カレチ/分割民営化編(池田邦彦)
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496:本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 09:21:36.29
- 漫画『カレチ』最終章もなかなか。
カレチとは、昭和の国鉄において長距離列車に乗務する車掌のこと。
主人公は荻野憲二という乗客第一の一生懸命なカレチで、
彼が様々な国鉄職員と関わりながら成長していく物語。物語初期から登場するキャラで、
荻野をいつも厳しく優しく指導してくれていた世話焼きの先輩がいる。
安斉という名前の車掌長は、荻野がカレチになる前から
彼を気にかけてくれていた人だった。物語終盤、国鉄末期に荻野は助役補佐に昇進する。
話術と雰囲気で人を信頼させるのが得意な荻野はそれを買われ、
人員削減の矢面に立たされる。
かつての同僚や後輩も当局側の荻野に媚を売り、
あるいは首が飛ぶのを恐れて近づかない。
そんな中で安斉は、以前と変わらない態度で荻野に接する。
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497:本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 09:22:06.91
- しかし国鉄解体の影響で車掌職を追われた安斉は、
草むしりの閑職に追いやられじわじわと自主退職を待つ当局との間で
板挟みになり精神を疲弊させていく。
しかし荻野に、そんな安斉をどうにかするだけの権限はなかった。ある日安斉は、とうとう職場に現れなかった。
安斉を探す荻野は、あちこち走り回るが見つからない。
電車で心当たりのある場所に行こうとしているところで、ふと窓から鉄橋を見た。
そこには、線路を見つめて佇む安斉の姿があった。
まだ間に合うかと電車を降りて走る荻野。
安斉は思いとどまったのか、鉄橋を下りて歩き出した。しかし安斉の目に、踏切で遊ぶ子供が映る。
親の制止を聞かず警報装置が鳴る踏切の中に入った子供を助けようと、
安斉は踏切の中に入った。
そこに列車が突っ込んでくる。
子供は無事だったが、安斉は電車にはねられ死んだ。
間一髪間に合わなかった荻野は肩を落とす。
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498 :本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 09:22:48.13
- 安斉の葬式では、誰もが泣いた。
国鉄側は「子供を助けた正義の元助役」というふうに美談に仕立て上げ、
安斉が職場に現れず彷徨っていた事はマスコミにも流れない。
焼香に来た荻野には罵声が浴びせられる。
荻野は黙って焼香すると、手を合わせて葬儀場を出た。結局国鉄は解体され、削減された人員の次の就職先も決定していった。
しかし荻野は次の仕事場を選択せず国鉄を去る。
こんな自分でも拾ってくれる所はあるだろうと…
何十年も勤めた国鉄を去る荻野の背中で終了。それまではわりとほのぼのした雰囲気だっただけに
最終回がショッキングだった。
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500 :本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 13:22:10.79
- >>498
乙!
始めからハード企業物だったならともかく、ハートフル作品のラストとしては辛いな…
時代の移り変わりって事なんだろうけど