料理人(ハリー・クレッシング)

3741/3:2012/12/25(火) 03:43:13.02
ハリー・クレッシング「料理人」

のどかな村の名家、A家とB家。
A家で雇った料理人が両家を乗っ取るお話。

A家には息子と娘がいる。
A息子はB家の娘と婚約しているが、娘がぶくぶく太り出したせいで結婚は延期。
というかB夫妻も太っている。
料理人は都会の貴顕の紹介状を持っていて、腕も確か。
A夫妻には美食と都会の流儀を与え、老執事には老人食を与えて感謝される。
が、老執事にしてみれば卑しい料理人風情が主人に近づきすぎるのは面白くない。
と思っているうちに体調を崩して解雇される。
はっきりとは書かれていないが、
悪魔的な腕前の料理人が料理に細工して体調をおかしくさせたのは間違いない。
しかも「彼はもう役に立ちませんな。年金を与えてお払い箱になさっては?」
と進言したのだ。

料理人はA氏には都会の流儀と都会で流行しているカクテルのレシピを教え、
A夫人には通販で豪華なディナーセットを買わせて本式のテーブルセッティングを教え、
A息子には料理の奥深い世界を教えた。


3752/3:2012/12/25(火) 03:44:29.17
家政婦は、名家(田舎だけど)にふさわしい上等なディナーセットを無駄遣いと主張し、
他にも色々あって暇乞いをする。

A夫妻はB家をディナーに招待し、B家の面々は料理人の腕前に魅了される。
料理人はB家に料理を出前する事を申し出、一家を結婚式までに美しく変身させる事を約束した。

B娘は見る間に痩せ、本来の美しさを取り戻した。
料理人はその間、A娘との間に愛を育んでいた。
A息子とB娘、料理人とA娘の婚約が同時に発表され、
結婚式も同じ日に執り行われることになった。

ところで、村にはプロミネンス城という美しい城があった。
A家とB家が結びついたら一緒に住むための城である。
(経緯はうろ覚え)
A家とB家はプロミネンス城に引っ越したが、
B娘は危険なほど痩せてゆき、A娘は少しずつ太り始めた。

プロミネンス城で二組の結婚式があった。
料理人とA娘の豪華な披露宴には都会の貴顕が数多く列席し、
料理人の弟子であるA息子が腕を振るった美食を楽しんだ。
A息子とB娘の披露宴はなく、結婚式の後、
がりがりに痩せたB娘は寝室に直行し、A息子は台所に直行した。

披露宴のあとも、プロミネンス城には貴顕が入れ替わり立ち替わり滞在し、
宴はいつまでも続いた。今日も明日も明後日も。


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数日してB娘がひっそりと死に、B夫妻も死んだ。

一年後。プロミネンス城は相変わらず賑やかである。
Aという名の優秀な執事が使用人を叱咤し、
同じ名前の家政婦が城中を飛び回って全てをきちんと整えている。
台所では、執事と家政婦に似た顔立ちの若い料理人が客人の注文に応えている。
太った主人は輿で担がれて時々台所に現れ、料理人を激励する。
女主人はすっかり太ってしまい、台所で料理人に新作スイーツをねだる。
料理人は女主人を優しく見守り、肩を抱いて話し掛ける。
…さらに一年後…女主人は部屋から出られない程太ったそうだ…
…村人は時々不安になる…作物や湖の魚を高値で買い入れてくれるのはいいが、段々量が多くなる…
…畑が痩せたら…魚を獲り尽くしたらどうなるのか…


377 本当にあった怖い名無し:2012/12/25(火) 09:18:04.63
料理人何がしたいの?

379 本当にあった怖い名無し:2012/12/25(火) 09:48:05.34
乗っ取るにしても食材で資金食い潰してるから料理人のしたいことがいまいち分からん

復讐?


386 本当にあった怖い名無し:2012/12/25(火) 20:27:22.06
>>377
読んだ限り、復讐とかではなくて 唯 美 食を極めることが目的な印象。

だから 山海の実り豊かな地方に広い土地と財産持ってて、
付け入る隙があるから狙われただけで、A・B両家は完全な飛ばっちり

 

料理人 (ハヤカワ文庫)
料理人 (ハヤカワ文庫)