milk junkie(藤崎竜)

856本当にあった怖い名無し:2013/09/14(土) 17:21:51.71
藤崎竜「milk junkie」

地球に似た惑星の無法地帯「ジャンク・ジャングル」
エンダー青年は違法行為もまかり通るこの場所にある薬局を訪ねてきた。
エンダーは低身長なのをコンプレックスにしており、背を高くする薬物を買いにきたのだった。
エンダーの悩みを聞いた薬局の女店主は秘薬として「背が伸びる牛乳」を売る。
牛乳は強烈な依存性があること、背が伸びすぎるおそれもあるので
摂取量を守ることを女店主はエンダーに言う。

秘薬の牛乳を飲んだエンダーはぐんぐん身長を伸ばしてゆく。
「これからは普通の牛乳でも伸びてゆく。ただし使用上の注意は…」
エンダーは女店主の言葉を遮って帰宅。牛乳1リットルを飲んで眠りにつく。

翌日、エンダーは大男になっていた。
「摂取量を間違えたのか?」と不振に思ったエンダーは
慌てて秘薬の牛乳瓶に書かれた注意書きを読む。
その注意書きをよく見ると、摂取量に細工がされていた。
(一桁多く摂取量がシールで付け足されていた)

女店主に騙されたことを知ったエンダーは薬局に向かうも、既に店は潰れていた。
とぼとぼと町を歩く大男エンダー。そこに漂う乳製品の香り。
過剰な牛乳の摂取により牛乳中毒となったエンダーは
町中の乳製品を喰らって巨人化してゆく。
海外の軍が巨人エンダーにミサイルや核を打ち込むも効かず、
エンダーの進行を食い止めることはできない。
ついにエンダーは牛乳を含めた惑星の全てを平らげてしまった。


857本当にあった怖い名無し:2013/09/14(土) 17:24:32.78
荒廃した惑星に座り
「もうこの惑星には牛乳がないや。これから俺はどうなるんだろう?」と呟くエンダー。
そこに宇宙船に乗った薬局の女店主が現れる。
お前のせいでと責め立てるエンダーに「繰り返し注意はした」と返す店主。
女店主はエンダーの姿に哀れみを抱き、
エンダーに近い大きさの巨人の星へ彼を送ると提案した。
「巨人の星に到着するころには牛乳依存症も治るでしょう」
女店主の言葉を信じ、エンダーは巨人の星へ旅立つ。

残った女店主は荒廃した惑星に薬局の看板を掲げる。
彼女は自らの営業成績を上げるため、エンダーを利用して
世界中の生物を抹殺して惑星ごと手に入れることに成功したのだった。

それから半年後、地球と呼ばれる巨人の惑星にエンダーは到着。
痩せこけて骨皮になったエンダーを少女が発見する。
水を欲するエンダーに少女は「水は無いけどこれなら」と
牛乳を差し出すところで終わり。

惑星を滅ぼしたエンダーが悔やんでいたのが
人間を滅ぼしたことではなく「牛乳がない」というところがエグかった。
藤崎竜の短編はポップな絵柄なのにエグい話が多い。

 

Dramatic irony (ジャンプコミックス)
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藤崎竜作品集 3 天球儀 (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 ふ 26-3)
藤崎竜作品集 3 天球儀
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