信心

364 名前:1/2 投稿日:2007/01/11(木) 00:45:35
投下します。

ドラッグストアを襲い、客として居合わせた男一人を人質にとって夜の田舎道を車で逃亡中の二人。
主犯格Aは発砲するつもりは無かったのだが、少し頭の足りない共犯Bが
考えナシに客と店員に発砲してしまい、客の男は死んだ。
AはBに怒りを覚えつつ、凶悪犯となってしまったため人質を捕らえて逃げている。
小さな町の留守宅に侵入して車を隠し、パトカーをやりすごす。
家の中から外を警戒しつつ、人質の身分証明書を確認すると裕福なヤッピーで
休暇で田舎に遊びにきていた男ということがわかる。
会話をしているうちに、間抜けな事にBがAの本名を口走ってしまう。
「警察にはなにも喋らないから」と言う人質も、Aも、
内心「これで人質を生きて逃がすことはできなくなった」と思う。
そしてAはあっさりとBをナイフで刺し殺す。
人質は「犯人については何も喋らない、ドラッグストアの殺人だけなら第二級殺人だが
自分を殺せば第一級殺人(死刑)になる」、と必死でAに訴える。
「君は(身分証を見たので)私の住所も家族も知ってしまった。
 私が証言したら君は私の家族も狙うかもしれない。家族をそんな危険な目に合わせたくない」
人質の男の訴える口調は誠実に聞こえる。
男の質問にAが『自分のもっとも恐れることは目が見えなくなることだ』と答えるのを聞いて、
「私にとって家族を失うのはその苦痛と同じ事なんだ」
そして、君は自分の魂の救済のために、私を解放するべきだ、と言う。
まだ君の魂には人を信じることによって救済され、本物の人生を送る望みがある、と。


365 名前:2/2 投稿日:2007/01/11(木) 00:46:37
Aは鼻で笑っているが、クリスチャンで牧師のように語る男の話に徐々に心が傾いていく。
人質の男は、自分の信心を証明する、と言う。
自分の縄を解き、表の道まで歩かせてくれたら逃げずに戻ってくる、と。
Aは当然拒否するが、男の信心の話に心が動き、疑心暗鬼ながら男を庭に出す。
男が外にいる間は、Aも銃を離れたテーブルの上に置いたままにしておく。
人質の男が道路近くまで歩いて行った時、突然ヘッドライトが差した。
逃亡犯を探すパトカーが近付いてくる。
人質の男は咄嗟に茂みに飛び込んで身を隠し、パトカーが行ってしまうと家に戻ってくる。
男は戻ってくるというAの信心を、
Aは解放している間銃を取らないという人質の信心をお互いが認めた。
家にあった酒で乾杯をした途端、人質の男が酒の入ったグラスをAに投げ付け、
顔面を蹴りあっというまにAを椅子に縛り付ける。
「待て、俺はあんたを解放するつもりだったんだ、本気で」
と訴えるAに男は「それは分かっている」と言う。
「私も警察にはなにも言わない。君を裏切るつもりならさっき警察の車を止めていたさ」
ドラッグストアで殺された客は、一緒に休暇に来ていた男の親友だった。
男がナイフを取ったのを見て、Aは目が見えなくなるのが一番恐ろしいと言った
自分の言葉を思い出す。
妙な笑いを顔に貼付けた男が近付いて来る。
                          終わり。

366 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/11(木) 00:47:18
悪人がやられるのでいい話だと思われるかもしれないが、
A視点で信心に傾いていく課程が詳しかったんで後味悪かったんだよ・・・

367 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/11(木) 00:50:18
自業自得って言葉、知ってるかい?