風呂あがりの夜空に(小林じんこ)
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260:本当にあった怖い名無し:2013/04/22(月) 15:28:11.65
- 漫画「風呂あがりの夜空に」のある回
この漫画のヒロインは祖母が経営している銭湯で働きながら一緒に暮らしているんだけど
そこの常連にとても気難しい爺さんがいた(仮にAとする)
Aは身よりもないが性格のせいで親戚にも養老院にも嫌われており、一人で暮らしているこの銭湯の常連客にはAと同じ年頃の爺さんがもう一人おり
その人は好感の持てる人物で他の常連客からも好かれている(仮にBとする)
Bは子供を持たなかったが、かつて孤児の女の子を引き取って
立派に育て上げた人格者として知られている
今は一人暮らしだが、結婚して家を出た彼女から毎月生活費を送ってもらっており、
苦労ない生活を送っているというヒロインの祖母が語るその話を聞きながら、
主人公(銭湯でバイトしているしよく入りに来る)は弟や友人と
「やっぱり昔話みたいにいいお爺さんは幸せになるんだな」と冗談めかして言い合う
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261:本当にあった怖い名無し:2013/04/22(月) 15:31:38.50
- ある雨の日、Bは地域の寄り合いの後公民館の傘を借りて家路についていた
その道中、電話ボックスで育てた娘と話している様子が描かれる
そこで、実はBはその娘に性的暴行を繰り返していたということが明かされる
彼女から送ってくる生活費はそのことの口止め+今の家庭に近づかせないためのものだったのである同じ頃、主人公はAに寄り合いで出たおやつの大福を届けるため雨の中を歩いていた
なんでも、Aは寄り合いにも出なかったくせに銭湯にいるから届けに来いと抜かしたのだとか
それで結局銭湯からも早々に帰ってしまっているのだから組合のおばさんも呆れていた
(主人公が自分が大福を届けようと申し出る前にそのおばさんがAの横暴さを愚痴る場面あり)
その道中にある川べりで主人公は段ボール箱に傘がかかっているのを発見し、
見ると中に捨てられたのであろう子犬がいる
そして道の先に目をやると、銭湯を出て行くときは傘を差していたのに今は手ぶらのAがいる
主人公は大福を渡すついでに自分の傘も渡すが
それを受け取ったAはにこりともせずに「ふん!」と唸って足元の水溜りをわざとはね、
主人公の足に水をかけて去っていく銭湯へ戻った主人公はヒロインにそのことを話し、ヒロインは胸がジーンとくると言いつつも
「なんだか悲しいね…」と呟く
その頃、子犬のダンボールがある場所をBも通っていた
Bは犬に悪態をつくが、しばし考え、
犬にかかっていた傘と自分が指している公民館の傘を入れ替えて去っていく
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262 :本当にあった怖い名無し:2013/04/22(月) 15:34:12.38
- 翌日、銭湯では、組合のおばさんが犬に公民館の傘がかかっているのを発見したらしく
公民館で貸した傘は一本しかないんだからBがかけたのだろうと話していた
周りの客もやっぱりBはできた人だと褒め称える
しかしAが子犬に傘をかけたことを知っている主人公とヒロインはどういうことだろうと疑問を持つ
その日は銭湯にAが来なかったのだが、
他の客からAが風邪をひいたらしいということを聞いて主人公はAの家へ向かうAはその頃家で昨日主人公が届けた?大福を食べていたのだが、誤ってそれを喉に詰まらせてしまう
声も出せずに助けを求めることもできない
丁度その頃主人公が家の前にたどり着くが、しばし逡巡した結果主人公は踵を返すその少し後だろうか、銭湯から帰る途中のBは例の犬のところを通りかかり、
何を思ったのか箱を犬ごと近くの川に投げ込もうとする
しかしバランスを崩し、自分が川の中へ……
川は雨で増水しており、あっという間にのまれてしまったそのまた少し後、おそらくAへの手土産であろう和菓子の箱を持った主人公がそこを通りかかる
そして箱の外に放り出された犬を見つけ、増水した川の近くでは危なかろうと犬を連れてA宅へ向かう
そのころAは部屋の中で完全に窒息していたこれで終わりで、その後は全く語られないんだけど、色々後味悪いなあと感じる
最初に昔話の例え出してて、結局二人ともいいお爺さんではなくて
幸せにはなれないってのは理に適ってるとも思うけど
Bの本性は結局誰にも知られないままで
Bの死は嘆かれてもAの死を悲しむ人はいないんだろうと思えるし
確実に主人公はAの惨状を目の当たりにするだろうし
間接的に主人公がそれを引き起こしたというのが…しかも完全に善意によって
この作品、一応ラブコメの体裁とっておいて時折こういう後味の悪い回やカオスで不条理な回を入れてくる