災い転じて

122 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・  投稿日:04/02/17 23:24
十数年前、隣に住んでいたおじさんの話です。

おじさんはいつも通りに通勤のため駅に向かっていた。
その日は路上に氷が張るほど寒い日で、おじさんは氷に足をとられて、思いっきり後ろにひっくり返った。
あまりの痛さにしばらく倒れこんでいると、近くで「ガシャーン」という大きな衝突音が聞こえて、
おじさんはびっくりして起き上がった。見ると、自動車がスリップ事故を起こして自販機に突っ込んでいた。
おじさんはその自販機で毎日コーヒーとタバコを買うのが日課で、もし転んでいなかったら、
その自動車に確実に轢かれていた。幸いにして自動車の運転手は無傷だったらしい。

転んだ拍子に腰と背中を強く打って仕事にならないと思ったおじさんは、会社に電話をいれると、
その日は金曜日だったので、週末は家でゆっくり休むように言われて、そのまま帰宅して寝ていた。
翌日にはすっかり元気になったおじさんは、元々おしゃべり好きというのもあって、
自分の家にも来て、その事故の様子をおもしろおかしく話して帰っていった。
そしてその翌日、おじさんは急に倒れて、そのまま息を引き取った。
転んだときに頭を強く打っていて、脳内出血していたらしい。

葬儀にいくと、おばさんはまだおじさんが死んでしまったことが信じられない様子だった。
そしておばさんが言っていた言葉が妙に耳に残っている。
「もしあのとき、そのまま車に轢かれて病院に運ばれていれば、助かっていたかもしれないのにね。」