ふたりのジョンの話(ヴァージニア・ハミルトン)

3761/4:2013/10/26(土) 22:50:15.88
黒人民話集「人間だって空を飛べる」より「ふたりのジョンの話」

身体の大きいジョンと、小さいジョンがいた(それぞれ大男、小男)。
大男は健康な馬を、小男は病気の馬を飼っていた。

大男は小男に文句を言う
「お前の馬が夜な夜な鳴いてたまらん、今夜また鳴いたら馬を殺すぞ」
小男の馬はその夜も鳴いたので、大男に殺された。

小男は死んだ愛馬の皮を剥いで担ぎ、どことなく出かけ、適当な家に泊めてもらった。
小男はお礼に、馬の皮を使って聞いたお告げを家主に伝えた。
お告げどおりに家を探すと、たくさんの食料やワインが出てきた。
そこで小男は家主にせがまれ、その馬の皮を売った。
しかし次のお告げで樽の中を覗くと、悪鬼が隠れていた。
慌てて家主は樽ごと小男に引渡し、金も上乗せした。
こうして小男は大金を手に入れた。


3772/4:2013/10/26(土) 22:51:48.63
話を聞いた大男は、自分の飼っていた健康な馬を殺して
生皮を剥いで売り歩いたが、誰も買うものはいなかった。

大男は激怒し、小男の祖母を殺してしまった。
小男の祖母は椅子に座らされ、町の店に運ばれ、置き去りにされた。

小男は店に入り、店員に「あなたの連れ(祖母)が居眠りしているよ」と言われた。
店員は祖母が死んでいることに気づいていないようだ。
そこで小男は「無理やり起こすのもかわいそうだし」とはぐらかし
店員が祖母を起こすように仕向けた。
店員が祖母をゆすると、祖母は椅子から転げ落ちて微動だにしなかった。
小男は店員に「お前、俺の祖母を殺したな」と詰め寄り、脅迫した。
こうして小男は大金を手に入れた。


378 3/4:2013/10/26(土) 22:53:18.77
話を聞いた大男は、自分の祖母を殺し、
「死んだ女はいらないか」と売り歩いたが
たいそうな警察沙汰になり、大男は祖母を捨て去って命からがら家へ逃げた。
大男は激怒し、小男に「お前を殺してやる」と言った。

大男は小男を袋に封じ込み、海に沈めようとして海岸へ向かった。
その途中、大男は何となく信心を抱き、教会に立ち寄った。
教会に立ち寄っている間、小男は外で袋に入ったままだった。

そこへまぬけな牛飼いが通りかかった。
小男はロマンティックなホラ話を牛飼いに吹き込み、牛飼いに袋に入ってもらった。
そして小男は牛飼いの牛などの財産を回収し、家へ帰った。

礼拝を済ませた大男が戻り、袋を担ぎ、その軽さに違和感を感じるも
神様が罪をお許しなさったに違いないと思い込んでそのまま海へ向かった。
何も知らない牛飼いは袋ごと沖に捨てられた。


379 4/4:2013/10/26(土) 22:54:32.00
大男が家に帰ると、小男が牛飼いの財産で悠々と暮らしていた。

小男は言う
「お前が僕にひどいことをするたびに、僕にいいことが起きるんだよ。
 僕は愛馬を殺されて、金持ちになった。祖母を殺されて、また金持ちになった。
 海に沈められて、僕は海の底でこんなに財産を見つけたんだ」

大男は今までのやり方が間違っていたことを知った。
代わりに自分を沖に沈めるよう、小男に頼んだ。
もっと遠くの沖へ。もっとたくさんの財産が手に入るように。
大男は沈められ、ついに家に戻ってくることはなかった。

小男は何事もなかったかのように、平穏な生活を営んだ。
おわり


380 本当にあった怖い名無し:2013/10/26(土) 22:55:11.85
アンデルセン童話「小クラウスと大クラウス」そのままなんですが
どっちが先だろう
盗作だとしたら後味悪い

381 本当にあった怖い名無し:2013/10/26(土) 23:04:38.48
>>380
クラウスの話は初めて知りました。
本によるとこの話をしたのはポルトガル系黒人なので、
黒人貿易のルートにのってクラウスの話がアメリカに広まったのかもしれません。

402 本当にあった怖い名無し:2013/10/27(日) 12:23:19.14
>>376
それ「北海道の民話」って本に出てきた「この家の貧しい和人と隣の貧しい和人」にも
そっくり話が採集されたのは明治になってからだろうけど、どうやって伝わったんだろうな。

 

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