火の鳥/羽衣編(手塚治虫)
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908:本当にあった怖い名無し:2013/05/27(月) 16:19:02.98
- 火の鳥に掲載されてた手塚治虫の火の鳥羽衣編
昔むかし、美しい羽衣を纏った女性が浜にたどり着き、
女性の住んでいた場所には無いほど透き通った海を見て水浴びをしている。
そこへ、浜に住むクズな漁師が通りかかり、羽衣を見てその綺麗さに驚き盗み持ち帰ろうとする。
女性に返してほしいと呼び止められ、見ると美しい女性。
返して欲しくば自分と一緒に暮らせと言うクズ男。最初は嫌々一緒に暮らしていたが、長い間一緒に暮らしているうちに子を授かり、
慎ましく幸せに暮らしていた。
しかし、ある時この地で戦争が始まり、男は戦に駆り出されることとなった。
徴兵に来た兵士は、男を引きずって連れて行こうとするが、
女は大事にしていた羽衣を渡してこれで徴兵を許して欲しいと頼む。
兵士はその賄賂に納得し引き下がっていくが、
男は女が大事にしていた羽衣を奪われてはいけないと兵士を追いかける。いくばくしても男は帰ってこない。秋が来て冬が来ても帰ってこない男を待つ女。
やがて春が来て、男は戦争に行って死んでしまったのだと観念した女は独白する”実は女は未来から、酷い戦争を逃れて今の時代にやってきたのだと。
天の羽衣が人の手に渡ると未来の技術を持ったものが歴史を変えてしまうため
男を自分のもとに囲って事実の隠蔽をしようとしているうちに男に情が芽生えて子供が生まれてしまった”子供は未来の自分と過去の男の子供。
そのまま生かしては歴史を変えてしまう。
戦争という呪いがなぜ自分を苛むのか、可哀想だが生かしては置けないと子を殺そうとする女。
だが、どうしても自分の子に手を掛けられず、絶望の中そのまま何処かへと去っていく女。しばらくのち、男は帰ってきた。多く傷ついて、羽衣を手に。
だが、そこには女の姿は無く、ただただ男は女を呼ぶ声がこだました。