死と彼女とぼく/チューリップ王子(川口まどか)

656 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:02:01
「死と彼女とぼく」という漫画のエピソードの一つ

高校生のゆかりは幼い頃に大病から生還した際に、死者を見聞きするようになった。
その彼氏の優作は生まれつき異様に耳がよく、遠くの音を自在に聞けるのは当たり前で、
動物や植物と会話できたりして、潰されて断末魔を上げるダニの声すら聞けるレベル。
ゆかりと同じく死者を見聞きする事もでき、ゆかりより見えにくいが声は聞こえやすい。
要は二人とも死者を見聞きできて、優作の方が特にスペックが高い感じ

ゆかりがテレビをつけると、ニュースでどこかの国の戦争について特集していた。
うつぶせになった死体の中から苦しそうに死者が出てくるのが見えた。
戦争で一気に大勢の人間が死ぬと、彼らは群れをなして苦しみの勢いのままに走り続ける。
遠い国での出来事でもその断末魔はゆかりや優作のもとへも届き、
時には実際に目の前を苦しみながら駆け抜けて行く。
嫌な気分になっていたところ、
つるっぱげで黒い全身タイツみたいなものをはいた小人のような死者が目の前に現れた。
彼はゆかりが幼い頃に出会ったことのある死者で、チューリップ王子とゆかりは呼んでいた。

不思議な能力を身につけてしまった頃のゆかりは、妙な死者たちに悩まされていた。
そんな時に現れた王子は、自分はお花の国からやって来たチューリップ王子だと名乗り、
妙な死者たちをけちらし、ゆかりの話相手になってくれた。
王子は確実にゆかりの心の支えとなっており、死者が必ずしも恐ろしいものではないとも教えてくれた。
他者の心の声も聞こうと思えば聞こえる優作は、
王子が本当はチューリップ王子なんていうメルヘンな存在ではないと悟っていた。

ニュースで知る戦争が過熱していく中、ゆかりの部屋で王子は普通の人間サイズになっていた。
そしていつものおどけた調子とは変わり、悲しみながらゆかりを抱きしめた。
ゆかりは王子を心配しながら、優しく王子を抱き返した。


657 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:02:49
ゆかりは優作に話を聞き、絵画展に行く。
そこには数十年前に戦争の中で死んだという外国の画家の絵が飾られていた。
そこに現れる普通の人間サイズのチューリップ王子。
その顔はいつものつるっぱげではなく、長髪のイケメンになっていた。
個展の中で貼られていた画家の写真と同じ顔で、王子は画家だったとわかった。

王子は死後成仏できずに世界をさまよいその時ゆかりに出会い、
自分の絵が運ばれたのにつられて久しぶりに日本に来たのだった。
「そう、私もゆかりの嫌う殺人の参加者だったんだ」
生前、王子はそれが正義だと信じ、敵を殺すたびに笑顔を浮かべていた。
罪滅ぼしのようにお花の国の王子様などと言って傷ついたゆかりを慰めた事もあったが、
自分はそんな夢の国の住人ではなかったと言う。
まだしばらくは世界をさまよわせてもらうと、王子は去って行った。

やがて優作とゆかりは高校の卒業式を迎えた。
まだ式のはじめの方なのに、ゆかりは号泣していた。
遠いどこかの国で今朝早く、落とされたミサイルによって
大勢の人々が焼かれて死ぬ断末魔が二人には聞こえていたから。

戦争ってなんつーか末端兵は殺しが仕事みたいなもんだし、
正義のためにという意識で進んで殺してても仕方ないと思うんだが、
それでも罪の意識を感じてしまい、そのせいで死後何十年もさまよい続けるとか辛すぎ。
そんでもって王子と同じような人々がこれからも量産されていくのを作中で暗示してるし。
王子が生前と全然違う姿をしていたのは生前の自分を嫌っていたからなのかなーと思うともうなんかたまらん


658 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:08:33
>656-657
なんか物語に入れない話だった・・・

659 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:15:03
国内だけでも百万の人が亡くなっていて、苦しみぬいて死んだ人もかなりの数になるのに。
それは無視?

偽善全開で後味悪い。


662 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:27:23
>>658
ごめん文が下手だった
原作は霊の表現とかがものすごいから是非見て欲しい

>>659
いや、そういうのもごろごろ見ててしょっちゅう主人公たちは鬱になってる
慣れすぎて結構普通にスルーしてるけど、新しく起きた戦争の犠牲者の
真新しい生々しい断末魔には耐えられないという感じ


663 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:28:16
動物や植物の声が聞こえて食事できるんだろうか?
悲鳴を聞きながら死体を食って罪悪感を感じてるなら恐ろしいな。
毎日の事だからって麻痺して何も思わなくなってるなら、まだ人間的だが。

665 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/13(金) 22:36:59
>>663
幼すぎてまだよくわからない頃は食べれてたが、
ある程度育った頃は牛乳しか飲めない状態になった。
植物&死んだものの声も聞こえるわけで、
サラダの嘆きの声とかも聞こえる状態なので食べれない。
(全部の食物が必ずしもそういう反応ではないが)
成長するにつれて多少は制御できるようになって普通の食事も取るようになったが、
高校生になっても魚屋や花屋の前を通る時は足がすくむという描写があった。

オカ板にいるなら目を通してほしい作品だ
後期から現在連載してる続編にかけてはやや絵が濃くてきもくなってしまったが
変形した死者の描写の独創性だけは変わってない


670 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/14(土) 00:17:32
>>665
それよりも、昔は普通に良い漫画だったのが
昨今の少女漫画のエロ化に引きずられて
妙にエロシーンが多くなってしまったのがリアルに後味悪いw
別に今でも話の中身は変わってないんだけどね。

 

死と彼女とぼく 全5巻完結 (講談社漫画文庫)
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死と彼女とぼく 全10巻完結 (講談社コミックスフレンド )
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