箪笥

273 名前:箪笥 1 投稿日:2006/02/20(月) 18:56:36
ホラー映画【箪笥】

■注意■ 完全にネタバレでオチまで書いてます。
     オチが分かってしまうと面白さが激減する映画です。

郊外の別荘へ静養に来た、父(40代後半)と2人の娘。
姉の名はスミ(16歳くらい)、妹の名はスヨン(13歳くらい)
父・ムヒョンの話から、スヨンが入院生活を終えて別荘に静養をしに来た事が分かる。
(スヨンは幼気で愛らしい少女だが、どうも知能発育に遅れがあるようにみえる)

別荘には、父の後妻・ウンジュが父娘の到着を待っていた。
美人だが性格がキツそうなウンジュ(30代前半)は、姉妹をわざとらしい態度で歓迎する。
勝ち気な姉スミは継母を露骨に嫌い、大人しい妹スヨンは継母の前では萎縮している。

家族4人で食卓を囲んでも、スミとウンジュの口喧嘩で一家団欒は台無し。
寡黙で気の弱そうな父は娘と継母の言い争いを止めようとしない。
(キレたウンジュに父が鎮静剤?を渡しているので、彼女は精神的に不安定らしい事が判る)
ウンジュは、大人しい妹スヨンを影でこっそり虐待する。
妹が亡き母を懐かしむのを見て、姉スヨンは妹を非情な継母から守ろうと必死になる。
スミは継母に好き放題させている父を責めるが、父は若く美しい後妻に目が眩んでいるのか
「お前がなぜウンジュを悪く言うのか分からない」と嘆くだけ。

別荘では気味の悪い事が起きる。姉スミが「足から血を流す、首の折れた女」の夢?を見ると、
次の朝には姉妹と継母3人そろって生理になったりする。
妹スヨンは自分の部屋で「黒い人影のようなもの」を見て怯え、
継母ウンジュは台所で「黒く腐った少女の霊」に遭遇する。


274 名前:箪笥 2 投稿日:2006/02/20(月) 18:57:52
可愛がっていた小鳥が殺されているのを発見したウンジュは「姉妹の仕業だ!!」と逆上。
泣き叫ぶ妹スヨンを箪笥に閉じこめ、外から閂をかけてしまう。
しばらくしてスミが気付き、ぐったりした妹を箪笥から救出するが
「気が付かなくて、ごめんね」と常に気丈に振る舞っていたスミも泣き出してしまう。

騒ぎを聞きつけ様子を見に来た父に、スミは「継母が妹を虐待した」と訴える。
「しっかりしろ! スヨンは死んだんだ!!」と父は言う。
それを聞いた妹スヨンは絶叫し、姉スミは父と妹の尋常でない様子にうろたえる。
──場面転換。疲れた様子のウンジュに、父が「ゆっくり休みなさい」と薬を渡す。

次の日の早朝、父親は「すぐ戻る」とメモを残し、一人で外出する。
遅く起き出したスミは廊下に大量の血痕を発見して凍り付く。
(ウンジュが血塗れの大きな袋を棒で殴りながら引きずっていくシーンが写る)
妹がいない! スミは血糊をたどり、戸棚から血塗れの袋を発見。
半狂乱で袋を開けようとするスミの背後に、ただならぬ形相のウンジュが迫り寄る。
逃げ回るスミを追いつめ、ウンジュは手に持った重い陶器の置物を振り上げた──。

──場面転換。気を失っていたスミは陶器の破片が散った床から父に助け起こされる。
居間のソファーにぼんやり座っているウンジュの手に薬を渡した父は
「お前のために来てもらった」と、外出して連れてきた客を居間に招き入れる。

入ってきた客は、心配そうな表情を浮かべたウンジュだった。

それを迎えた『ソファーに座っているウンジュ』は『ソファーに座っているスミ』へ変わっている。
手の平に乗せられた薬を見つめるスミ。何かに気付いたのか、薬を飲んだ。

この別荘には最初から父ムヒョンと娘スミしか滞在していなかった。
『継母ウンジュ』と『妹スヨン』は精神を病んでいるスミの妄想だったのだ。


275 名前:箪笥 3 投稿日:2006/02/20(月) 18:58:58
スミが精神を病んだのは、この別荘で起きた悲劇が原因だった。

父は病気の妻(姉妹の生母)の静養の為に郊外に別宅(別荘)を買い、住み込み看護婦ウンジュを雇った。
徐々に家庭に入り込んでくるウンジュに、姉スミは思春期の少女らしい嫌悪感で反発する。
妹スヨンは反抗的ではないが、姉のとばっちりを食ってウンジュに嫌われてしまう。
その様子を病床から見ているしかなかった母は思い詰め、(何故か)スヨンの箪笥の中で首を吊った。
箪笥を開けて母に気付いたスヨンは、母を助けようとして箪笥を倒し、下敷きになってしまう。

