ジョシュア―悪を呼ぶ少年―

401 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 1/7 :2008/07/31(木) 16:19:46
映画
ニューヨークの高級マンションに住むブラッドは、妻アビー、9歳の息子ジョシュア、
そこにリリーという娘も生まれ、一家は幸せな日々を送っていた。
リリーの誕生に浮き立つ一家の傍らで、静かにピアノを弾くジョシュア。
子供とは思えない演奏の才能を秘めた彼が沈んでいるのに気が付いたのは
妻の弟である叔父ネッドのみであった。
ジョシュアの音楽の才能を認め、彼を友人として扱ってくれるネッドをジョシュアも好きだった。
ジョシュアは9歳にしては言動が妙に大人びていて、易々とピアノを弾きこなし、
家の中でもスラックスにネクタイという格好で、いかにも優等生と言った子供だった。
両親はそんなジョシュアに安心しているのか、赤ん坊のリリーの世話にかかりきりだった。

「僕はどんな赤ちゃんだった?」
夕食の席で、リリーを挟んで浮かれる両親にジョシュアは問いかける。
顔を見合わせ「とても元気な赤ちゃんだったわよ。」「そう、とても元気だった。」
ジョシュアの問いに笑顔で、しかし曖昧に答えるブラッドとアビー。
その夜。
明かりの消えたリビングで。
ジョシュアは独り、自分が生まれた頃に父が撮ったホームビデオを見つめていた。

夫婦の寝室。
ベビーモニター※から流れてきた奇妙な物音にアビーは目を覚ました。
ブラッドを起こし、一緒に恐る恐るリリーのいる子供部屋に向かうアビー。
リリーは起きていたが、特に異変はなかった。
「首を絞められているような気がして…」怯えるアビーを慰めるブラッド。
「大丈夫だよ。ほらこんなに小さくて…」「本当に…可愛らしいわ。」
子供部屋は暗く、クローゼットの影に立つジョシュアの姿をブラッドもアビーも知る由がなかった。

※(ベビーモニターとは簡単に言うと無線式のマイクを赤ん坊のそばに、スピーカーを
親側に置く事で離れていても子供が泣いたり、咽せたりする様子が確認できる物。
部屋数が多い、広い、赤ん坊でも親とは別室である欧米ではよく使われるが、
日本では一部の保育所や病院で使われる以外あまりメジャーではないと思われる)


402 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 2/7 :2008/07/31(木) 16:20:25
ジョシュアの学校での音楽発表会の日。
何ともお粗末な他の生徒達の演奏を聞き、ブラッドもアビーも内心鼻高々だった。
ジョシュアにはピアノの才能がある。誇らしげにジョシュアの出番を待つ二人。
やがてジョシュアがゆっくりと舞台に現れ、観客席に両親の姿を見つける。そして…
ジョシュアの手が鍵盤を滑る。そして基本中の基本「キラキラ星」を弾き始める。
戸惑いを隠せないブラッドとアビー。ジョシュアはもっと難しい曲を練習していたのではなかったか?
やがて旋律は乱れ、耳障りで奇妙な不協和音を奏で始める。
しかしそれは不協和音に聞こえるが、どこか確信を持ったリズムと旋律があった。
観客はざわめき、演奏するジョシュアの頭が大きく傾いたかと思うと彼は昏倒してしまった。
ジョシュアを心配する両親と、どこか嬉しそうなジョシュア。
しかしその日から一家の中で何かが変わり始める。

リリーは昼夜を問わず泣き続け、上階からは改築工事の物音。アビーは徐々にノイローゼのに陥っていく。
アビーの育児ノイローゼのお陰でブラッドを度々会社を早退や休まねばならず、上司からも注意される。
ジョシュアは何故か自分の玩具や洋服を孤児院に寄付すると整理し始める。
縫いぐるみの腹を割き、綿を抜き出すジョシュア。ミイラの作り方だとブラッドに答える。
抱いてもあやしても泣き叫ぶリリーに苛立ち、ブラッドのちょっとしたジョークに怒り狂うアビー。
リリーのお気に入りのタオルをブラッドの顔面に投げつけ、自己嫌悪に泣くアビー。
和ませようと鬱状態のアビーにお世辞を言って逆上させたり、リリーを使ってからかったり、
縫いぐるみの件で、ミイラに興味があるならと
ジョシュアにエジプトの歴史の本をプレゼントしたり的外れなブラッド。
そして益々苛立つアビー。
ジョシュアと彼を取り巻く世界は次第に乱れ始めていた。


403 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 3/7 :2008/07/31(木) 16:21:08
何をしても泣き続けるリリーに消耗しきったアビーは明け方、キッチンで水を飲んでいた。
寝室に戻ろうと踵を返した瞬間、冷蔵庫の影に音もなく佇むジョシュアに驚きグラスを落としてしまう。
「僕を愛してる?」
いつになく寂しそうなジョシュアを抱き締めようとして、アビーはグラスの欠片を踏み抜いてしまう。
遂に気分転換に出歩くことも出来ず、理由もなく泣き続けるリリーと部屋に取り残されたアビー。
ブラッドはアビーの為を思って自分の母親に手伝いに来てくれるように頼むが、
それを知ったアビーは激昂し、元々信仰の違いや、姑としてのお節介な一面でギクシャクしていたこともあり、
子供を奪われてなるものかとブラッドやその母親(アビーにとって姑)を口汚く罵るのだった。

