不思議な少年(山下和美)
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47 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/01(金) 16:07:07
- 昔、何かのコミックで読んだ話
時代は昭和初期っぽい時代設定だったと思うけど、
小さな一軒家に両親と10歳くらいの男の子が住んでいて
(話はこの男の子の一人称で語られる)両親とも優しく、家族を大切にしていてボクは今の生活に不満も疑問も待った事がなかったよ
ところがある日、父親宛てに電報が来て、父親は家族とともに夜行列車に乗る事になったんだ。
その列車の中で、始めて父親からこれから行く場所は父親の実家で、
父親の実父、つまりお祖父さんが危篤状態に陥ったので臨終を家族で見守るように、
と電報には書いてあったんだって(当主の臨終に一族が揃うのは破れないその一族の習わし)ボクはびっくりしたよ。
今まで父親に実家があったとか、祖父がいるとか聞いた事もなく、列車の中の父親はとても陰鬱で、
何かを恐れているようにも見えた。ボクはとても不安になった父親の実家に着いてみると、それは驚くような大屋敷で、しかも、この辺一体の土地の殆どは、
祖父の持ち物であり、その上父親が長男なので相続の権利があるとか
しかし、父親はその一族を、実父と自分の兄弟を恐れ、憎んでいるみたいに見えた。
それに祖父は昔、まだ年端もいかない時に、財産争いから自分の兄弟を全員殺し
その財産を手に入れた疑いが持たれていた(なぜ捕まらなかったかは謎)いや、祖父どころかこの一族には財産争いで、代替わりの度に、
凄惨な親兄弟同士の殺し合いが何度もあり、
人の恨みを肥やしに財産を増やしてきたような呪われた一族だそうだ
父親の弟、妹の叔父さん叔母さんも死にかけている祖父の枕元に同席していて、
父親も枕辺に揃ったが、ボクと母親は別室にいるようにと言われたので部屋を出た
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49 名前:47 投稿日:2006/12/01(金) 16:08:12
- だけどボクは父親の様子が変なので、気になってこっそり隣室から
父親、叔父、叔母の会話を聞く事にしたんだ。
3人の話から、叔父叔母は金の亡者で、財産欲しさに家から出ることもなく、
従って結婚もせずに祖父が死ぬのを虎視眈々と待っている事、
そして父親が家を出たのは、若い頃に当時まだ子どもだった叔父叔母から、
事故に見せかけて殺されかかったため、身の危険と、
こういうおぞましい一族から縁を切りたくての事だと知った。父親は「財産なんか欲しくない、もう自分達一家をそっとしておいてくれ!」と、
頼んだけど叔父叔母はせせら笑い
「嘘ばっかり!本当は私達、弟妹がいなければ財産が独り占めできるのに!と悔しくて堪んないのでしょう?
隠れている間に、私達が殺し合いでもするのをずっと待っていたくせに!」
と罵るのが聞こえたボクは何故だかとても恐ろしい予感がして、自分の部屋に戻ろうとしたとたんに、
恐ろしい悲鳴が祖父の枕辺の部屋から聞こえ、慌てて祖父の部屋に駆けつけたんだ・・
そしてそこで見たのは・・・ああとても言えない!翌日、使用人達がやってくると(当日は全員暇を出されていた)
家の中は恐ろしい惨劇が繰り広げられた後だった父親も、叔父も叔母も血まみれの中で死んでいて、その惨状の中で祖父も病死していて、
母親は発狂して意味なく笑うばかり
そしてボクは、血まみれの状態で風呂場に隠れて震えていたよ。
ボクの証言で、惨劇の状況が明らかになったんだ祖父の臨終の瞬間、父親達3人は口論の挙句、
激昂した叔父が隠し持っていた包丁で最初に父親を刺して、次に叔母も刺した、
その時に部屋に駆け込んで来たボクをも殺そうと恐ろしい顔で迫った来た時に、
瀕死の父親が最後の力を振り絞って、叔父から包丁を取り返して逆に刺し殺した後、生き絶えたんだ。
そして、その瞬間を見てしまった母親はショックで正気を失い、
ボクは恐怖で使用人達が見つけるまで風呂場に隠れていた、とボクは必死で説明したよ
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50 名前:47 投稿日:2006/12/01(金) 16:09:16
