再春(松本清張)

300 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日::03/03/06 21:20
松本清張の書く小説は後味悪の宝庫。っつーか、後味悪い話しか書いてない。w

軽いところからひとつ。題名忘れたけど。

作品が注目されていて、文学賞の有力候補にもなっている
女流作家がいた。作家には学生の頃からの友人がいて、
彼女も作家を目指していたが、彼女は平凡な主婦になった。
二人が久しぶりに再会したとき、作家の方は、友人が自分に対して
嫉妬するだろうと思っていた。自分は作家になっていて友人は
なれなかったのだから。しかし、友人は嫉妬している様子はなかった。
昔話をしているうちに友人の話の一つが作家の気をひいた。
友人は長い事子供にめぐまれず、もう女性としての機能が終わってしまうだろうと
思われた頃に、妊娠の徴候が出て来た。友人は喜んでお腹の中の子供を
いつくしみ、女性としての幸せを噛み締めていた。しかし、
妊娠したと思っていたのは実は勘違いで、本当は子宮に腫瘍が出来ていたのだ。
彼女は腫瘍をわが子供だと思って慈しんでいたのだ。
作家は、この話、いただき、と思った。女性の悲劇として
素晴らしいモチーフだと思ったのだ。作家はこの話を短編小説にして
発表した。しかし、この話は、友人の身に本当に起こったことではなかった。
実はトーマス・マンの短編小説のあらすじそのままだったのだ。
作家は当然、トーマス・マンの小説を盗作したとして、避難される。
文学賞の話もフイになってしまった。友人はわざとトーマス・マンの
小説のあらすじを自分の身に起こったこととして話し、
作家を罠にはめたのだった。つまり、友人は作家に対し、嫉妬していた、
というわけだ。


301 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日::03/03/06 21:33
>>300
結局友人の手の込んだイジワルだったのね。
途中「あれ、もしかしてこの友人実はすげえいい奴なんじゃ…」
って思っただけにオチで後味悪さ倍増。
作家もそんなメジャーな話なら気付けよ!とも思った(油断してたのかな)。
てかあんた要約巧すぎ!

315 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日::03/03/07 22:16
>300
前スレがいしゅつの短編集「隠花の飾り」の中の一篇ですな。
確かに後味ワル話のオンパレード。
清張は若い頃(といっても文壇デビューは中年以後)から
後味ワル話を書きつづけてきたけど、
晩年になって枯れてきてから「因果応報」的な話(悪人が墓穴を掘るような)が薄れ、
普通の市民がちょっとした野心を出したばかりに… みたいな話にシフトしてきたんだよね。

 

隠花の飾り (新潮文庫)
隠花の飾り (新潮文庫)