ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その132 » バロック・コンチェルト(まつざきあけみ)

378 名前:1/3 :2012/07/23(月) 12:31:32.55
まつざきあけみの短編。
「売れない探偵作家の一郎さんと担当編集者の誠(せい)さん」シリーズ。

昭和30年代、天才美少女ピアニストとして有名になりつつあった小百合は、
カミナリ族(珍走)のヒロシとこっそりつきあっていた。
(名前は適当です)

小百合がヒロシに、
「ライバルのあいつさえいなければ今度のコンクールで優勝できるのに」
と愚痴った翌日、ライバルは暴漢に襲われて右手に重傷を負い、ピアノを断念せざるを得なくなる。
犯人はヒロシだった。
「私はそんな事頼んでないわ」
と抗議する小百合に、ヒロシは口止め料を要求する。
夕暮れ時で、二人は橋の袂にいた。
脅迫された小百合は、ヒロシを川に突き落として殺す。
呆然としていると、貧しい身なりの醜い少女が通り掛かり、親切に声をかける。
「あの、どうかなさったんですか?もう暗いですから、気をつけてくださいね」

顔を見られたと思い絶望するが、平静を装って立ち去る小百合。
翌日以降の報道を注意深く調べるが、少女の証言は曖昧だった。
曰く、暗いので顔はわからない。若い女性だった。上等な洋服だったと思う。


379 名前:2/3 :2012/07/23(月) 12:33:18.63
小さなホールでのリサイタルのテレビ中継が決まり、小百合は不安に苛まれながらも見事な演奏をやってのける。

放送後も何も起こらず、小百合は安心しはじめる。
テレビ画面は小さいもの、顔なんてわからないわ。
あの子は貧しげな身なりをしていた。クラシックなんか聞くはずないわ。ブスだし。
音楽といえば、古いラジオで歌謡曲を聞くのがせいぜいに決まってるわ。だってブスだもの。

とあるリサイタルの日、目撃者の少女が豪華な花束を抱えて楽屋にやって来る。
小百合は死ぬほど驚くが、その醜い少女、トヨはキラキラした憧れの眼差しを向ける。
同い年の彼女は成金宅の女中で、奥様の代理で花束を届けに来たのだった。

小百合はリサイタルのたびに花束を届けるトヨと親しくなり、女中として雇うことにする。
危険な証人を手元に置き、監視しながら恩を売るためである。

格式の高いホールでのリサイタルの日、トヨは最前列に座ることを許される。
客席の照明が落ち、舞台に小百合の姿が浮かぶ。
拍手を掻き消すトヨの絶叫。


380 名前:3/3 :2012/07/23(月) 12:35:10.27
「警察を呼んでください、あの人は人殺しです!」
「確かにあの顔です、思い出しました!」
「カミナリ族の少年を殺したのは、小百合さんです!」

犯行時の黄昏どきの暗さと会場の暗さが似ていたので、
橋の袂で呆然としていた小百合の顔を思い出した、という事になったが…

売れない探偵作家の、やけに顔の広い一郎さんが独自の推理を担当編集者の誠さんに語る。
誠さんは小百合を取材していて、醜いトヨとも親しくなっていた。

トヨは小百合の隠れファンだった。
街頭テレビのニュースで小百合を知ってから、乏しい収入をやりくりしてクラシック専門誌やレコードを買っていた。
「秘密を握るのは楽しかったでしょうね」
「愛する少女を得意の絶頂からどん底に叩き落とす、歪んだ愛のエクスタシー」

小百合の無意識の差別意識が後味悪い。
一郎さんの推理も、推理でしかないんだよな。
それから、松本清張「顔」を参考にしたのかな。


382 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/24(火) 00:20:32.49
小百合みたいなのは普通だと思うが
トヨは…何て嫌な奴…反吐が出る。

 

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