- 事件は落着し、皮肉な事に叔父叔母が欲しがっていた財産は、
3人の死で自然にボクのものとなってしまった。正に悲劇の相続人になってしまったわけしかし、ボクが本当に見ていた事実は、最初に叔父と叔母を殺したのは父親だったんだ
父親は自分の体に流れる、欲と残虐の血を何とか押さえようとしたけど、
この家に舞い戻った事で、財産独り占めの欲に負けて叔父と叔母を刺し殺す事になった。それを見ていたボクは、しかたなく殺人現場で包丁を放り出して呆然としている父親を、
いきなりその包丁で刺し殺したよ。だって頭のいいボクは咄嗟に考えたのだ。
父親が叔父叔母を殺したのでは父親に財産の相続権利はなくなる・・
ひいてはこの莫大な財産は自分の物にならない、父親は叔父に殺されなければいけない。
だから父親には死んでもらった。だって仕方ないでしょ?そして、一部始終を見て震えてる母親に、血まみれの顔を向けて笑いながら言った
「気が狂っておしまいよ、そうしたら助けてあげるから・・でないとお母さんも殺さなくっちゃならないよ」
・・・・気の弱い母親は案の定、気が狂った。一族の残虐な血は、確かに脈々と続いていた。そう、この10歳の少年にも・・
という感じで、少年の可愛い顔のアップでエンドいやもう・・最初の幸福そのものという一家の出だしから、
この終わり方はないだろ?・゚・(ノД`)・゚・。 と、子ども心にショックだった漫画だ。
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858 名前:1/2 投稿日:2006/12/13(水) 21:29:37
- かなり遅レスな形になってしまうが、>47の話とほぼそっくりな
漫画を見つけたので、もしかしたらと思って。
タイトルはここにも何度かあがっている、山下和美の「不思議な少年」
聖書のカインとアベルの兄弟殺しの話を模して展開していく。
話の大筋は、>47と同じで戦時中か戦後?の昭和真っ只中に一家総出で田舎にある
父親の実家へ戻ることになる。10歳くらいの男の子が主人公A。
ただちょっと違うのが、Aは一人っ子ではなく弟がいて、
弟がいつのまにかタイトルにもなってる「不思議な少年」とすり替わっている。
少年の姿は本当の弟とは似ても似つかぬどころか、日本人離れした容姿で、
Aだけが違和感を感じているが親も実家の人間も全くそれに気づかない。
母親がお手洗いだかで席を離れ、、父親が弟妹達と(弟はいかにも財産目当てというか、
兄であるAの父親を疑っている。勿論A父は放っといてくれといった感じ)
、危篤で床に伏せっている祖父を囲んでの親族会議をしている間に、弟と名乗る少年と
ちょっと不思議な体験をしたりするのだが、ここからが>47とほぼ同じ流れ、祖父は幼い頃から
鬼畜の限りを尽くして実の兄を毒殺してまで領地を手に入れ成り上がってきた人間で、
その子供たちにも呪われた血が流れているらしく、
父親が言い争いの弾みで弟を刺し殺してしまう所を主人公は目撃してしまう。
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859 名前:2/2 投稿日:2006/12/13(水) 21:32:22
- この時主人公は別の部屋にいて、少年の透視のような不思議な力で
壁越しに現場を見たということ。
ショックを受けたAは「何もかもなくなってしまえと」強く念じたその時に
大津波が領地全域を襲い、家も領地も全て飲み込んでしまう。
(この時に少年は本来の姿というべきか、天使の姿となって巻き込まれて溺れたAを助ける)
命からがら木に登り、助かったAが見たものは、濁流の中、木の板に浮かぶ危篤状態だったはずの
祖父が何かを思いながら笛を吹く姿であった。
ひとしきり笛を吹いていた祖父もやがて力尽き、息絶えながら流されていく。
唖然とするAの隣には、すり替わっていた本物の弟が、何があったのか
わからない風でAに寄り添っていた。
この時にAは、父親達のようにはならないと心に誓う。
月日が変わり、Aも壮年の風貌となり、大会社の社長となるが、
結局は守ろうとしたはずの弟に裏切られ、会社は弟に乗っ取られてしまう。
一瞬はかつての祖父や、自分の父親のように弟を惨殺しようかとも考えてしまうが、
そこをこらえて弟に託し、会社を離れたところで物語は終わる。
微妙に後味が悪い部分があるが、Aの最後の表情がどこか晴れ晴れとしているようにも
見えたのでそこは緩和されたかもしれない。