箪笥が倒れた音に気が付いたウンジュは様子を見に二階へ上がり、スヨンの部屋のドアを開けて
母親の自殺死体と箪笥に潰されてもがくスヨンを発見する。
動揺したウンジュは思わすドアを閉めてその場から逃げようとしてしまうが、
すぐに気を取り直して助けに戻り、(同じく音に気付いて様子を見に来た)スミと廊下で鉢合わせる。
大嫌いなウンジュを見つけたスミは「勝手に二階に上がってこないで!」と憎まれ口を叩く。

その言葉にカッとなったウンジュは、部屋で起きている惨劇を教えるのを止め、
「いまこの瞬間のことを あなたは一生後悔するわよ」とスミに言う。
ウンジュの言葉を鼻で笑って、スミは気晴らしに散歩へ出かけてしまう。
別荘から遠ざかるスミ、箪笥の下では姉に助けを求める妹スヨンが力尽きようとしていた。
スミは何かに呼ばれたように振り返るが、窓から見ているウンジュに気付き、二度と振り返らなかった。

母と妹の死を知ったスミは「母の自殺と妹の事故死の原因」から逃避するために発狂。
(真相を知るスミが発狂したので、ウンジュの所行は発覚していないようです)
父は妄想に耽るスミに『母と妹の死』を自覚させようと別荘へ連れてきたが、妄想はさらに悪化。
『継母から妹を守る姉』という愛憎劇をスミは一人三役で始めてしまった。
(父の言動が冷たく思えたのは、娘がなぜ狂態に走るのか理解していないから)
耐えかねた父は本物のウンジュを連れてきて、スミの妄想劇を止めさせたのだった。

妄想を止めて自分の殻に閉じこもったスミは、また入院するために精神病院へ戻された。


276 名前:箪笥 4 終わり 投稿日:2006/02/20(月) 19:01:08
精神病院に入院したスミを見舞った後、ウンジュは一人で別荘へ戻り、
箪笥から出てきたスヨンの霊?に襲われて映画は終わります。

「妄想オチのサイコ・ホラー」に見えますが、この映画は一応「ゴースト・ホラー」です。
混乱して説明が長くなるので『幽霊』の話は極力省きました。
霊はスミの妄想ではなく、『母と妹』は地縛霊として別荘に存在しているようです。

最初は『謎の幽霊・役立たずの父・サイコな継母・百合っぽい美少女姉妹』の謎映画ですが、
真相に気付いてからもう一度見直してみると、面白く見ることができます。

「母が恋しい。愛する父を取られたくない。幼気な妹を守りたい。家庭を壊したウンジュが憎い」
スミの悲しい想いは「訳の分からない言動」としてしか、周りの人に理解されない。
しかも父親は『別荘での荒治療』を何度(10回以上)も試みて、毎回失敗しているらしい。
無神経で無理解で無謀な父親が悲劇の元凶なのでは…? 父を慕うスミが哀れです。

ゴースト映画としてはイマイチでしたが、『狂ってしまった少女の悲劇』としては最高です。


280 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/20(月) 20:01:28
>>273-276
長文乙。
前々から気にはなっていたけど、
パッケージからしてすでに怖くて
レンタルに踏み切れない映画でした。

281 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/20(月) 20:14:10
>>277
一人で三役やってるってことを暗示してるつもりのエピソードなんじゃないか?

「箪笥」は、ポスターが気に入ったので観たが
内容はイマイチというか、本当に幽霊が存在してる部分と
精神病による妄想部分がわけわからんかった。
自分的には、ポスター見て、横溝正史とか
ああいったかんじのミステリを想像していたのに
映画見たらイメージ重視のホラー映画だったのが後味悪かった。


293 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/20(月) 23:07:55
>>273
つい最近スカパーで放送してたんだけど、女性陣の悲鳴が煩くって
観るのやめちゃったんだ。
面白そうな映画だったんだね。 観ればよかった。

297 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/21(火) 00:25:52
>>293
2回は見ないと理解できない作りだから、レンタルか録画観賞がお勧め。
入れ替え制の映画館で見た人は混乱したままだろうから後味悪かったろうなぁ。

>女性陣の悲鳴が煩くって観るのやめちゃったんだ。
これ見て思い出した「初めて映画館でホラーを見た時の事」

大画面で観る恐怖映像がどれくらい怖いのか楽しみにしてたんだけど・・・
恐怖シーンが写るたびに、周りに座った女の子達が大絶叫。(台詞聞こえねー)
後の娘は驚くと足が浮くのか、椅子をガンガン蹴ってくる。(体が揺れるー)
小さい子が我慢できずに泣き出して、お母さんと退場。(画面横切んなー)

恐怖で心臓がはち切れるはずだったのに、堪忍袋の緒がぶち切れそう。
意地悪心で「全然怖くないから」とだまして連れて行った超怖がりの友人は
「遊園地のアトラクションみたいだったねー」って嬉しそうに言うし・・・後味悪いぃ。

 

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