蒼い柘榴(池田理代子)

691 名前:1/2 投稿日:2007/01/19(金) 02:03:14
何年か前に読んだ「青い柘榴」って漫画に収録されていた
番外編的な短編の一つ(タイトル失念)
記憶が曖昧なので適当に脳内補完して書きます
知ってる人いたら、間違ってるところとか分かりにくいところとか
あったらフォローしてくれると嬉しいです

「青い柘榴」の全編通しての主人公は、1人の若い女性画家(独身)。
この話は、その女性画家のもとにひょんなことから(このあたりの経緯はよく覚えてない)
高校生くらいの少女が転がり込むところから始まる。
(この番外編に関してはこの少女が主人公で、女性画家は狂言回しみたいな感じだった)

少女のこれまでの生活は、ひどいものだった。
少女には父親がいなかった。死別したわけではなく、
父親にとって少女の母親との関係は「遊び」程度のものだったのだろう。
それでも母は、パートや夜の仕事にまで出かけて、女手一つで少女を育てた。
母は酒を飲んで少女に当たることもあったが、少女は「母も疲れているのだろうから」と耐える。

少女が中学生くらいになったころ、母親に新しい男ができる。
母よりも年下で、どちらかと言えば少女のほうに年齢が近いくらいのその男は、
自分は働きもせずぶらぶらして、何かあると母や自分に暴力を振るう最低の男だった。
こんなヒモとは早く別れてしまえば良いのにと思うものの、母はヒモにぞっこん惚れこんでいるらしく
(流血沙汰になるほど殴られても「あたしには(ヒモ男)しかいないんだよお」と泣き喚いたりする)
それはかなわない。

ある日、少女が鏡の前で髪を整えていると、そこにヒモ男がやってきて少女に性的な暴行を働こうとする。
なんとか抵抗して事なきを得るものの、母に相談しても「お前のほうが誘惑したんだろう」
「あたしがばばあだと思って」などと逆にひどく罵倒される。
守ってもらえないこと、自分が母に嫉妬されていることにショックを受けた少女は
家を出て行くことを決意し、そしてその後、冒頭の女性画家に拾われることになる。


692 名前:2/2 投稿日:2007/01/19(金) 02:08:17
女性画家の生活はそれなりに裕福なものだったので、
少女は女性画家の助手やモデルを務めたり家事をこなしたりしながら、
女性のマンションに置いてもらえることになる。

他のモデルの女の子たちと仲良くなったり、女性画家ともうまく打ち解けることができて
それなりに楽しく日々を送る少女だったが、あるとき、女性画家のもとを頻繁に訪ねてくる
ハンサムで身なりのいい中年男性がいることに気付く。二人の話を聞いていると、
中年男性と女性画家は以前肉体関係にあったらしい。しかし女性のほうはもう吹っ切っているらしく、
それでもしつこく言い寄ってくる中年男性に辟易している感じだ。

そして、その中年男性を見ているうちに、少女はある事実を思い出す。母親に昔聞いた、
父親だった男の話。名前、顔、職業……間違いない、あの中年男性は自分の実父だ。
たまらなくなった少女は中年男性に母親の名前を聞かせ、
「この名前に覚えはないか」と問いただすものの、中年男性は「覚えていないなあ」と思い出せない様子。
それが演技であるにしろ本気で忘れているにしろ、母や自分はこの男にとってそれほどまで
軽い存在でしかなかったのか、と少女は愕然とし、静かな怒りを燃やすようになる。

何日かあと、女性画家が仕事で外泊するため不在になる夜、少女は中年男性をマンションに呼び出す。
女性画家に呼ばれたと思って彼女を探す中年男性だったが、
そこにいたのはヌードモデルを務めるときのように裸に布だけをまとい、
いつになく美しく化粧をした少女だった。
その姿に辛抱たまらなくなった中年男性は、なし崩し的に少女を抱いてしまう。


693 名前:3/2 投稿日:2007/01/19(金) 02:10:31
ごめん、入りきらなかった

翌朝女性画家が帰ってくると、マンションは少女の置手紙を残してもぬけの殻になっていた。
置手紙には、少女が中年男性と肉体関係を結ぶまでの経緯と、
自分は中年男性に抱かれることによって彼に復讐を果たしたのだという意味合いのことが書いてある。
母や自分に(そして女性画家に)対してどこまでも不実だった中年男性。
彼は少女を抱くことによって、近親相姦という大罪を背負うことになった。
しかも、自分がそれを自覚することは一切なく。
おぞましい罪を持ちながらそれに気付いて懺悔することすらできないまま、
これから中年男性は生きていかねばならないのだ、それこそが自分の復讐だと手紙の中で少女は語る。

手紙を読み終えた女性画家は、少女の胸の内を思って嘆息する。
「生まれて初めての紅を唇に差して、彼女は暗い暗い迷宮の奥へと踏み込んでいったのだ」
という女性画家のモノローグで完。

何と言うか、少女の報われなさっぷりがすごい後味悪かった。
好きでもない男(しかも父親)と肉体関係を結ばなければならないとか
(他にもっと効果的な復讐方法はないものか)、
しかも実際のところ中年男性のほうにはダメージが無さそうなのも後味悪い。


695 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/19(金) 02:59:35
>>691-693
乙。面白かった。

>おぞましい罪を持ちながらそれに気付いて懺悔することすらできないまま、これから
>中年男性は生きていかねばならないのだ、それこそが自分の復讐だと手紙の中で少女は語る。

そうは言っても近親相姦て気が付かないなら、中年男性のほうにはダメージがないよね。
なんだか少女のしたことは自分を傷つけただけみたいな気がする。

 

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