ロバンナよ(手塚治虫)
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667 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/04(木) 12:54:39
- 手塚治虫の短編より。
主人公(手塚の自画像)は、久しぶりに旧友の科学者夫婦の元へ遊びに行く。
旧友は暖かく迎えてくれるが、彼の妻の姿が見えない。
聞くと彼女は療養中で、とても部屋から出てこれる状態ではないという。
せめて挨拶だけでも…と部屋に行こうとする手塚を、旧友は姿を見せるのを嫌がってるから…と止める。
旧友の家には、室内飼いされてるロバがいた。
えらく利口なロバで、手塚に挨拶するかのように会釈をするし、旧友の手伝いまでするのだ。
手塚は夫婦が芸を仕込ませたと思い、感心する。
そしてその夜。客室で寝ていた手塚だが、誰かが廊下を歩く音で目が覚めた。
部屋を出てみると、半裸の女が包丁を持って歩いていた。その女は、療養中だという旧友の妻だったのだ。
病気とは、きっと精神疾患のことだったのだ…手塚はゾッとし、旧友に同情した。
しかし何をしているのか?しばらく見ていると、ある部屋に入っていった。
そこはロバの飼育室。妻は怯えるロバに包丁を振りかざす。間一髪のところで、手塚は妻を取り押さえるが
妻はこんなロバなんか殺してやる!とわめくばかり。
精神病の発作かな…とうんざりしながら妻をなだめる手塚。そんな手塚に、妻は助けを求める。
どういうことだと聞くと、妻は言う。
自分は精神病でもなんでもない。夫は獣姦癖があり、セクースの時も毎回自分を動物扱いしていたこと。
ロバを飼いだしたはいいが、夫の愛情はこのロバに完全に移り、あろうことかこのロバを犯している。
それを戒めた自分を精神病扱いし、部屋からほとんど出してくれないのだと。
だから、私と一緒に逃げて、と。
手塚は頷くが、えらいことに関わってしまったと1人で逃げる準備をしていた。
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668 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/04(木) 13:01:34
- 逃げようとしていると、旧友の実験室だという地下室への扉が開いていた。
絶対入るなと言われていたけど、少し見るだけなら…と好奇心で実験室に入る手塚。
室内には巨大な装置が稼動していた。これは何だろうと思っていると、ロバと旧友に見つかる。
旧友は手塚を殺そうとするが、まるでロバが制するかのように手塚の前に立ちはだかり
「こいつがやめろと言ってるから…」と、旧友は手塚に手をかけるのを辞める。手塚は憤慨。
一体どういうことなのだ、おかしすぎる!このロバは?奥さんは?この装置は何なんだ!と問い詰める。
旧友はぽつりぽつりと話し出す。
この装置は転送装置で、片側に入れたものを別のところに再生させるというものだった。
ロバは元々実験動物だった。助手の妻とともにロバで実験していたところ、誤って妻とロバを一緒に転送してしまう。
ロバと妻は無事に転送されたが、何とロバと妻の意識が入れ替わってしまっていた。
このロバは実は妻であり、妻には獣の心しかないということ。
旧友の告白に衝撃を受けていると、実験室にいつの間にか妻の姿が。夫の話を聞いていた妻は叫ぶ。
あなたは大うそつきだ!自分の変態癖を隠すためにそんなことを言っているのだ!
逆上した妻は、実験室に鍵をかけ、家にあった爆破装置?を稼動させる。
手塚と旧友は天窓から逃げ出すが、ロバがどうしても出られない。
旧友はロバを助けるため、手塚を逃がせて家の中に戻っていった。そして、家は大爆発。助かった手塚は、旧友とロバの死体が見つかったこと、そして妻は重症ながらも一命を取り留めたことを知る。
妻は本当に人間なのか。旧友の話が本当だったのか、妻の言うことが事実なのか。
それともどちらも嘘だったのか…結局何が本当か分からないままEND
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670 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/04(木) 17:03:36
- 手塚治虫はときどき常人には思いつかないような変態チックな話を描くよなw
本人も相当の変態に違いないww