ホーム » 小説 » 小説/ま行 » ミス・マーサのパン(O・ヘンリー)

379 名前:本当にあった怖い名無し :2011/09/20(火) 18:07:17.84
アガサクリスティーの短編小説
イギリスの田舎町の小さなパン屋の店員Aは、
見かけも地味な婚期を逃した(今風に言うと)アラサー女性。
淋しくつまらない毎日の唯一の楽しみと言えば、
2~3日置きにパンを買いにやってくる青年Bとのカウンターを挟んでほんの僅かの会話だけ。

Bは髪も髭も伸び放題で、衣服も擦り切れた如何にも貧しい風体で
毎回、商品の中でも一番安い何も入っていない堅パンの固まりを半斤だけ買ってゆくのだが、
ただの店員のAに対してもいつも礼儀正しいBにAは仄かな恋心を抱くようになり
食べるのにもことかいていそうなBに少しでも喜んで貰えたら・・という気持ちから
半斤をほんの僅かだけ多めに切って渡したりして
「有難う!お嬢さん」と目を輝かして喜ぶBの姿に慰められていた。

ある日、またいつもの様にやってきたBにAはサプライズを思いつく。
こっそりBの見えない位置で、パンに切れ込みを入れると
中にたっぷりとピーナッツバターを塗ると知らん顔でBに渡し
帰り姿を見ながら「きっと家で一口食べて驚くでしょうね!」と
彼が驚き喜ぶ様を思い浮かべてワクワクしていた。

程なくして彼が急ぎ足でこっちにやってくるのを見えて
「まぁ!飛んでくるほど喜んで貰えたなんて・・もしかしたら」と期待していると
息切らしたBはAの前に立つと一言
「この醜悪な年寄り魔女め!なんてことしてくれたんだ!」
と今まで聞いた事もない汚い言葉で罵り始めた。
実はBは貧しい画家であり、近く開かれる品評会に全ての希望を託して
大作を作成している最中であり、最高傑作が出来あがって
最後に下描きの線を(パンを使って)消そうとしたら、
そのパンにはピーナッツバターがたっぷりと・・・作品は台無しとなったのであった。
茫然としているAを残して「こんな店、二度と来るか!」と怒鳴ってBは去っていった。

 

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)
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