いやつがいるなら、呪術師カイに依頼するといい」と
告げ、カイに会う方法を教えて、姿を消した。
愛理は母親に強い殺意を抱いていた。しかし同時にサラの言葉(そのときは、よく考えて(ry)を
思い出し、カイの所へは行かなかった。
養父と兄を困らせないために、母親とも仲直りした。兄は大学生になって、彼女が出来た。女ストーカーも出来た。
ストーカーは兄に「あなたと私は結ばれる運命なのよ」と執拗にメールを送り続けた。
兄の誕生日の一ヶ月前になると、手作りのバースデーカードと一緒に自分の生爪を1枚
送りつけてきた。
バースデーカードには、「あと30日。誕生日は一緒にお祝いしましょう」と書かれていた。
兄を守るため、愛理はカイにストーカーの呪殺を依頼した。
ストーカーは、ベランダから落ちて死んだ。その後愛理は兄友人と付き合いだし、兄カップルとダブルデートしたりするようになった。
兄は無事に就職先が決まり、卒業してすぐに結婚した。
週末はよく、愛理は兄友人と一緒に兄夫婦宅へ訪れた。
ある日、兄が沈んでいるので理由を聞くと、「私があなたの運命の相手よ」というメールが
何通も送られてくるのだと言う。
その時宅配便が届いた。箱を開けると、中には腐ったりんごがいくつも詰まっていた。
兄夫婦は異様な「贈り物」に青ざめた。
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967 名前:本当にあった怖い名無し :2009/11/06(金) 22:10:19
- 帰宅し、自室で独りになった愛理は考える。
大好きな兄。誰にも渡さない。少しずつ追い詰めて、いつか別れさせてやる。
それにしても青ざめて落ち込んでる兄を見てると、ゾクゾクする。もっと意地悪したくなる。
次はどんな手で行こうかな。家の外にはカイとサラが立っていた。
「恋心を無理に押さえつけたから、歪んでしまったのね。もう誰にも止められないわ」
サラは悲しげにそう言って、愛理の未来を語った。愛理の嫌がらせはエスカレートし、兄妻は流産してしまう。
兄は愛理が嫌がらせをしていたことに気付き、軽蔑と哀れみと共に絶縁宣言する。
愛理は絶望のあまり、包丁で兄を刺し殺す。
そして愛理は精神の均衡を決定的に崩し、生涯に渡って夢を見続ける。
大好きな兄と二人で過ごす、幸せな時間の夢を。—————————–
こんなことなら、さっくり母親を殺して、禁断の兄妹愛に突入した方が
まだよかったような気がする。