ホーム » 小説 » 小説/ま行 » 真昼の悪魔(遠藤周作)

174 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/29(日) 01:57:23.30
遠藤周作と言えば「真昼の悪魔」と言う小説。
もう20年以上も前の小学生の時に一度読んだだけなので、あらすじもラストもほとんど忘れていますが、
確か美人女医が主人公で、女医は表向きは優しくて天使みたいなのに、裏の顔は残虐で冷酷で、
こっそり患者を殺したり、背徳的な恋愛をしたりしていた、と言うような話だったと思います。

ある神父が女医を怪しいと思ってどんどん調べて行く…と、ミステリーだと思ってたのに、
終盤で悪魔みたいな女医は、本当に悪魔(ルシフェル)だった事がわかり、
幼い私の頭は???え?これファンタジーなの???となりました。
大人になってから遠藤周作が敬謙なクリスチャンだって事を知って、あー、あの話はそうだったのか、と気付きました。
後味が悪いとは違うかも知れませんが、私的にはちょっとびっくりしたので、スレチだったらすみません。
あと、「真昼の悪魔」を読んだ事のある方がいらっしゃいましたら、ラストがどうだったが教えて頂けると嬉しいです。


201 名前:真昼の悪魔 1/5くらい :2011/06/01(水) 22:56:38.99
>>182です。
遠藤周作の「真昼の悪魔」読み直したので書いてみます。忍法帳の関係で
長文書き込めないかもしれないので、区切り悪くなるかもしれない。

===
教会での説教で外国人神父が信徒に悪魔の話をしている(この後出てくる神父は全て同一人物)。
悪魔は映画「エクソシスト」に出てくるような存在ではなく、埃のように人の心に積もっていくのだと語る。
礼拝後、その教会の席から立ち上がった若い『女医』がいた。
彼女はここ1年、教会に通っているが、心の空虚感は埋めようがない。
もちろん周囲にはそんな気配は感じさせない。
男性に誘われ、応じることもある。必要のない悪を感じたいからだ。ホテルの部屋で身体を許す条件として、
男性に手をテーブルに置かせ、それにいきなり針を突き刺したこともある。

難波という名の学生が、結核で入院した。ここは美しく若く優秀な女医が4人いる大学病院だ。
(この中に『女医』もいるが、名前は最後の部分まで明かされない。
 一応推理小説でもあるのだが、比重は高くないのでここでは名前は最後まで省く) 
彼が入ったベッドの前の入院者は、病が治らないのに自主退院したらしい。


202 名前:真昼の悪魔 2/5くらい :2011/06/01(水) 22:58:34.02
『女医』は、高校の頃読んだドストエフスキーの『悪霊』を思い出す。その主人公は幼い少女を犯した。
少女はその後首を縊った。主人公はそれを承知しつつ隣室で物音を聞いていた。
主人公は自身の空ろな心を復活させるために、世間が本当に非難する行為をして、
自分が呵責を感じるかを試したかったのではないかと感じた。
彼女もそれを試してみることにした。彼女の頭を、聖書の言葉が走った。
―幼き者の一人を躓かせるものは、大いなる臼にかけられ、海に投げこまれるがましなり

『女医』は入院している知恵遅れの少年少女に目をつける。女児は京子という名前だ。
人気のない場所に男の子を呼びよせた女医は、実験用の二十日鼠に京子ちゃんという名前をつけてその手に握らせる。
「京子ちゃんが動く。動く……動かなくなった……手を開いてごらん……動かなくなっている、京子ちゃんが……」
二十日鼠やトカゲを、握り締めたり水で溺れさせて殺す感覚を楽しむことを覚えた男の子は、
ある日本当の京子ちゃんを池に突き落とした。命に別状はなかったが、病院内は大騒ぎになった。
だが『女医』の心は白けたままだった。


