地獄とは神の不在なり(テッド・チャン)

67 名前:1/3 :2010/06/23(水) 21:03:37
文化の違いで思い出した。
テッド・チャンのSF短編小説、タイトル忘れた。

主人公は無神論者、妻はとても敬虔深い信仰者。
ある日妻が天使降臨に巻き込まれて死亡する。
妻が天国に昇っていく姿を多くの人が目撃した。

主人公は大いに嘆く。何より辛いのは、無神論者の主人公は
絶対に天国には行けない=妻とは二度と会えないことだった。
もし妻が地獄に堕ちていれば、主人公は喜んで後を追っていた。
地上から天国は一切見えないが、地獄は時たま見える。
そこでは生前と同じように人々が暮らしていた。
無神論者にとっては生きているのも地獄に堕ちるのもさして変わりはない。
妻と一緒なら地獄に堕ちても本望だった。
いや天国よりも良い。天国では人々は記憶の一切をなくし、神の子として祝されるという。
それでは仮に天国で妻と再会できても意味がない。


68 名前:2/3 :2010/06/23(水) 21:06:00
だが妻は昇天してしまった。そして主人公は天国に行けない。
天使降臨被害者の会にも参加したが、主人公の気持ちは晴れない。
参加者達の、神を信じ「家族が天に召されたことを喜びましょう」という論調についていけない。
とうとう主人公は決意する。天使降臨に立ち会おう。
天使降臨には様々な災害が伴う。嵐や地震、火事などに巻き込まれて大勢の人が亡くなる。
でも天使降臨で死んだ者は信仰の有無に関わらず、必ず天国へ行けるのだ。

主人公は全国各地に起こる天使降臨を追っかけ始めた。
追っかけ生活を初めて気づいたが、同じように天使降臨を生き甲斐としている人たちが大勢いた。
情報を交わしながら次にどこで天使降臨が起きるか推測し、各地を放浪する。
そんな生活の中、主人公は一人の少女と出会う。

少女は奇跡の体験者にして信仰の体現者だった。
彼女は幼い頃に天使降臨に立ち会い、命は助かったが両足が消失した。
それでも少女はめげない。体に神の息吹を感じると信仰を広める活動を行っていた。
ところが少女を二度目の奇跡が襲う。少女の足は元に戻り、五体満足になってしまった。


69 名前:3/3 :2010/06/23(水) 21:08:10
少女は初めて苦悩する。今までは悩む必要などなかった。
「神の愛により障害を負ったが私は幸せだ。だからあなたも頑張って」と堂々と言えた。
でも今は?神の奇跡を二度経験しただけでも希有なのに、さらに回復してしまうなんて。
この体で嘆き悲しんでいる人に励ましの言葉をかけられるのか?
少女はこれまでのような活動ができなくなってしまう。

そんな出会いをしながら、主人公の旅は続く。
とうとう天使降臨の兆しを見つけた。もう少し、というところで主人公は事故って死亡する。
死の瞬間、主人公は悟った。このまま地獄に堕ちるだろう。
神の愛は地獄に届かない。地獄に堕ちた者は永遠に神の御許にたどり着けない。
地獄に堕ちた者は生前と同じように暮らしているが、決定的に違うのだ。二度と神にまみえないのだから。
死の間際で信仰を理解した主人公は、神に愛されない絶望をかみしめながら死んでいった。

ところどころねつ造してるけど、大枠はこんなの。
宗教は理解できない…


71 名前:本当にあった怖い名無し :2010/06/23(水) 21:26:35
>>67
天国と地獄の存在は肯定してるってのは、
無神論者ではあっても無宗教者ではないのか?

なんか今まで、無神論者って
「死後の世界など存在しない、生物は死んだらただ消滅するだけ」
みたいな考え方の人、というイメージを持ってた。


78 名前:本当にあった怖い名無し :2010/06/23(水) 23:37:52
>>71
わかりづらかったな、すまん。
小説内で地獄と呼ばれている世界は観測されている。
死んだはずの人間が地面の下にある別世界で暮らしている、
これは宗教も何も関係なく大勢に目撃されている。
そこが地獄かどうかはわからないが、便宜上「地獄」と呼ばれている。

一方、天国は一度も観測された事実がない。
ただし天使はたまに目撃される。
天使は自然災害の一種のようなもので、現れると必ず大災害になる。
その代わり天使登場と同時に死んだ者は空へと昇っていく現象が確認されているので、
天使降臨に巻き込まれたら天国行き決定と推測されている。
ここでもまた、天国というのが宗教で言う天国と同一のものかどうかはわからない。

信仰心の厚い人間は、これらの事実を持って神は存在する!と考えている。
主人公は、もしあれらの事実が神の肯定していて宗教家達の言うことが正しいのならば、
天国に行く=自我をなくすことなので、そんなのはゴメンだと思っている。
どんなに幸福になると言われても自分が自分でなくなるなら意味がない、
だから天国より地獄の方がいいと考えていた。


86 名前:本当にあった怖い名無し :2010/06/24(木) 00:55:44
>>71
欧米やヨーロッパでの元々の無神論者の意味は「キリスト教を信仰していない人々」全般を指す言葉。
なので、日本とかで使われる無神論者とはまたちょっと意味が違う。

91 名前:本当にあった怖い名無し :2010/06/24(木) 06:12:29
>>67
地獄とは神の不在なり

だよな
ストーリーの流れはその通りだが
あれそんな話じゃないだろ

 

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
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