ホーム » 小説 » 児童文学・絵本・昔話 » 幸せの翼(ジミー)

811 名前:1/2 :2012/12/04(火) 00:54:16.76
ジミー著『幸せの翼』より

主人公は何をやらせても一番で、幸福な家庭にも恵まれ、
次期社長の座も約束されているという、リア充を絵に描いたような存在。
そんな彼の背中にある日突然、白い翼が生え始める。
周りはなんと言う奇跡ともてはやすが、これを機に彼の人生が暗転し始める。
子どもからは無茶をせがまれ、マスゴミに追い回され、
昼夜問わずに羽ばたき続ける翼に主人公も妻はイライラ、
ついには家族全員がひどい羽アレルギーになるなど、あまりのストレスに耐えかねて彼は激太り。

そして翼は飛翔できるだけの大きさに成長し、人々はさらに彼を「がんばれ!早く飛べ!」もてはやす。
しかし翼はまったくコントロールが効かず、
勝手気ままに飛び回るせいで日常生活を送る事さえままならなくなってしまう。
主人公は翼を縛りつけたり、羽根を抜くなど、あの手この手で言うことを効かない翼に対抗するが、
翼も全力でこれに抵抗してくるため、焼け石に水。
ついには努めている会社から「仕事に打ち込めるように」と、
どこへ行くにも檻の中に閉じこめられながらの生活を強いられてしまうのだった。


812 名前:2/2 :2012/12/04(火) 00:55:37.04
どうすることも出来ない無力感にさいなまれる中、
ある日主人公は(語り部でもある)付き人に「どこか遠くへ行きたい」と訴える。
海へ行けば、遠くを飛び交う鳥を目で追い続け、山へ行けば、さえずる鳥に呼びかける。
多くの鳥たちと触れ合った後、家の周りや会社の周りを無数の美しい鳥たちが飛び回るようになる。

しかし、彼の心が回復の兆候を見せ始めたまさにその時、会社は翼を切れという決議を出してしまう。
手術の日、彼は付き人をきつく抱きしめる。付き人が言えたのは「がんばって」の一言だけだった。
そして麻酔がかけられ、いよいよ手術…というその時、翼が激しく抵抗し、
ついにはガラス窓を打ち破って彼を連れ去っていった。

すぐに捜索願が出され、昼夜を徹した操作が続けられたが、彼の行方はようとして知れない。
一ヵ月後、会社では新しい社長が就任し、三ヶ月後に妻は新社長と再婚。
五ヵ月後、子どもたちは外国の学校に追いやられ、七ヵ月後、両親は悲しみのうちに死去。
一年後、会社は多国籍企業に買収され…彼の存在はしだいに忘れ去られていく。

月日が流れ、鳥人間となった彼の目撃談や、遭難したところを彼に救われたという話が語られる。
そして元付き人は漂う雲を仰ぐ時、彼のことを懐かしく思い出し、
「がんばって。あなたはあなたらしく」とつぶやくのであった。

ラストはさわやかな感じでまとめているとはいえ、残された彼の家族が気の毒…
「幸せかどうかは、傍目から見ただけではわからない」がテーマなんだろうが、
主人公の人生を狂わせただけでなく、彼の家族も会社も崩壊させた「幸せの翼」。
タイトルが皮肉すぎる。


813 名前:本当にあった怖い名無し :2012/12/04(火) 02:40:43.10
ラストの台詞の割に主人公らしさなんか微塵も出てこない話だったな……

814 名前:本当にあった怖い名無し :2012/12/04(火) 09:08:44.09
操られてるのに貴方らしくと言われても

815 名前:本当にあった怖い名無し :2012/12/04(火) 09:43:16.34
自由にもならない翼に好き放題されてるのにがんばれもクソも…

828 名前:811 :2012/12/04(火) 17:10:18.57
>>813 >>814 >>815
あの翼の正体は、華やかな人生の裏側で抑圧されてきた「あなたらしさ」の象徴なんじゃないかと解釈している
しかし、彼にとって本当の幸せが家族も人間社会もすべて否定することだったと考えると、余計に後味が悪い
この絵本が発売された当時、各地のレビューは絶賛の嵐で様々な解釈も生まれたが、
「モヤモヤした」という意見もそれなりにあるようだ

 

幸せの翼
幸せの翼


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