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星新一「窓」1963年出版

タレント志望の18歳の女性。
実家からの仕送りで親戚の持つアパートに一人暮らし、洋裁学校に通っているが
バイトもせず歌や芝居を勉強するでもなくオーディションを受けるでもなく、
あ~あ誰かスカウトしてくれないかな~と毎日遊び暮らしている。
でもスカウト目当てに盛り場をうろつくでもない。

深夜、テレビのチャンネルをひねっているとおかしな映像が見えた。
何もない部屋の中で若い女が一人芝居らしい事を熱演している。
でたらめに合わせたチャンネルだから、試験放送だろうか。
つまんないわ、あたしだったらもっと上手くできるわよ、
と呟いて彼女は眠りについた。


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翌日、彼女はテレビ関係者を名乗る男にスカウトされた。
連絡先を求められた彼女は好機を逃すまいと、今からOK!全然OK!と舞い上がり、
ご家族に相談してからでも、と諭す男を制し、車に乗り込む。

テレビのお仕事って素敵でしょうね
(いいや一度はまると抜け出せません、考え直すなら今のうち)
テレビに出られるんなら何だってするわ
(頼もしい、そういう人でないと勤まりません)
などと話すうちスタジオについた。

スタジオには昨夜存在しないはずのチャンネルで見たのと同じ部屋があった。
このスタジオはテレビの亡者を収容する場所です、と男は言った。


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タレントが咲き誇る花ならあなたは地中に埋まる根、花を咲かせる為に必要なのです、
わたくしは何度もお止めしました、あなたが望んだのですよ、と男は言った。
タレントが幸運の女神に愛された存在ならば、
悪魔に目をつけられた存在も必要なのです。
幸運の女神なんかいないとみんなが思ってくれれば、ここから出られますよ…

壁の一部が透明になり、見知らぬ若い女がこちらを覗きこんでいた。
彼女は次の犠牲者を出すまいと、必死で叫んだ。

女の表情が軽蔑に変わり、
声は聞こえなかったが口の動きで何を言ったのかがわかった。
『へたくそ、わたしならもっと…』

 

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