恋闇(魔木子)
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123 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/25(水) 01:31:17.03
- お江戸くノ一・変化のお椰(なぎ)事件帖より「恋闇」
時は十一代将軍徳川家斎の世で主人公お椰は流れの忍びながら
時折任務を受ける以外は一般の町娘のようにのんびり気ままに暮らしている。
ある日お椰は絵草子屋にて武家娘の詩織と知り合う。
詩織は生真面目で厳格な父に男手一つで育てられた反動か
芝居や恋物語に憧れるような娘だった。
しかし父・天野は芝居を見に行くどころか絵草子一枚持っているだけで
激怒し、手打ちにしようとするほどの堅物。
近く父が決めた婚約者を婿にすると聞いたお椰は恋の一つも知らないまま
さらに閉塞された武家の奥方になろうとする詩織を不憫に思い、
知り合いの美男で女扱いの上手い火市という忍び仲間に
一時のアバンチュールの相手役を依頼する。
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124 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/25(水) 01:36:46.30
- 予定どおり町娘に変装し、大好きな八百屋お七の芝居も見て
火市と恋の体験もしてそれをよき思い出として生きようと決意する詩織。
しかし事前にお椰が二人にもう会うなと釘を打っておいたにも関わらず
火市は江戸の町に火が上がるたび詩織以外誰もいない屋敷に訪れ
(父親は江戸城警護に走り、使用人は皆避難していて詩織は父から残って屋敷を守るよう命じられている)
密会を重ねるようになり詩織は恋に溺れていたのだ。
改めて二人に警告するお椰。
詩織は改めて自分の立場を思い出したが、
火市に「明日火事が起こらねばもう二度と会えない」と告げられ迷走する。
そして狂った詩織は自分をお七と思い込み、お椰にもらった町娘の着物を羽織り
屋敷に火をつけ自ら半鐘櫓に登って鐘を打ち鳴らす。
係の者以外が鐘を鳴らすのは重罪、さらに火付けとあっては…
父・天野は娘を櫓から引きずりおろすと一刀に切り捨て、自らもその場で切腹し果てる。
お椰は自分のお節介がこの悲劇を招いたのだと後悔したが
恋人(?)の京弥の調べで火市がとんでもない連中と繋がっていた事が分かる。
火市はお椰からの依頼を受け独自に天野の家を調査した。
すると天野は生真面目な性格を買われ出世していたが、清廉潔白すぎて
汚職で甘い汁を吸っている立場の者からは煙たがられていた。
そしてその連中と取引し、詩織を利用して天野を失脚させたのだった。
大金を手にし浮かれて帰る火市の前にお椰が現れる。
詩織のことを心苦しく思わないのかとなじるお椰に
「あの娘は八百屋お七になりきって恋に生きて恋に死ねたのだから幸せさ」とうそぶく。
「それより俺と手を組んでもっと稼げごうぜw」と微塵も詩織を悼む様子のない火市をお椰は
「あんたはあの子に会いにいっておやり。私よりずっと会いたがってたろう」と殺害する。
事件は徹底して箝口令がしかれ、噂にもならずに終息したがお椰の自責の念はずっと消えず
京弥は「確かにあの時のあの娘はお七のように美しかった」と慰めの声をかけたのだった。基本勧善懲悪が多いけどたまにこういうやるせない話がくる。
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125 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/25(水) 02:19:40.20
- >>123乙でした。
凄く面白かった!小説かなあ?読んでみたい。
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127 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/25(水) 11:10:00.49
- >>125
魔木子氏のマンガです。
房術とかHシーンも多いので苦手なら注意。
大抵は嫁や子供を虐げていた夫やばばあが制裁食らってざまあwな事が多いけど
たまにこういうお椰の好意が裏目に出ていい人が不幸になるような後味悪話が多い。
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132 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/25(水) 21:21:18.78
- >>123
おもしろーい。「八百屋お七」がモチーフだけど、オリジナリティも
きちんとあって。博識と創造力を兼ね備えた作者ですな。