ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その126B » 呪いのシリーズ/双星のわな(曽祢まさこ)

437 名前:本当にあった怖い名無し :2011/12/18(日) 15:27:03.61
呪術師が出てくる漫画の1エピソード。
呪術師は誰かを殺したいと願う人間のもとに夢でメッセージを送り、
己の十年の寿命と引き換えに人を呪い殺す事を請け負っていた。
そんな呪術師のもとに今日もまた依頼人がやってくる。

その日の依頼人は漫画家の若い女性。
一応漫画家だが売れっ子には程遠く、読み切り短編がたまれば時折単行本が出る程度だった。
そんな彼女には同じ漫画家の友人がいた。学校の漫研時代から一緒に漫画を描き続けてきた友人で、
最初の頃はそんなに上手ではなかったが一歩づつ着実に力をつけ、こちらは今や堂々たる売れっ子になっていた。
同じような時期に漫画を始め、同じ少女雑誌に投稿して同じようにデビューしたのに、
どんどん開いていく友人との差に漫画家はあせりを覚える。
それでも呪い殺したいほどの殺意を抱いているわけではない。
しかしある日、大御所漫画家のところに手伝いに行った際に聞かされたとても良く当たる占い師の話に興味を持ち、
自分の運勢を占って貰ったところ、自分の運勢が開けないのはその友人の存在だと指摘される。

占いの結果を聞かされてもまだ迷っていた漫画家だったが、
密かに憧れていた男性編集者がその友人と近いうちに結婚すると聞かされてついに決心し、
呪術師のもとを訪れたというわけだ。そして呪術師は依頼を受け、漫画家の友人を呪殺した。
しかし売れっ子漫画家が一人居なくなったからといって、
短編読み切り作家が急に脚光を浴びる事も無く、憧れていた男性編集者も、
結婚間際の婚約者を失った傷心男性になっただけで、漫画家と恋仲になることも無かった。

つづく


438 名前:本当にあった怖い名無し :2011/12/18(日) 15:29:19.53
つづき

友人が亡くなる前と全く変わらない周囲の状況に、
なんのために友人の呪殺を依頼したのだろうと悩みながら漫画家が家路につくと、
彼女の数少ないがかなりディープな男性ファンが待ち伏せていた。
憧れの作家先生に会いたくてきたようだが、漫画家に取っては大して嬉しくも無い。
むしろかなり思いつめているような男性に恐怖を覚え、思わず逃げ出したところ、
階段で足を滑らせて打ちどころを悪くし、そのまま彼女も亡くなってしまった。
男性ファンは直接手を下したわけでもないし事故なので、大きく報道されるようなこともなかったが、
それだけに「ストーカーの男性ファンに殺されたらしい」などと、
センセーショナルな憶測や噂となって人々の興味を引き付けた。

そしてその漫画家が親しくしていた漫画家の友人の死去が重なっていたこともあり、
同郷の少女二人が漫画家を目指し、親交を深め切磋琢磨し、そして揃って夭折した事が美談のように取り上げられ、
漫画家の存在はその友人とセットになって語られるようになり、二人の人生がドラマ化までされることになったという。
そのメディア化によって漫画家とその友人漫画家の作品は共に脚光を浴び、
埋もれていた彼女の作品は残らず日の目を見る事ができた。
漫画家自身は友人に殺したいほどの殺意を抱いていたわけではない。ただ自分の作品を埋もれさせたくない、
そしてそのためには友人の死が必要だと占い師に示唆されたことで、呪殺に踏み切ったのだ。
そして彼女の願いは叶った。友人と、それに続く自分の死によって…。

後味悪いと言うか、切ない願いの叶い方だなあと思った話でした。


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