ホーム » 小説 » 小説/タイトル不明 » ねじれた輪(日陰丈吉)に似た話

769 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/12(金) 19:41:07
タイトル検索の意味も兼ねて、うろ覚えのあらすじ紹介。
日陰丈吉の短編だったと思うんだけど、タイトルがどうしても思い出せない。

虫歯を患った主人公(精神科医?小説家?)は、近所に新しくできた歯科医院を訪れる。
何度か通って治療を続けるうち、主人公と歯科医はぽつぽつ世間話などするようになって
歯科医がごく最近、幼い息子を失ったばかりであることを聞かされる。
しかし、それにしては歯科医にはほとんど悲しんだり落ち込んだりしている様子がなく、
職業柄もあって、主人公は歯科医に興味と不信感を抱く。

そして散歩が趣味である主人公は、ある日散歩がてらに歯科医の住居を訪ねた。
自分が歯科医の患者であること、亡くなった息子さんに手を合わせたい旨を述べると
歯科医の奥さんは快く主人公を仏間に通してくれた(歯科医は不在)。
主人公は息子さんが無くなる前後の歯科医の様子を奥さんにそれとなく尋ね、
息子が生まれて以来、歯科医が夜尿症に悩まされていたこと、
歯科医は夕暮れ時に息子の手を引いて散歩に出る習慣があったこと、
息子さんが亡くなったのは、その散歩中の事故だったことを知る。
そして息子さんの死後、歯科医は 今まで息子が寝ていた
奥さんの布団の中へ潜り込んでくるようになったこという。


771 名前:769つづき 投稿日:2006/05/12(金) 19:42:18
歯科医宅を後にした主人公は、一つの仮説を立てる。

歯科医は実は精神的に自立しきれていない「子供」で、 息子が生まれてからずっと、
息子に奥さんを取られたと思いずっと嫉妬していたのではないか。
幼い子供が、弟や妹が生まれた途端、赤ん坊にかかりきりの親の気を引く為に
収まっていたはずの夜尿症を再開するのはよくある話だ。
幼い息子の死を悲しむ様子もなく、奥さんの布団に潜り込んで眠る歯科医の姿は
母親を取り戻して無邪気に安心する子供そのものに思える。

…帰途、以上のようなことを考えた主人公は、
これは断片的な状況証拠から憶測した仮説に過ぎないのだから
想像力を逞しくするのも大概にしなければ、と苦笑ぎみに自分を諌めるが、
歩く道すがら、息子がまさに死んだというその遊歩道に佇んで
満足そうに微笑む歯科医を目撃してしまい、
自分の仮説を笑うことができなくなってしまうのだった。…

歯科医が息子を殺したのはほぼ確定ぽいのに、
歯科医が今後罪を悔やむ可能性も償う可能性もほぼゼロな感じで終わっちゃって、
それどころか奥さんは旦那さん(歯科医ね)を疑うことすらしてなくて、
次の子供が生まれても歯科医は同じことを繰り返すだろうことを暗示するような終わり方で
「えええええーー!?」って感じだった。

たしか推理ものとして読み始めたんで、
犯人は必ず罰せられると勝手に思い込んでた所為もあると思うんだけど、すごい後味悪かった。

あと、曖昧な記憶を読みやすくまとめる為に、
ディテイルはちょと強引につじつま合わせたところもあって
ひょっとしたらかなり間違ってる部分もあるかと思いますが、
この話、タイトル知ってる人がいたらおしえてくださいー。

 

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