ジョニーは戦場へ行った

632 名前:本当にあった怖い名無し :2010/03/21(日) 22:42:15
>>40年くらい前の米映画の
「ジョニーは戦場に行った」を彷彿させられるね。
もう既出かもしれないけど

ジョニーという青年が第一次世界大戦に出征して
砲撃を受け、両手足、目、鼻、口、耳、舌、と五感のすべてを
失って芋虫のようなただの肉塊として
「氏名不詳の重症患者404号(容姿で判別できないために)」となり
長らく野戦病院の倉庫の片隅に横たわっていた。

軍医達は彼にはもう意識も何も感覚もないと思っていて
それでも彼を生かしておくのは、純粋にこの「生ける肉塊」が
いつまで生きていられるか?という興味の為だけであり
ジョニーは何一つ人間的看護を受けることなく、ただ肺に
空気を送り続ける器具と、栄養を胃に送る管を取り付けられた
実験材料として「生存記録」の更新を続けていた。

しかし彼は「肉塊」ではなかった。
暗闇と絶望的な苦痛の中、混沌とした意識の中で
自分の今までの人生を思い出していた。

出征直前、彼は幼馴染の可愛い恋人と、初めての夜を過ごして
将来を誓い合っていた、また貧しいが愛情に満ちた家庭で育ち
幸せだった子供のころの思い出、将来の夢
・・・そして前線で至近距離での炸裂弾の衝撃。


633 名前:632 :2010/03/21(日) 22:43:27
何も見えない聞こえない、喋る事も動く事も出来ず
ただ苦痛のみの現状に、ジョニーは絶望して
やがて、人としての感情を失い
ただ息をしている状態となっていったが
ある日ジョニーを世話する看護婦が交代して
メリーという若い女性が担当になった。

彼女は「肉塊」のジョニーに対して、窓を開けて日光を浴びせ
朝を感じさせたり、クリスマスにはジョニーの胸に
「メリー・クリスマス」と書いたりして、きちんとした
人間としての看病をした(彼に意識がある事は知らない)

そういうメリーの看護で、ジョニーは人としての感情を
取り戻し、何とか彼女と意思表示をする方法を考えた末に
モールス信号を思いつき、持てる能力の全てをかけて
必死で頭を枕に打ち付けた。


634 名前:632 :2010/03/21(日) 22:44:20
動くはずのないジョニーが動いた事にメリーは驚き、軍医を呼ぶ。
やがて、軍医や士官達はそれがモールス信号で
「自分を外に出してくれ!それが出来ないなら殺してくれ」と
訴えている事に気づき、愕然とする。

それはあってはならない事態だった。
つづき3

もしジョニーを世間に出せば、必然的に戦争というものへの
疑問を世間は感じるだろう、それは職業軍人である士官、
戦争を続けている政府にとって迷惑な話だったし
今までジョニーを「生ける肉塊」として実験材料に
していた軍医たちも同じだった。

事態を知った牧師やメリーの抗議を無視して、士官や軍医は
ジョニーの訴えを「ただの肉体的痙攣」として片づけ
メリーは看護役を解かれ、ジョニーはより人のいない奥の
部屋に運ばれてしまった。

そしてその夜、ジョニーが寝かされている部屋に忍び込んできた
人影があり、それはメリーだった。

彼女はジョニーに近づくと、空気を肺に送り込んでいた器具の
スイッチを切った。


635 名前:632 :2010/03/21(日) 22:46:05
彼女に出来るジョニーを救う唯一の手段だったが、そこへ
続き4

その時、異変を察知した軍医が飛び込んでて
メリーは犯罪人として部屋から連れ出され
ジョニーへの管はまた元に戻された。

そして軍医が部屋を出て真っ暗になった部屋の中で
ジョニーが打つモールス信号のベッドの軋みの音の
「タ・ノ・ム・ボ・ク・ヲ・コ・ロ・シ・テ」だけが
何度も響いているシーンでEND。

メリーという優しい看護婦が配属なったり
ジョニーのモールス信号は理解された時には
「これで彼は救われる」と安心したのに
結果はもっと悪い方に転がって
メリーは多分、何かしらの罪を弾劾されるだろうし
ジョニーは、多分もう死ぬまで人としての
意思疎通の機会は奪われてしまうだろうと思うと
最高に後味に悪い。

 

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