203 名前:真昼の悪魔 3/5くらい :2011/06/01(水) 23:01:33.54
これと前後して、病院で寝たきりの老女の点滴薬の取り違えという事件がおきる。
療養生活が退屈でしょうがない難波は、芳賀という青年(父親の入院の付き添いで病院に出入りする健康体)と共に、
病院内の変異を探ろうと試みる。
前の入院者に芳賀が話を聞きに行くと、「女の声で催眠術をかけられ、犬のまねなど屈辱的なことをさせられた」とのこと。
このことから異変の犯人は女医の誰かではないかと難波は推理する。
疑念を看護師にぶつけて病院内の噂にし、疑わしい人間を炙り出そうとしてみた。
まもなく彼はひどい下痢に見舞われる。誰かが下剤を食事に混ぜたのだ。
難波はひどい疑心暗鬼に見舞われ、食事もとれなくなってしまい、この病院から出たいと訴える。

『女医』は教会を訪れ、神父に告解をする。彼女の語る罪にぞっとして、
「心に愛が生まれなくても、形だけでも善行を積みなさい」と繰り返す神父に失望する。

『女医』は、組合わせると奇跡的に副作用がなくなるらしい3つの抗癌剤の併用治療を
上司に提言する。上司はちょうど有力者の患者を抱え、治療法に悩んでいたのだ。
彼女と上司は秘密裏に寝たきり患者の老女(以前点滴薬を間違われた)にその注射を行う。
副作用は起こらず、有力者の治療も成功し、これからこの病院は有力者からの援助が期待できることになった。


204 名前:真昼の悪魔 4/5くらい :2011/06/01(水) 23:07:10.59
難波は神経症と診断され、神経科の病室に移されてしまった。
もう何を訴えても、家族すら「ノイローゼだから」と相手にしない。前の患者も同じ経路を辿ったらしい。
自分の話を裏付けてくれるからと頼んで呼んでもらった芳賀にも
「そんな犯罪は知らない。疲れているのでしょう」と裏切られ、自分の精神状態に自信がなくなる。
伝手を頼って神父に来てもらい、彼を身元引受人とすることで退院(転院)を許される。

神父は芳賀と面会し、なぜ難波を裏切ったのか問い詰める。当初芳賀は「真犯人をあぶりだすため」と答えるが、
最後には狡そうな笑いを浮かべて「だって神父さん、そうでもしなければ退屈じゃァないですか」と言い放つ。
神父は悪魔の存在を感じ「ルシフェル!」と叫ぶ。
神父は病院で『女医』と再会、彼女が犯人であると知る。彼女に対して絶望を感じながら
「私は毎日、あなたのために祈ります」と行って立ち去る。
退院する難波を知恵遅れの男の子が見送る。難波がいなくなったとき、その子はニタッと笑った。
『女医』は彼女の悪魔的な部分を多少見せられつつもそれを受け入れた資産家の平凡な男と
結婚し、今後も空虚な心を抱えつつも豊かな人生が続くことが約束されている。老女を使って、新たな実験も行っている。
難波がいたベッドには新しい患者が入った。彼も難波のように、自分の前の患者について好奇心を感じているらしかった。

====
個人的感想としては、どちらかというと神父の方が鬱陶しい。あなたのために毎日祈りますと口では言うのだが、
心の中では女医や芳賀を断罪して切り捨てている。女医は自身の空しさや干からびた心を良いものとは思っていないので、
もう少し役に立つアドバイスしろやゴラ、とも思うw
知恵遅れの男の子が、凶暴な方向に育つ印象になった部分が自分は特に後味悪かった。

長々と書き込み失礼しました。宗教観は強く、基督教信徒ではない自分はピンとは来ないけれど、
面白いし、読みやすい小説だと思う。
4/5で終わったw


205 名前:本当にあった怖い名無し :2011/06/02(木) 00:19:43.15
長文乙!楽しくすらすら読めたよ
この遠藤周作って人はキリスト教徒でありながらもガチな人ではなかったそうだから
そういうキリスト教や神の限界みたいなものを書いてるのかな

206 名前:本当にあった怖い名無し :2011/06/02(木) 07:22:33.14
キリスト教や神の限界とか、キリスト教徒からすれば不遜な事は書いてないと思う。
書いてたとすれば人間側の限界のほうではないかな。

211 名前:174 :2011/06/03(金) 01:36:29.67
>>201ありがとうございます!
芳賀の存在はすっかり忘れてました。神父もそんなヘタレだったか~。
結局女医に天罰は当たらないから、後味悪いですね…

 

真昼の悪魔 (新潮文庫)
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