殺人区域(那須正幹)

86本当にあった怖い名無し:2014/02/28(金) 00:24:24.68
那須正幹のヤングアダルト本「殺人区域(キラー・ゾーン)」。
ズッコケ三人組シリーズと同じ作者だが、黒い内容の作品も多い人だ。

主人公は中学生だが、卓球部の先輩のパシリになる事を拒んだため、
いじめにあうようになり、登校拒否をしていた。

夏休みに、親戚のお兄ちゃんからペンションへの小旅行に誘われ、
気晴らしにOKする。
しかし到着して周囲を散歩していた時、謎の少女を目撃する。
ペンションのオーナーの娘は、
それは5年前にこの場所で殺された金持ち娘の幽霊に違いないと言うが…。


87本当にあった怖い名無し:2014/02/28(金) 00:35:00.67
やがて、ペンションの他の泊まり客達が次々に惨殺されていく。
ある者は風呂に入っている時に斬り殺され、別の者は頭を大石で叩き割られ…
犯人はペンションのオーナーであり、主人公と親戚も殺されそうになるが、
結局オーナーは崖から転落して生死不明となる。

二学期が始まり、学校に出てきた主人公は、
殺人事件から生還した事で一躍有名人となり、
学校中から体験談を聞かせてくれと頼まれるようになった。

しかし主人公は、あの事件以来、
自分の中の何かが変わってしまったような感触を持ち続けている…。


88 本当にあった怖い名無し:2014/02/28(金) 00:37:27.01
そんなある日の帰り道、主人公は自分をいじめた先輩に待ち伏せされる。
「お前、最近調子に乗ってるだろ。俺は一学期の事を忘れてないぜ」

かつては恐怖の対象でしかなかった先輩。
しかし今ではどうだ、あの殺人鬼のオーナーから
与えられた恐怖に比べれば、こんな奴。
今の主人公の心に、恐怖は無かった。
代わりに芽生えた感情は、

「殺してやろうか」


89 本当にあった怖い名無し:2014/02/28(金) 00:42:39.85
そうだ、こんな奴は殺してやろう。次々と湧き出してくる殺意。
しかし先輩は、主人公の背後の何かを見て、怯えて逃げ出して行ってしまう。
同時に、自分の中の殺意に驚き、怯える主人公。

彼の耳に、あの少女の霊の声が響く。
「嫌な奴ねぇ。あんなの殺しちゃいなさいよ」

主人公は気付いた。
あのオーナーも、この幽霊に囁かれて狂った殺人鬼へと変貌したのだと。
そして幽霊の次のターゲットは、自分なのだと。

最後は次のモノローグで終る。
「まだ僕は理性を保っていられる。
 大丈夫だ、僕はまだ、この霊の言いなりにはならない」

 

殺人区域 (青春と文学)
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