そしてブラッドが可愛がっていた犬が急死、悲しむブラッドのそばで大袈裟に泣くジョシュア。
そんな息子の姿に不安を覚えるアビー。そしてある大事件が起きる。


404 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 4/7 :2008/07/31(木) 16:23:55
ジョシュアに誘われ家の中で隠れん坊をする事になったアビー。
松葉杖をつきながらも、ジョシュアを喜ばせようとあちこちを探し回るがジョシュアはいない。
次第に不安と苛立ちを募らせるアビーが見た物は空っぽのベビーベッドだった。
アビーは半狂乱になり、遊びは終わりだと探し回るがジョシュアもリリーも見つからない。
ブラッドに助けの電話をしたその時、天井から物音が…。ジョシュアだ!上階にいる!
アビーは怪我した足を引きずりながら、非常階段から工事中の上階へ向かう。
鉄骨が剥き出しになり、粉塵よけのビニールが垂れ下がる中へアビーは恐る恐る足を踏み入れる。
その時、大きな音を立てて非常階段への扉が閉まった。
駆けつけたブラッドがようやくアビーを見つけ、自室に連れ戻す。
泣きじゃくるアビーをブラッドは優しく慰める。
「大丈夫、何も心配はないよ。ほら…」
ベビーベッドにはリリーがいた。アビーは混乱し、やがてひとつの結論に達する。
「パパ…」
心配そうな顔で両親の元に現れたジョシュアを見て、アビーは絶叫する。
「お前がっ!何もかもお前がぁ-!!」
ジョシュアに掴みかかろうとするアビーを押さえ付けながら、
ブラッドは遂に彼女を精神病院に入れることを決意した。
病んでしまった妻の代わりに母親を呼び寄せたブラッド。
ジョシュアは祖母と上手くやっているようだった。
安心したのも束の間、ある学校帰りのこと。博物館に祖母とリリーの三人で訪れたジョシュアは、
祖母がトイレに行っている間にリリーのベビーカーを押して外に出て行ってしまう。
そして無表情で階段の縁まで歩き続け、リリーの入っているベビーカーから手を放す…

405 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 5/7 :2008/07/31(木) 16:26:12
「ジョシュア!」
博物館に向かって階段を上っていたブラッドは、母親の叫びを聞いて思わず駆けだした。
ブラッドが目にしたのは手足をあらぬ方向に投げ出し、頭から血を流し息絶えた母親の姿と
階段の上で衆人環視の中、静かに佇むジョシュアの姿だった。
そしてブラッドはある物を見つけてしまう。
それはジョシュアが生まれた当時のホームビデオで、リリーのようにむずかり泣き喚くジョシュアと
初めての育児と泣き止まないジョシュアに苛立ち、
カメラを構えたブラッドに怒鳴りつけるアビーの姿があった。
「いい加減に撮るのを止めて!」「独りにしておいて!」
アビーの怒鳴り声にかぶせるようにジョシュアの泣き声が響く。
ふと画面が乱れた。
ナイトモードで映し出されたのは、リリーの寝室だった。
リリーの顔のアップ。そして囁く声…
「誰にも愛されないよ。」
画面に釘付けになるブラッド。画面がまた乱れ、映し出される暗闇。
撮影者がカメラを持ったままどこかに隠れたようだった。
そしてアビーと自分自身の声が流れてきた。
「首を絞められているような気がして…」
「大丈夫だよ。ほらこんなに小さくて…」
「本当に…可愛らしいわ。」
画面は…影から両親の姿を伺うジョシュアの姿を映していた…

406 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 6/7 :2008/07/31(木) 16:29:44
狂ったように金槌を振るうブラッド。「今日からリリーとここで寝る。」
リリーの部屋のドアの内側にドアチェーンを取り付けるブラッドに、ジョシュアが呼びかける。
「パパ、独りで寝るのは怖いよ。」
ブラッドは答えなかった。チェーンをしっかりかけ、リリーを抱いて眠りについた。
感情的になりすぎたかも知れないと、翌日ブラッドはジョシュアと和解を試みる。
ジョシュアの身体に不審な痣や傷を見つけ、問い詰めるもジョシュアは転んだとしか言わない。
ブラッドはカウンセラーを家に呼び、様子を見てみることにした。
カウンセラーと話しながら絵を描くジョシュア。その絵は黒と赤で描かれ、血を流す人々の姿があった。
ブラッドは驚き、カウンセラーに話を聞こうとするも
「これは虐待を受けた子供が描く絵だ」と激しく非難される。
誤解だと訴えるも取りつく島もなく、ブラッドは孤立無援になってしまう。

