ヒョンヒョロ(藤子・F・不二雄)

96 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/19(木) 18:49:01
藤子F不二雄のSF短編『ヒョンヒョロ』も後味が悪い。

主人公のマーちゃん(3歳くらいの男児)は日頃から不思議な行動や発言の多い子で、
この日も「お星様を拾ったんだ」と母親に話して「変な事を言うんじゃありません!」と怒られていた。
そんなマーちゃんが、今度は「大きなウサギさんから手紙をもらった」と両親に話す。
マーちゃんが大ウサギから預かってきたという手紙を読むと、なんと脅迫状。
「マーちゃんへ。ヒョンヒョロを渡さないと誘拐します」と書かれた脅迫状に、
両親は「マーちゃんが誘拐される!」と大騒ぎ。

その日から人質が逃げないようにと、脅迫状の送り主である大ウサギがマーちゃんの家に住み着くようになる。
非現実的なしゃべる大ウサギの登場に加え、誘拐を予告した張犯人が平然と我が家に居座るという異常事態に
マーちゃんの両親は精神的に追い詰められて、マーちゃんに暴力をふるったり次第に家の中がギクシャクしていく。
そんな中でも「ヒョンヒョロさえ渡してくれれば何もしません」と、
大ウサギは穏やかにヒョンヒョロの引渡しを要求するが、
ウサギの言う『ヒョンヒョロ』が何なのかわからない両親は、代わりにありったけの現金と宝石をウサギに手渡す。
宇宙から来たという大ウサギにはそれらの価値がわからず、ガラクタを渡されたと大激怒。
両親から「一体ヒョンヒョロとは何なんですか」と尋ねられると、とうとうブチ切れた大ウサギは
「宇宙最大の価値を持つヒョンヒョロを知らないのか!誘拐を実行してやる!」と牙を剥く。

次のページには、一切の人や生き物がいなくなってガランとした街の風景。
その中を、小さなビー玉のようなものを手に持ったマーちゃんが一人、母親を探して歩いていた。
「ママ!この間拾ったお星様だよ。綺麗でしょ!
 ヒョンヒョロ~って言いながらお空から落ちてきたんだよ!ねぇママ、どこにいるの?」

物語はここで完結。
結局、ウサギが誘拐しようとしていたのはマーちゃんじゃなくて、マーちゃん以外の全人類の事だったらしい。
たった一人きりの世界で幼いマーちゃんがどうなるのか考えるとゾッとするし、
人類が誘拐された最悪の状況の後にヒョンヒョロの正体が判明する辺りも後味が悪い。
この大ウサギも原作初期のドラえもんとピエロをかけあわせたような薄気味悪いルックスなんだよね。


98 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/19(木) 20:19:56
マーちゃん可哀想・・・

うさぎも喋るならとっとと欲しいもの言えば良いのに

 

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