まんが日本昔ばなし/キジも鳴かずば
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189 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/02(水) 22:57:48
- 今日は雉も鳴かずばをやってたのかぁ… 
 子供の頃に見たけど、酷く嫌な話だった。
 いくつかパターンがあるのは知らなかったな。
 じゃ、私が昔見たのを書いてみる。
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190 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/02(水) 22:58:48
- その年、村は酷い日照り続きで米は一向に稔らず、
 このままでは自分達も餓えてしまうばかりか年貢も納められない。
 年貢を納めらでなければ、お上からそれはそれは厳しいお咎めがある。
 これはなんとしても避けなければ…村人達は相談し、人柱を建てて雨を請うしかない…と決まった。 
 しかし誰を人柱にするのか。罪の無い者を犠牲にすわけにはいかない。
 誰か罪人はいないものか…そんな折、村に男と幼い娘が越してきた。母親はいない。流行り病で死んだのだ。 
 父娘は貧乏ながらも、その村で仲良く暮らし始めた。
 ある日、娘が病に罹った。高い熱がいつまでも引かず、このままでは命が危ない。
 女房を亡くし、この上女房の忘れ形見のこの子まで亡くしたら……男は必死に看病した。
 と、娘がうわ言でつぶやいた。「赤まんまが食べたい…」と。男の家には、元より米など無い。しかし男はどうしても娘に赤まんまを食べさせてやりたかった。 
 赤まんまはその昔、まだ娘の母親が生きていた時分、たった一度だけ食べたことのある、
 娘にとっては母親の思い出と共にある、夢のようなご馳走なのだ。
 庄屋様の蔵になら、少しの蓄えの米がある…男は、庄屋様の蔵に忍び入り、一すくいの米を盗んだ。
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191 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/02(水) 22:59:18
- 翌朝、庄屋様の家では米が盗まれたことで騒動となった。
 飢饉のこの苦しい折、米を盗むなどもってのほか。
 一方男の家では、こしらえた赤まんまを食べて滋養を取った娘が、
 危ういところを脱し元気になっていった。元気になった娘は、ある日、表に出て毬をついて遊んでいた。 
 お父が赤まんまを作ってくれた……そんな手毬歌を歌いながら。
 それを聞いた村人がいた。
 してやったり。ここに罪人がいる。庄屋様の米を盗んだのだ。しかもよそ者。後腐れがない。
 一すくいの米を盗んだ咎で男は捕らえられ、人柱にされた。娘は泣いて許しを請うたが、耳を貸す者はいなかった。その夜。 
 村を豪雨が襲った。激しい雨風は三日三晩続き、濁流が村人達を飲み込んだ。
 半数以上が死んだ。
 娘は生き残ったが、あの日以来、声を出すことは無くなった。
 村人達は、父親のことの衝撃で、声を失ったのだと思った。十年後。 
 村の猟師が獲物を求めていた。すると頭上で雉が鳴いた。猟師は雉を仕留めた。
 空から落ちた雉を拾おうと草むらを掻き分けていくと、
 そこには成長した娘が、死んだ雉を抱いて立っていた。
 「雉も鳴かずば撃たれまいに…」
 娘の呟きに、猟師は驚いた。
 「おめえ…声が出たのか…」
 娘は去って行った。
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192 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/02(水) 23:57:25
- >>191 
 ありがとう、見逃していたのでぐぐろうかと思っていたところ。
 娘は自分が純粋な喜びとして歌った歌が、父親を殺すことになってしまったので
 声を出すことができなくなっていたのですね・・・
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193 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/03(木) 00:23:06
- 出せなかったんじゃない、出さなかったんじゃないだろうか。 
 自分への戒めとして。違うかな…
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194 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/03(木) 00:26:38
- >>193 
 そうだと思う。じゃないと
 「鳴かずば撃たれまいに」がおかしいと思う。
 (自分さえ余計なこと言わなければお父さんは死なずにすんだ
 →もうしゃべるのはやめよう→そうすれば何もおこるまい)
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200 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/03(木) 10:09:12
- 村人達は、どれほど小さな罪でもいいから、罪を犯した者を待ち望んでいたし、 
 罪を犯した経緯に対しては忖度しない。ともかく人柱が欲しかったんだ。
 でも凄い効き目で、大嵐になった。村人達の念願が叶ったんだ。