407 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 7/7 :2008/07/31(木) 16:33:45
何かが狂っている。
鬱々としたままリリーとジョシュアを連れて公園に行くブラッド。父子らしく仲良く見せなければ。
沢山の子供達が公園のオブジェに上って遊んでいた。周りには同じようにベビーカー連れや親子がいる。
「遊んできても良い?」
ブラッドは頷き、ジョシュアは走っていった。その途端、リリーが泣き出した。
「お気に入りのタオルはどうしたんだ?」
ブラッドはベビーカーに屈み込んで探してみたが、タオルは見つからなかった。
リリーは益々激しく泣き叫ぶ。
「ジョシュア、リリーのタオル知らないか?」
聞こえているはずのジョシュアは、手の届かない高みから答えた。
『ジョシュア、リリーのタオル知らないか?』
「ジョシュ、ふざけるな。どこにやったんだ?!」
『ジョシュ、ふざけるな。どこにやったんだ?!』
「止めろジョシュ、いい加減にしろ!」
『止めろジョシュ、いい加減にしろ!』
決して目を合わせずにオウム返しするだけのジョシュア、泣き止まないリリー。遂にブラッドは本気で怒り出す。
「降りてこい!今すぐにだ!!」
ジョシュアを半ば引きずり下ろすと、一瞬ジョシュアが怯えたように見えた。
思わず掴んでいた手がゆるむ。しかし次の瞬間、
「誰にも愛されないよ。」
ジョシュアの囁きを聞いた瞬間、ブラッドは我を忘れた。
拳でジョシュアの顔面を殴る。逃がさないように腕を掴んだまま平手打ちにし、何度も打ちすえる。
数人にがかりで押さえ付けられ、ジョシュアから引き離されるまで何度も何度も…

408 名前:ジョシュア―悪を呼ぶ少年― 7/7 ラスト :2008/07/31(木) 16:37:57
取調室で誤解を訴えるブラッド。しかし9歳の子供に大声で怒鳴りつけ、殴ったのを大勢が見ていた。
かつての仕事の仲間も分が悪すぎる、と見捨ててしまう。

そしてジョシュア。
叔父ネッドに引き取られることになったジョシュアとリリー。
引っ越し業者が荷物を運び出していく中、ジョシュアはネッドに自作の歌を弾き聞かせる。
慌ただしい引っ越し風景の中でもジョシュアだけは独り落ち着いているようだった。
子供部屋でジョシュアの書いた黒のクレヨンで塗りつぶされ、炎の中で悶える人や血を流す人の絵を
無造作に掻き集めダンボールに入れていく作業員。
楽譜、教科書、本、およそ子供らしくない持ち物ばかりだ。
しかしチェストの上には藁を敷き詰めたガラスケースがあり、ジョシュアの可愛がっていたモルモットがいた。
引っ越し作業員が覗き込むと身体を丸めてうずくまり眠っているようだった。
作業員がガラスケースを持ち上げると、眠っていたはずのモルモットがころりと腹を見せて転がった。
目と口を縫われ、腹を一直線に割かれた後、綿を詰められ黒い糸で乱暴に縫い合わされたモルモット。
作業員は気付かない。リビングから静かにジョシュアの歌が聞こえてきた。

―僕はただ愛して欲しいだけなのに…―
End

7分割よりオーバーしてしまいました。済みません。

はっきりとジョシュアが何かするシーンはありません。
だから観客が想像、推察するしかなく、余計にモヤモヤ感が残りました。
なんか、見終わった後の「え、アイツお咎め無しなの?!」と言う放り出された感が物凄かったです。


409 名前:本当にあった怖い名無し :2008/07/31(木) 16:53:10
こんな気持ち悪いガキなら殴りたくもなるわな

418 名前:本当にあった怖い名無し :2008/07/31(木) 18:55:42
>>401
やや遅レスだが
ヒステリックな母親のせいでジョシュアも家庭も狂ってかわいそうにな。

419 名前:本当にあった怖い名無し :2008/07/31(木) 20:04:09
題名が悪を呼ぶ「子供」だったら、実は呼んでたのはジョシュアではなく
リリーの方だった、みたいな含みが生まれてより後味悪くなったかも

421 名前:本当にあった怖い名無し :2008/07/31(木) 21:44:16
弟妹のいる人には>>401のジョシュアの気持ちが痛いほどわかるな。
過去の嫌なこと思い出しまくって後味悪さ増量。

423 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/01(金) 00:08:55
>>421
いや全然わからん。

わかるやつって学校に乗り込んで教師刺したやつと同類だけじゃないかな。
僕が不幸になったのは親or教師が悪いんだ=自分のせいじゃなくて周りが悪いと
責任の所在だけ求めて現実と向き合わない。


424 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/01(金) 00:34:57
でもホントの意味で現実と向き合ったら生きていけない奴が多いのも事実。
そういう場合は親の愛情とかで洗脳してごまかしつつ育てるしかない。

429 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/01(金) 05:38:25
>>423
下が生まれた事によって、周りが前のように自分を見てくれなくなった
それで弟や妹に親を取られたような気分になるってのは漫画やドラマの話でよくあるパターン

気持ちがわかるってのは、その話をしてるんじゃない?

 

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