ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その144 » ふたりは空気の底に(手塚治虫)

907ふたりは空気の底に(1/2):2013/11/14(木) 08:26:01.51
手塚治虫の短編の後味の悪さには定評があるが、
「ふたりは空気の底に」って出てたっけ?
既出上等だということなので一応書いてみる

冒頭で小さなグッピーの水槽と、
その狭い世界で愛し合って二人の巣を作ろうとするグッピーのオスとメスが映し出される。
しかし、その水槽に心無い人間がタバコを捨て、そのニコチンでグッピーは全滅。
愛し合っていたグッピーは死の間際に
生まれ変わるなら人間になって広い世界で愛し合おうと誓う。

19XX年、世界は核戦争によって滅亡した。
街は建物が崩れながらも形をとどめているが、放射能汚染で生物は全滅。

その中で一つ、内部の機能まで無事だった施設があった。
そこには宇宙で生活するための食料や酸素などの補給を行うカプセルが展示されていた。
そしてそれは実際に使用可能なもので、
中には赤ん坊が二人、ジョウという名前の男の子とミドリという名前の女の子が眠っていた。

内部には映像資料などもあり、コンピューターによって教育された赤ん坊は順調に育っていく。
二人は成人した時、ある映像資料から性の存在を知り(意識自体は少年期からあった)、
自分たちはこのために二人いるのだと悟る。
ジョウとミドリは結ばれ、愛するということを知る。
愛する人間は結婚するものらしいという話をミドリがするが、
ジョウにとっては狭い世界に二人でいるだけで十分だった。
酸素は十分だったし、この世界で二人が生きていくにはまだ余裕があった。


908ふたりは空気の底に(2/2):2013/11/14(木) 08:26:59.08
ある時、映像資料から万国博のパビリオンで結婚式を挙げられる、
結婚すれば今まで以上に素晴らしい生活になると聞く。
ジョウはこのままで十分だったが、
ミドリは自分たちは立派な大人だし、冒険してでももっと幸せになりたいという。
ジョウはそれを聞いて決心し、一緒に外へ飛び出すが、
いざ外へ出るとミドリは放射能汚染された空気で苦しみだした。

たどり着いた式場は既に崩壊しており、人の姿も見えない。
苦しみながらもここで結婚しようと決意した二人は、
そこにあった(おそらく滅亡の瞬間に式を挙げていたのだろう)死体からドレスをとる。

ジョウとミドリは汚れた空気のために少しずつ衰弱していく。
ミドリは自分たちはこのまま死ぬのだろうかと悲観するが、
それをジョウは「結婚したんだから絶対に生きるんだ」と励まし続ける。
ミドリはジョウにいつまでも離れずそばにいてほしいというと、
そのまま動かなくなってしまった。

夜になって、式場の屋根にあいた穴から星を見たジョウは、
目を閉じたままのミドリに涙を流しながら語りかける。
「今度生まれ変わるなら、こんな濁った空気の底じゃなくて、
 あの広い星の世界のどこかに住みたい」と。

 

空気の底 (手塚治虫漫画全集 (264))
空気の底 (手塚治虫漫画全集 (264))


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...