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144 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/06(月) 18:13:16
ブラックな絵本「幸福の花束」から、「あら皮」。作者はステファヌ・ブランケ。
全体にドス黒い感じで、人物も背景もグロテスクなシルエットで描かれてる。
このエピソードに関しては、自分でアニメ化もしてるらしい。

ある森の小屋に、人知れず男が住んでいた。
ずっとひとりぼっちで、ずっと同じ服、同じ靴。
仕事というか趣味は、出来るだけ残酷に動物を殺すこと。
毎朝早く狩りに出かけ、銃でしとめた獲物を、
夜、暖炉に当たりながらハクセイにし、その首を
部屋中につるすのが彼の日課だった。
ある日、撃ち落とした鳥を探していた男は、
美しい娘が鳥を救い、手当てしているのを見つける。
初めて見る人間の女。
それは男にとっては、見たこともない美しい生き物だった。
声をかけるか、眺めているか、殺そうか。迷いつつ、
それから男の頭は娘の事でいっぱい。自覚のない恋をしてしまったのだ。
翌日、男は娘に贈り物をした。娘の小屋の前に、何百もの
死んだばかりの動物を積み上げて置いたのだ。男なりの愛情表現だった。
だが山積みの死骸の匂いは、娘の気分を悪くしただけだった。


145 名前:144つづき 投稿日:2006/03/06(月) 18:14:45
翌日、今度は毛皮でコートを作って置いておいた。
しかし今度も娘は気味悪がってコートを捨ててしまう。(たぶん死臭がしていた)
絶望のどん底の男。食欲もなくなり、狩りもやめて、
森をさまようようになった。着物はすりきれた毛皮。
言葉を知らない男は、鳥寄せに使っていた笛を吹き続ける。
それは暗く悲しい鳥の声に聞こえた。その音はやがて娘の耳にも届いた。
娘は音のする方に近づき、ついに娘のほうから話しかけた。
「逃げないで。きっと遠い国から来たのね。迷子になったの?」
娘はぼろぼろの毛皮にさわり、とがった笛にさわって、
羽が痛んだ、変わったクチバシの鳥だと思う。笛の音で答える男。
そう、彼女は、盲目だったのである。
だが近くには何故か、娘に厭な物を送りつけてきた狩人の気配がある。
大切な鳥が撃たれては大変。娘はこの鳥を、心から愛してしまったのだ。
それで娘は、鳥(男)を鳥かごに入れた。
ラストは、彼女の服やらパンツやら干してある彼女の寝室で、
どうやらヌードで髪をすいているゴキゲンな彼女のシルエットと、
それを鳥かごの中から嬉しそうに眺めている男のシルエットでおしまい。
本人たち的にはハッピーエンドなんだろうけど、
娘が真実に気づいたら…。なんとも後味悪いよ~

 

幸福の花束
幸福の花束


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