ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その120 » ひかりの森(押切蓮介)

64 名前:本当にあった怖い名無し :2011/02/06(日) 13:05:44
「光の森」(押切蓮介著・「椿鬼」1巻に収録)

明治初期・ある地方の山村にキヨという幼い娘が父と二人で暮らしていた。
父はもともと腕の良い猟師だったが妻を亡くしてから殺生が怖くなってしまい、引きこもりのような生活を送っていた。
キヨは働かなくなった父の代わりに山へ行っては山菜を積み、家事もしなければならなかった。
自分と同年代の女の子達はかわいい着物を着て、肉や魚を食べ、楽しそうに遊んでいる。
ボロボロの着物1枚しか持っていないキヨは皆の笑われ者になっていた。
年上の男の達に「汚い」「怠け者の子」といじめられたキヨは父親をなじり、夜の森に家出してしまう。
真っ暗な森でキヨが腹を空かせていると鹿が現れ、苺やキノコがどっさり入った籠を差し出した。
「おらにくれるんか?こんな気前の良い鹿みたことないぞ」
するとイタチが現れ、籠の中の果物をねだり始めた。
キヨがイタチに食べ物をくれるとお礼にイタチは森を案内してくれた。
夜の森は光に溢れ、動物や虫たちが楽しそうに遊んでいた。
小鳥たちはキヨに花やサクランボをくれた。
熊はキヨの頭に花をかざり、肩車してくれた。
イノシシはキヨを背中に乗せてくれた。
キツネと狸はキヨと一緒に輪になって踊った。
キヨは母親が死んで以来、久々に笑った。


65 名前:本当にあった怖い名無し :2011/02/06(日) 13:07:34
その時、一発の銃声が響いた。

「キヨぉぉっぉぉお!!!」
銃を撃ったのはキヨの父だった。
キヨは動物に体を食まれていた。
小鳥はキヨの目玉をつついていた。
熊はキヨの頭をかじっていた。
イノシシはキヨの足を食べていた。
キツネと狸は熊の一撃を受けて裂けたキヨの腹からこぼれた腸をすすっていた。
キヨの口の中には幻覚を見せる毒草があった。
光あふれる夜の森はキヨが見た幻覚だったのだ。

キヨを食んでいた動物たちを銃殺したキヨの父は森に火をかけた。
業火は、木を、草を、虫を、動物を、花をすべて焼き尽くした。


66 名前:本当にあった怖い名無し :2011/02/06(日) 13:21:31
>>64-65
後味は確かに悪いんだけど、お話として良く出来てるなぁ。

92 名前:本当にあった怖い名無し :2011/02/07(月) 00:46:59
>>64は最後、幻覚から醒めないままの女の子が
周りの動物達をどんどん撃ち殺していく父親を見て
「父ちゃん(?)なんか大嫌いだ」と思いながら死んでいくところが後味悪い
父の気持ちもキヨの気持ちもどちらも一理あるだけに

 

椿鬼 1 (ぶんか社コミックス)
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