独裁君(業田良家)
-
954 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/04(水) 08:34:06.36
- 業田義家の北朝鮮諷刺漫画
ゴメス先生は愛国者。
小学校での授業中、奉仕活動への参加命令が下る。
教え子を引率して、国家元首を讃える歌を歌いながら現地に向かう。
道端に思想犯がさらし者になっている。
「みなさん!彼らは自己批判しています。手伝ってあげましょう!」
ゴメス先生が石を投げると、教え子も一斉に石を投げる。ケシ畑に到着。
「みなさん!我々の偉大なる指導者同志は、この貴重な薬草を寛大にも外国に分け与えています」
教え子は嬉々として作業をおこなう。
(なにが薬草だ、これは麻薬だ…)ゴメス先生の息子は愛国者である。
ゴメス先生が褒めると、
「僕はただ、裏切り者が許せなかっただけです」
と微笑む。
親子の夕食は庭で採れたトウキビだ。
ゴメス先生の奥さんは餓死した。死体は庭に埋葬した。庭のトウキビはよく育つ。ゴメス先生は小型ラジオで外国放送を聞くのだけが、唯一の心安まる時間だ。
外国放送を聞くのは禁じられている。
(我が国はおかしい…)ゴメス先生が逮捕される。息子の密告だ。
「お父さんごめんなさい。僕はただ、僕たちの偉大なる指導者同志を裏切ったお父さんが許せないだけなんです」ゴメス先生は道端にさらし者になっている。
かつての教え子が通り掛かり、石を投げる。
死にゆくゴメス先生は、心からの安らぎをおぼえる。