ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その144 » 水妖(高橋葉介)

8751/4:2013/11/13(水) 10:31:05.65
高橋葉介「夢幻外伝」から「水妖」

主人公の夢幻魔美也はオカルト的能力を持つ美青年。
ある日魔実也は旧友Aに頼まれて、喫茶店で婚約者A子に会った。
A子も、旧友の夢幻君と一度会うようにAに頼まれていた。

A子が言うには、Aは川面をじっと、思い詰めたような顔で見つめていたそうだ。
入水でもするんじゃないかと心配になったA子がお節介を承知で
「あのゥ…川の中に、何か見えるんですか」と訊ねると、
Aはぎょっとしたような顔でA子を見て、名前を聞いた。
そこから交際が始まったそうだ。

それを聞いた魔美也は、笑みを浮かべて語った。
…Aは夢の中で美しい女の顔を見た。


8772/4:2013/11/13(水) 10:33:13.75
毎晩夢に現れたその顔は、ある朝起き抜けに汲んだコップの水の上にも現れた。
Aはなんとなくそれを飲み干し、それから女の顔の幻覚は
風呂だろうと水溜まりだろうと構わず現れるようになった。
その顔は、A子さん…貴女と同じ顔をしていたのですよ。

「まあ…道理であの時、あたしの顔を見てぎょっとしたわけだ」
どうです、それでも貴女はAと結婚しますか。
確かに資産家だが幻覚を見るような男ですよ。
「ええ。だってあの人が結婚を申し込んでくれたんですもの。
 断る理由なんてありゃしませんからね」

面会を終えた魔実也はAに忠告した。
彼女は確かに生身の人間、妖怪変化の類いではない。


878 3/4:2013/11/13(水) 10:40:40.21
ただし、彼女と二人で水場に行ってはいけない。

例えば新婚旅行。
彼女は高原の保養地を選ぶだろう。
そして君を湖でのボート遊びに誘うだろう。
彼女の夢は資産家の未亡人だ。
君が見た幻覚は、泳げない君が湖底に沈むのを見下ろす顔だ。
それでも君は、彼女と結婚するのかね。
「構わんさ、彼女は僕の運命の女だ」

一ヶ月後、逃亡生活を送っていたAは魔実也を呼び出した。
新婚旅行はA子の望みで高原の保養地に決まった。
A子がボート遊びをしたがるので、Aはコーヒーに睡眠薬を盛って飲ませた。
湖の真ん中まで漕いだ所でA子は眠った。
Aは眠るA子を湖に沈めた。


879 4/4:2013/11/13(水) 10:43:10.70
沈みゆくA子の顔は、幻覚と同じく美しかった。

…外国に逃げるのなら手を貸すが。
「いや結構。自首するから付き添ってくれたまえ」
A子が君を殺そうとした証拠はない。
君は新妻殺しの凶悪犯として死刑になる。
「構わんさ、彼女は僕の運命の女だ」

A子がオールを振り上げてAの後頭部を狙うシーンや
睡眠薬が効いてオールを握ったまま倒れるシーンがあるけど、
Aの説明を絵にしただけだから真相は不明。
湖の真ん中だから目撃者もいないし。

第一、魔実也だって完璧超人ではないから
予言が正解とも限らない、という後味の悪さ。

 

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