花くいライオン(立原えりか)

326 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/28(土) 09:47:44
小さい頃読んだ童話から。
立原えりか「花くいライオン」

ある所に動物たちが住む動物の王国がありました。
主人公のライオンはその国の王様でしたが、ある日自慢のヒゲをなくしてしまいます。
見た目がショボくなって百獣の王たる威厳をすっかりさっぱり失ってしまったライオンは、
友人だったヒョウに王冠を奪われ、キリンや狐達からもガン無視される日々。
孤独に耐えられなくなったライオンは、王国を去りトボトボとあてもなく彷徨い歩きました。
そんな時、ライオンは野原で一輪の白く可愛らしい花を見つけます。
その優しい白い花とライオンは友達になり、二人は幸せな毎日を送っていました。
風が吹く日は白い花より風上に立ち、雨が降る日は体を傘代わりにして白い花を守りました。
ある時お腹がぺこぺこになったライオンが野原をぴょんぴょこしていたウサギをつかまえようとすると
白い花が「そんな鬼畜な事しちゃだめよ!」と無茶苦茶な事を要求してきました。
白い花に嫌われたくないのでライオンは我慢しましたが、当然お腹はペコペコです。
日に日に弱っていくライオンを見て、白い花は言いました。
「私はあなたが好き。いつか枯れてしまう位ならあなたに食べられた方がいい。
 だからわたしを食べて(not性的な意味で)」
ライオンは白い花の言うとおり彼女を食べ、またひとりぼっちになってしまいました。
ヒゲを失い、友を失い、王座を奪われ、孤独になった時よりももっと苦しい気持ちになりました。
雨が降ってもおなかの下にいれて、守ってやれるちいさなものはいなくなってしまったのです。
あの白い花に似た花は色んな所に咲いていましたが、
自分と友達になってくれて、好きだと言ってくれるあの白い花はもうどこにもいません。

それから数年が過ぎた後。
道に迷ったとあるウサギが、小さな白い花が一面に咲いている野原に座るライオンに出会いました。
ライオンと目があったウサギは身を竦ませましたが、ライオンは下を向くとそのまま白い花を食べ始めました。
「遠くの野原に花くいライオンがいる」
その噂は、風に乗って動物の王国にも届いたといいます。

小さい頃は友達を食べてしまうっていうのが凄くショックで怖かった。
今読み返すとエゴ丸出しな白い花がいい味出してるなと思うw


327 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/28(土) 09:51:36
>見た目がショボくなって百獣の王たる威厳をすっかりさっぱり失ってしまったライオンは、
>友人だったヒョウに王冠を奪われ、キリンや狐達からもガン無視される日々。
もともと人望がなかったんだな。

328 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/28(土) 10:29:53
ちょ….お友達の白い花ひでえwww

 

花くいライオン
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まぼろしの祭り―立原えりか童話集2 (角川文庫)
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