ロートレック荘事件(筒井康隆)

6071/3:2013/09/10(火) 13:20:49.80
筒井康隆「ロートレック荘事件」
ミステリなのでネタバレ閲覧注意

浜口修は8歳の時、イトコの浜口重樹に脊椎を損傷する大怪我を負わせ、
彼をロートレックと同じ奇形の体にしてしまった。
8歳の修は泣きながら、君には何も不自由はさせない、
僕が君を守る、死ぬまでそばを離れない!と誓い、実際その通りにした。

重樹はすばらしい個性の持ち主なので、修は喜んで従った。
20年後、重樹は美術評論家に、修は画家になっていた。

修と重樹が日本有数のロートレックのコレクターである
木内氏の別荘に滞在した晩夏、事件は起きた。
同じように別荘に滞在していた3人の令嬢が相次いで殺されたのだ。


6082/3:2013/09/10(火) 13:23:17.23
木内氏の令嬢典子、その親友寛子と絵里を殺したのは重樹だった。
以下、重樹の供述。

奇形の自分には修という保護者が必要だった。
二枚目で才気煥発で明朗な修は、木内氏の縁で以前から知り合いだった
美しい令嬢3人に取り巻かれて浮かれている。
修は誰と結婚するのか、誰と結婚してもこれまでのように自分を第一に考えてはくれまい。

美しい女性は鬼門だ。
女性は奇形の体に好奇心と母性愛をそそられはしても、決して愛してくれない。
今まで意地悪な女性にからかわれて涙を飲んだ事は一度や二度ではない。
傷つけられる前に殺し、同時に修を自分に繋ぎ止めよう。
と思って凶行に及んだのだった。


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木内夫人が典子の日記を差し入れた。恨み言は一つも言わなかった。
日記には重樹への愛が綴られていた。
重樹の著作を読んで惹かれ、実際に知り合ってみて才気と繊細な感受性に惹かれ、
いつしか他の男性への関心を失っていたと、綿々と書き連ねていた。

重樹が典子に銃口を向けた時、典子は悲しそうな顔でかぶりを振った。
あれはただの命乞いではなく、
(私は貴方を愛しています。貴方は私を殺す必要などないのですよ)
と言いたかったのだ。

…保護者を求める私の我儘が、優しく美しく気高い典子さんを殺したのです。
…私はなんと大きなものを失ったのか。どうか私を死刑にして下さい。
-終-


610 本当にあった怖い名無し:2013/09/10(火) 13:39:52.52
原作は叙述トリックの要素が大きいから、犯人知ってたら面白さが激減するのが残念
(たいていのミステリがそうだというかもしれないけど)

611 本当にあった怖い名無し:2013/09/10(火) 16:19:37.86
確か重樹と修を混同させるような叙述トリック使ってあるんだっけ
なんか最初から「この辺トリックだよ~」って感じがしたこと覚えてる

 

ロートレック荘事件 (新潮文庫)
ロートレック荘事件 (新潮文庫)