ホーム » 小説 » 小説/た行 » 凧になったお母さん(野坂昭如)

539 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/23(金) 18:46:07
カッちゃんは5歳の子供。空襲のとき、お母さんと一緒に逃げました。
一生懸命逃げたけれど炎はカッちゃんたちをぐるりと取り囲んでしまいました。
もう逃げられません。
炎がどんどん近づいてカッちゃんは熱くてたまりません。
そのときお母さんはきものの胸を開きました。
お母さんはお乳を搾り、カッちゃんの顔に塗りました。
カッちゃんは少し涼しくなりました。
でもやっぱり炎はどんどん迫ります。
お母さんは必死でお乳をカッちゃんに塗りつけます。
お乳が出なくなりました。
お母さんは涙をカッちゃんに塗りつけます。
炎はどんどん迫ってきます。
お母さんは汗をカッちゃんに塗りつけます。
炎はどんどん迫ってきます。
お母さんの体じゅうから血が噴き出しました。
その血もお母さんはカッちゃんに塗りつけます。

お母さんは干からびて、凧のように薄っぺらになって空に舞い上がっていきました。
カッちゃんは助かりました。
5歳の子がたった一人助かりました。
カッちゃんは疲れておなかがすいて動けなくなりました。
カッちゃんはやっぱり死んでゆくのでした。


541 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/24(土) 05:40:43
凄いねこれ、本当に野坂?こんなシュールなのも書くんだ。
後味悪いというか、無常観で寒気が。

 

戦争童話集 (中公文庫)
戦争童話集 (中公文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...