狂人の太鼓(リンド・ウォード)

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リンド・ウォード「狂人の太鼓-木版画による小説-」1930年
サブタイトルの通り文字のない「小説」なので、以下私の解釈。

成り上がりの奴隷商人が暗黒大陸アフリカで奇妙な太鼓を見つけ、なぜか魅せられて屋敷に飾る。
商人は幼い一人息子(主人公)を厳しくしつけ、ひたすら勉強させる。
息子が例の太鼓を叩いて遊ぶのを聞きつけた商人は、太鼓のバチで殴って勉強させる。
平和な生活に飽きた商人は再び奴隷狩りの旅に出るが、船が難破して死ぬ。

主人公は少年期から青年期にかけて学究生活を送り、論文をやっと一つ書き学位を得る。

成人した主人公は母に支えられ、相変わらず書斎と教会を往復するだけの学究生活を送っていた。
同じ年頃の男たちが酒場や娼窟で怪しげな楽しみに耽っている事を知った主人公は、十字架を放り投げた。
十字架は階段の途中に引っ掛かり、それを踏んだ母親は転落死した。
母親の葬儀の夜、主人公は笛を吹きながら歩く奇妙な小男を見た。


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その後近所の娘と結婚し、二人の娘に恵まれる。
しかし若い妻は酒場のバイオリン弾きと駆け落ちする。
二人は落ちぶれて門付け芸人に身を落とし、窮死する。
(凍死か餓死か病死。心中かも)
妻の葬儀を終えた主人公の前を、例の奇妙な小男が笛を吹きながら通りすぎる。

長女は一介の工員と愛を育み、コミュニスト活動を支援していた。
しかし恋人は罠に嵌められ、殺人の冤罪で死刑になった。
(主人公は弁護したが無駄だった)
長女は悲しみのあまり自殺する。
次女は美青年の恋人に処女を捧げるが、彼は実は女衒で娼窟に売られる。
(はっきりとは書(描)かれてないが、死んだことが暗示される)

主人公は狂ったように笑いながら太鼓を叩き、
例の小男と一緒にどこへともなく去っていった。終。

小男の正体は明かされない。
太鼓の妖精()かもしれないし、
主人公の太鼓のように呪われた笛を持った普通の人間かもしれない。
「奇遇ですな、貴君も呪われた楽器をお持ちで?」
「ええ私の場合は笛なんです。こいつには奇妙な来歴がありましてね」
みたいな会話を想像した。

 

狂人の太鼓
狂人の太鼓