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スタンリイ・エリン「伜の質問」

私は電気椅子係。
昔は死刑執行人と呼ばれていた職業。
昔、死体を埋葬する職業は墓掘り人足と呼ばれて差別され貧乏だった。
今は葬儀屋と呼ばれ、一般市民と交わる事も許され、金持ち。
世間の連中はレッテルしか見ていないのだ。

私の本職は電気屋兼修理屋で、年に数度出張と称して刑務所に行く。
どちらも父から受け継いだもので、家内も娘一家も私の「副業」を知らない。
母も父の「副業」を知らなかったし、私も父が打ち明けてくれるまで知らなかった。

私は父がかつて私に打ち明けたように、
息子に私の「副業」を打ち明け後継者になるように言った。


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大学中退後、結婚を考えるでもなく複数の女の子とデートし、
仕事に打ち込むでもなくただ店番をしているだけの息子は
電気椅子係になりたがらない。
生意気にも、父さんは社会への義務だけで「副業」をしているの、
ギャラも出てるんでしょ、と反論する。

「父さんは義務やお金じゃなくて、
 スイッチを押すのが楽しいからやってるんじゃないの?」

看守が死刑囚を電気椅子に座らせる。拘束。濡らしたスポンジ。頭巾。
看守の合図に従い、隣室の私は電気椅子のスイッチを押す。
執行室の様子は見えないが、私は心の目で
死刑囚の断末魔を、頭巾に隠された苦悶の表情を見る。
………楽しいさ、楽しいに決まってるじゃないか!

 

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