十一月の四月馬鹿(まつざきあけみ)

281/3:2013/06/03(月) 11:24:08.33
まつざきあけみ「十一月の四月馬鹿」1989年

舞台は昭和30年代の東京郊外。
のぶ子は美しく淑やかな新妻。夫の佼(さとし)と二人、小さな家に暮らす。
佼は初婚だが、のぶ子は過去に三人の夫を亡くした不幸な女である。
元々持っていた財産に過去の夫たちの保険金が加わり、のぶ子はかなりの資産家である。
この小さな家はのぶ子が200万で買ったものだし、
佼が友人の連帯保証人になってできた借金も婚約時代に立て替えてやった。

ある日のぶ子は、訪ねてきた不動産屋からこの家が100万円の掘り出し物だと聞いて佼に不審を持った。
不動産屋は、万が一を考えて少し多目に仰ったのでしょう、とのぶ子を慰めた。
帰宅した佼に恐る恐る訊いてみると、君は資産家だから100万ぐらいどうでもいいだろう、
借金で苦しんでいる同僚に貸してやったよ、と平然としている。

さらに近所の主婦が、都心の宝石店で佼と若い女性を見た、と嬉しそうに言ってきた。
特長を聞くと、夫の部下で一緒に外回りをすることが多いという真弓に違いない。


292/3:2013/06/03(月) 11:25:37.44
佼と結婚して一年になるが、残業と休出が多い。
佼の机を覗くと、鍵つきの引き出しに新聞の切りぬきがあった。
資産家の中年女性が殺された事件で、佼によく似た若い夫の写真が載っている。

ある日曜日、佼は休出だと言って嬉しそうに出掛けた。
帰ってから大事な話があるから、とも言い残して。
佼が金を貸してやったと名前を出した同僚が
仕事の問い合わせの電話をかけてきて、休出は嘘だとわかった。
同僚は借金も否定した。
帰宅した佼は上機嫌で、夕飯のしじみの味噌汁をおかわりした。

雷雨で停電になり、蝋燭の暗い明かりの中で佼が不気味に笑い、光るものをのぶ子に向けた。
のぶ子は悲鳴をあげた。

…佼の手にはダイヤの指輪があった…
『結婚記念日のお祝いだよ、これからもよろしくね』
…佼に指輪をはめてもらって戸惑うのぶ子…
『真弓さんに見立ててもらったんだ、彼女センスがいいからね』
…さらに佼は、休出と残業は起業していたのを隠すための嘘だと言った…
『やっと軌道に乗ったんだ、会社をやめても君を食わせていける』
…家の差額の100万円は、資金として一時的に借りていた…


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『もちろん耳を揃えて返すよ、僕にだってプライドがあるさ』
『今度家を買うときは、君に一円だって出させるものか』

…新聞の切りぬきは本当に他人の空似で、ネタになると思って保管したのだった…
『君があまりにも完璧すぎるから、ちょっとからかってみたくなったんだ。季節外れのエイプリルフールさ』
《もう、佼さんのバカバカ!知らない!》
…こうなるはずだったが…

佼は胸をおさえて倒れた。
(○○という薬品は心臓麻痺によく似た症状が出るのよ)
のぶ子は過去の夫が財産目当てだとわかるたびにその毒を盛っていた。
「佼さん、私は今度こそ幸せになりたかったのに…信じていたのに…」
「まさかあなたが、恐ろしい殺人犯だったなんて!」
もがく佼の前でのぶ子は泣き崩れた。


31 本当にあった怖い名無し:2013/06/03(月) 12:05:02.05
↑オモロイドwww
アンジャッシュの勘違いコントみたいで
良かったッス
まとめ上手いです

32 本当にあった怖い名無し:2013/06/03(月) 12:42:23.21
>>31
アンジャッシュw
確かにコミカルに演じればコントにもなりそうだ

33 本当にあった怖い名無し:2013/06/03(月) 15:19:28.73
>まさかあなたが、恐ろしい殺人犯だったなんて!
おまゆうw

 

好敵手 (ハロウィン少女コミック館)
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