伯父さんが引き取った子犬

小学生の時、近所でよく遊んでた女の子の家の飼い犬が子供を産んだ。
さっそく見せてもらったら５・６匹いてとっても可愛かった
けど女の子は残念だけど飼いきれないから貰い手を探しているが、全然見つからず困っていると言う。
数日後、親戚の伯父さんが飼っていた犬が亡くなり次の犬を探していると言うので
近所の家の事を話すと、喜んで一匹引き取ると言った。
女の子もその母親も喜んでくれて、子犬の中から伯父さんのリクエスト通り
丈夫そうな雄犬を選んで連れて行った。
伯父さんは子犬の足首をもみながら、おうおうこれはでっかくなるぞ、良い犬だと笑った。

みんな喜んでくれて、実に良いことをしたと充実した気分で眠りについた翌日、
伯父さんから暗い声で電話が来た。
何と、私が帰ったその後、子犬が死んだという。
母犬を恋しがって鳴き続ける子犬を庭に放していたら、
新しい子犬が来てるとは知らない伯父さんの息子の彼女が車で勢いよく侵入してきて轢いてしまったそうだ。
呆然としてると、悪いけどもう一匹もらってきてくれないかと言う。
仕方なく女の子の家に行き、チャイムを押すと母親が出てきて怪訝そうな顔で見る。
昨日の犬死んじゃったから新しいの下さい、とはとても言えないので、子供ながら必死でごまかそうと
「あの・・・伯父さんがすごく良い犬だって喜んでて・・もう一匹欲しいって・・
　えーと、伯父さんの家は農家で庭が広いから平気だって・・・」
と言うと顔を輝かせて、えっじゃあ持って行って、悪いわね助かるわ、と喜んだ。

後日、そのお母さんと女の子が我が家に、その節は犬を２匹も引き取っていただいて大変助かりました、
これはほんの気持ちです。とお菓子の詰め合わせを持ってきた。
きれいなお菓子だったけど、胸が詰まったような気分になり、あまり食べられなかった・・
あと、子犬を轢いちゃった彼女はかなりの犬好きだったらしく、号泣しながら謝ってたらしい。
その後、息子さんとは別れてしまったらしいけど、そのことが尾を引いたのかもと思うと
今でもやり切れない気持ちになる。