欲望について(深見じゅん)
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924 名前:1/3 投稿日:05/03/02 22:45:12
- 深見じゅんの短編「欲望について」
主人公は、「ごめんなさい」が口癖の専業主婦。
半年振りに出かけた東京で、待ちぼうけをくらって手持ち無沙汰から
一杯カクテルを飲み、酒の酔いの心地よさにはまってしまう。
日頃感じている「なんとなく退屈、空虚」という気持ちから逃れるため
夫が出勤したとたん窓を閉め切り、ビデオを見ながら日がな一日酒を飲むようになる。そんな日が続いたある日、夫が三日間の休暇をとる。
残業続きでのんびりしたい、という夫に表向きは喜ぶものの
酒が飲みたくてたまらない妻は、夫に遠まわりの買い物を頼み
その隙に一杯やろうとする。が、そのときには既に
妻のアルコール依存ぶりは近所の奥さん達に知れ渡っており
速攻でチクられあっさりばれる。大量の酒の瓶を前に呆然としながら問い詰める夫に
「あたしを助けてくれて守ってくれて、いつもどきどきさせてくれて夢を見せてくれて
いつも幸せにしてくれる騎士が欲しいの」と訴える。
甘えるなと一喝する夫。俺だっていつも謝ってばかりいる、不幸そうな女はごめんだ、と。
給料が安いせいで、着飾れなくて悪かったですね、洗濯ぐらい自分でやれば?と居直る妻。
冷たい雰囲気のまま、夫は外に出て行き、妻はまた酒におぼれる。
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925 名前:2/3 投稿日:05/03/02 22:45:18
- 次の日妻が寝坊し、口癖のごめんなさいを言って朝食を作ろうとするが
夫は自分でカップラーメンを作って出勤してしまう。
帰ってきた夫を待っていたのは、真っ暗な部屋と、テーブルに山盛りのカップラーメン。
「あなたの好物よ。三週間は持つでしょう?」
定期が30万円解約されていたこともあって、そんなに自分との生活が嫌なのかと問う夫。
化粧をし、酒を飲みながらビデオにのめりこみ、ろくに話をするつもりのない妻。次の日、妻が目を覚ますと机の上に離婚届が。
今までに見たビデオの話と現実の区別があいまいになった妻には
夫が別れたがっているという事しか分からない。
混乱し、昨日着ていた肩のずり落ちたネグリジェのまま会社に乗り込み、
基地外を見るような目で「ここは会社ですから」とりなす会社の人達に向かって
「わかってるわ。二年前までここの社員だったのよ」
「あの頃は毎日が嫌だった。給料安いし誰も誘ってくれないし仕事つまらないし
休みの日は暇だし、それに比べたら今は幸せだけど何が嫌なのかわからない!!」と
後述のエピソードを交えて訴える。
手に負えないとつまみ出そうとする会社の人達を制する夫。
「早退します。お騒がせしたお詫びは後ほど」
別れ話かと身構える妻。「お互いについて話し合おう、まずひとつだけ言わせてくれ。愛している」
笑顔で涙ぐむ妻。で、二人でタクシーで家に帰り、END。
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926 名前:3/3 投稿日:05/03/02 22:45:24
- 要約下手で長くなってしまい申し訳ないです。
これ、話的にはハッピーエンドなんだけどそれが個人的に後味悪かった。
(バッドエンドになっても「なんじゃそら…」と思うだろうけど)
自分がまだ独り身で恋愛経験皆無のためにそう思うのかもしれないけど
なんでこんないい年の、自助努力すらしないでただ待ってるだけの人間に
ここまで都合よく話が進むのかと本当に不思議というか理解できなかったというか。
夫も別にことさら妻を家に縛り付けるタイプ、という描写は無かったし
妻の独身時代の「休みの日も一人ぼっちで何もやることが無くて
ひまつぶしにマフラー編んでた。編み終わるのが怖くて10m位になってもずっと…」
というエピソードから、充実していたけど専業主婦になったせいで鬱積したという訳でも無さそうだし。
というか、このエピソードから「愛している」という着地点に至る過程もよく分からない。
この短編集の他の話は結構楽しく読んだんだけどなぁ…。もやもやする。