幻の航海(高橋葉介)
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784:1/5:2013/11/10(日) 10:52:04.48
- 高橋葉介「もののけ草紙・弐」から「幻の航海」
この巻の主人公は「手の目」と呼ばれる、酒席に侍る女芸人。
主な芸は催眠術と幻覚と千里眼。
「手の目」は、数話前に知り合った財閥の若当主、見鬼(みき)聡に連れられて
豪華客船で旅行中。
(知り合った当時はまだ少年と少女で、先代の当主は跡取りを決めかねていた。
「手の目」の活躍で聡が次期当主に決まり、この話はその数年後)美人だが下品な女、芸人あがりのお妾というか若当主は独身だから一応恋人か、
何にせよいい見物だ、しっ聞こえるじゃないか、
芸人なんぞどうでもいいが財閥当主の機嫌を損ねるのはまずい、
などと上品な船客はやかましい。
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785:2/5:2013/11/10(日) 10:55:49.68
- 「手の目」が甲板で夜風に吹かれていると、
一等船客の少女が彼女を海に突き落とそうと突進してきた。(お嬢ちゃん、聡さんに惚れていなすったか)
(だけどこんな事しちゃいけねェ、あたしゃ化けて出るよ)
(あんたが風呂に入ったら、鱗だらけの手を伸ばして水の中に引きずり込むよ)
(あたしゃ馬鹿でかい人魚になって夜空に貼り付いてやるよ)
(そしてあんたを指さして、人殺し!と叫ぶよ)…「手の目」に抱き止められた少女は、彼女が見せた幻覚から覚めた。
「手の目」は嫉妬と後悔と自己嫌悪で泣く少女に、
お互い恋愛感情はない、と説明してやったが少女は納得してないようだ。
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786 :3/5:2013/11/10(日) 10:58:28.98
- 聡の「見てはいけないモノ」が見えてしまう特異体質を「手の目」が封じてやっているだけで、
「手の目」の方は生まれて初めて誰かに必要と思われているのが嬉しくて
ズルズルと一緒に居るだけなのだが、心霊体質ではない少女には理解できない。原因不明の爆発が起こり、船は沈没した。
少女は聡と同じ救命ボートに引き上げられた。
聡は彼女にプロポーズした。
二人は結婚し、幸せに暮らした。(私は幸せだわ、聡さんは優しい)
(望みは何でも叶う、夢のような生活…?)
(…夢だわ、これは夢。あの人が見せている、ただの夢なのよ!)少女は海に浮かんだ衣装箪笥の上で夢から覚めた。
隣に「手の目」がいる。
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787 :4/5:2013/11/10(日) 11:00:46.92
- パニックを起こして泣きわめく彼女を「手の目」が引き上げ、
でもあんまりうるさいので眠らせて夢を見せていたのだった。
聡はもう救命ボートに救助された、と教えられた少女は、
波間に浮いていた棒で「手の目」の脳天を殴って海に突き落とした。
「あなたさえいなければ!聡さんはきっと私を見てくれる!」という悪夢から少女は目覚めた。
救助船の船室に寝かされていて、「手の目」と聡が見守っている。
衰弱した少女は聡よりも「手の目」を見て、彼女が助かった事を喜んだ。そして、「手の目」を殺そうとした事を二人に詫びながら静かに死んだ。
ずっと謝りたかった、最期に会えてよかった、と言いながら。
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788 :5/5:2013/11/10(日) 11:03:29.98
- 『死んだのかい?』
「ああ」
『じゃあ僕も用済みってわけだ』
「ああ」
『だって僕の姿は、君が創った幻にすぎないのだから』
「勝手にしな、とっとと消えやがれ」聡(の幻影)は青ぶくれの水死体に戻り、消えた。
船室の幻も消え、波間に浮かぶ衣装箪笥の上には
少女の死体と「手の目」だけがあった。「まったくどいつもこいつも…消えちまえ、
あたしは平気さ…元から一人だもの…また一人に戻るだけ…」遠くに救助船が見える。
「手の目」は少女の死体の肩を抱くように寄り添い、読者から顔は見えない。
顔を隠して泣いているようでもある。
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805 :本当にあった怖い名無し:2013/11/11(月) 00:43:36.00
- >>788
ごめん読解力がなくてどういうことなのかわからない…
いつから聡は水死体になってたの?
少女が手の目を殺そうとしたのはどの段階まで現実なの?
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809 :本当にあった怖い名無し:2013/11/11(月) 02:50:11.27
- >>805
えぇー・・・
救命ボートに乗れたのは嘘で、本当は爆発で助からなかった(爆死ではなく水死)んでしょ
殺そうとしたのは最初の看板から突き落とそうとした時だけなんだけど、
あとは見せられた夢でしょ