シルビア(フィリップ・K・ディック)

678 名前:1/2 投稿日:2007/06/10(日) 01:37:39
P・K・ディック【シルビア】

ある所に1人の美少女がいるんだが、これが近所の湿地帯の荒野で独り交霊術なんかやらかしちゃう子で
その所為で家族を始め周り中から距離を置かれてた。
一応彼氏なんかもいて、それなりに問題も抱えながら幸せに過ごしていたんだが、
ある日、その女の子(以下A)が交霊術に失敗して死んでしまう。

以前Aから何かあったときは私を召喚してと、
彼氏に甦りの法を伝授していたので、早速彼氏は実行することにした。
だが、Aを生き返らせる為には誰か他の人間の犠牲が必要であった。
そこで彼氏はAの妹を生贄にしようと思い、Aの妹を湿地に呼び出した。
ちょっとアレだった姉だが、家族としてそれなりの愛情を持っていた妹は
Aの供養のためという彼氏(以下B)の言葉にまんまと誘い出されて行ってしまう。
もともとAと違い、美少女でもない普通の女の子で両親に可愛がられていた妹(以下C)に
AもBも良い感情を持っていなかったので、
コックリさんで連絡を取りながら細かい段取りをしながら、CにAを召喚した。

Cの見るべくもないありふれた顔からAの輝くばかりの美しい顔になり、
「私Aよ、ありがとう」と笑う元CのA。

AもBもCの犠牲で甦ったことに一片の罪悪感を抱かず、
あまつさえAの両親に生き返ったことを報告しようと喜色満面A宅へ向かった。

A宅へはまずBが驚かせないために先に行き、Aが甦ったことを両親に告げる。
Aが死んだ所為でさらにBがおかしくなったと思った両親に、Cを殺した事で甦ったAを紹介するB。


679 名前:2/2 投稿日:2007/06/10(日) 01:40:37
死んだと思っていた(正直、やっかい払いできたと思っていた)Aの帰還に驚く両親。
その固まった姿にニヤニヤしながらAといちゃつくB、
だが、あまりにも動かない両親にさすがに不審を感じ凝視していると、
CがAになって甦ったのと同じように顔が歪み、そしてAになった。

3人になったAにBは召喚が失敗した事を悟り、Aを置き去りにして外に逃げる。
外に出て他の人々も次々にA化していく事実に泣きそうになりながらただひたすら逃げつづけるB。
現象の中心点(すなわち元CのA)から離れればどうにかなるだろうと街に出るが、そこでも人々のA化は進んでいく。
もっと遠くへ行けばなんとかなるかとタクシーを拾うB、
だが乗って間もなく運転手もA化し「どうしたの?B」と可愛らしい声で聞いてくるしまつ。
絶望したBはタクシーの後部座席でひとりうな垂れる。そして、B以外のすべての人類がA化する。

うな垂れていたBがそっと顔を起こし周りを見回す。
「B、どこ?」そこに居たのはAだった。

正直、SFしか書かないと思っていたディックのこの作品。短編集に入ってる奴なので長くはないんだが
これを読んで以来、後味の悪い話というと真っ先にこの話が思い浮かぶようになったよ


686 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/10(日) 02:06:04
>>678-679
うわっ、後味悪いね。つーかAが気持ち悪過ぎるw

全世界がA化して、その後どうなるのか考えたら
頭がこんがらがって来るねw


687 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/10(日) 02:13:21
>>678
こええ…
でも「Aだらけだ!ヒャッホウ!!」と思える人間ならかなり幸せな世界だぜ。