7SEEDS/夏のAチームの選抜(田村由美)

581 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/25(日) 08:09:11
「7SEEDS」というSF漫画が評判いいから読んで見たら結構キツかった。

舞台は天変地異が起こり、あらゆる生物が死滅した日本。
この事を予測していた政府は、7人+1人(ガイド)のチーム5つを冷凍保存し、
地球が滅んだ後、人間が生きられる程度に気候が回復したら解凍されるよう設定した。
選考の基準は、健康で歯が強く近視でもなく、性格面などでも問題がなく、
何らかの秀でた部分がある男女。ガイドは警官・自衛隊・消防隊員などの公務員が多い。
季節もおかしくなるだろう未来でも四季を忘れてほしくないという思いがあったのか、
チームはそれぞれ春夏秋冬に別れ、メンバーは名前にそれぞれの季語が含まれている。
夏チームだけ例外としてABの二つがある。
真っ直ぐに優秀に育った者たちはそのせいで折れてしまうかもしれないと危惧し、
Bチームは他のチームとは違い、不登校児や不良などの落ちこぼれ扱いの人で組まれている。
正反対に、夏のAチームは優秀な精子と卵子を組み合わせて産み出され、
元から崩壊後の地球でも生きていけるよう教育を受けたエリート集団。
そのエリート集団から7人を選ぶための選抜テストが後味悪い。

苗字もなく、ただ夏の季語の名前だけを持った子供たちは
集団で訓練を受けながら特殊施設で育った。
未来の地球で目覚める夏Aチームの7人の枠を目指して。
優秀の基準を満たせなくなった子供は次々と落とされていく。
17歳の時に行われるというチーム選抜が近づいた頃、目が悪くなった少女が落とされた。
仲の良かった他の子供たちはそれを悲しみ、外の世界でもがんばって生きてと言った。
だが落とされた子供は外の世界に出されるのではなく、
解体され攪拌され施設内で肥料として使われていたのだった。
生きて施設から出るには、7人に選ばれるしかない。


582 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/25(日) 08:09:55
最終テストは人為的な災害から生き残るというものだった。
それがテストとも知らないまま死んでいく生徒の中、
生きるために3人で行動していた小瑠璃・繭・雹は山崩れにあい、小瑠璃は孤立する。
高所に残された小瑠璃は、下の方に落ちて行った二人に向かい懐中電灯でモールス信号を送り会話する。
二人に合流するために、小瑠璃は手近なものでハングライダーをつくり飛び立つ。
ずれた軌道を修正しつつ向かう中で、繭が絶えずつけていた懐中電灯が消えた。
トラブルでもあったのかと不安に思いながら辿りつくと、
そこには崩れた土砂に下半身を挟まれ、事切れた繭の姿があった。
山が崩れた時に既に二人は土砂に体を潰され、這い出る事も出来ない状況にあった。
それでも小瑠璃が挫けて立ち止まらないようにと、平気なふりをしていたのだった。
蘇生させようとする小瑠璃に「もう楽になれたんだよ」と
潰された状態のまま雹は言い、そのまま息絶えた。

死にかけながら仲間を安心させるために
モールス信号送り続けるなんてむりむりむりむりかたつむり
まだ17歳なのにこいつらすげーよ('A`)


583 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/25(日) 08:18:38
未来へ残す種を作るほど人類種の存続に腐心しているクセに
資格不良の候補者をあっさり肥料にしてしまうあたり狂ってる。
なんか統治機構が選民思想でも持ってたのだろうか。

584 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/25(日) 09:04:57
7SEEDS計画立案者は、どう計算しても立案当時は小学生くらいになる。
まあそういう漫画。

605 名前:7SEEDS 投稿日:2006/06/25(日) 20:01:33
7SEEDSは、夏のAチーム選抜の顛末もきっつい。
まず、死者続出・仲間同士で殺し合いが始まってもおかしくないテストを考えた張本人「要」が、
幼い頃目の前で両親に自殺されて、自分は誘拐された後山に捨てられて生死の境をさまよった経験の持ち主。
その体験から、過酷な状況に対処できない奴は無価値ってな思想に傾いている。
そして、要の仕掛けたテストに合格した7人は…

1.安居…幼年期からトップ成績で、要にも目をかけられていた。リーダーになることに執着するあまり、
    自分が認めた相手にしか弱みを見せようとせず、
    そのために無二の親友・茂を、自分の失敗で死なせてしまう。
    友の死を目前にして、頭髪の半分が真っ白に。

2.涼…安居のライバルで、同じく成績はトップクラスだが問題児。
   しかしその問題行動も全部教官たちの想定内。
   「邪魔なものをためらいなく排除できるキャラ」に育った有望株として期待されていた。

3.源五郎…イケメンムツゴロウさんな青年。子供の頃から育てた動物達を、自分の手で殺せるか
     どうかが彼に仕掛けられたテスト。狂犬病にかかった、彼に一番なついていた虎を泣きながら殺す。

4.小瑠璃…>581さんのレス参照。

5.あゆ…植物のエキスパート。周囲から「マドンナ」と呼ばれるほどの美少女で、
    そのために一部の仲間からずっと苛められていた。
    最終テストのとき、いじめっ子達が致死性の毒草を口にするのを黙って見ていた。

6.鷭(バン)…医療系のエキスパート。テストで仲間達の瀕死の状態や死体を
      
山ほど見せられて、医療の限界を思い知らされる。

7.虹子…涼の相棒。仲間達の死や危険に徹底して無関心を貫き、それによって最後まで残った。


606 名前:7SEEDS 投稿日:2006/06/25(日) 20:02:53
テスト後に集められた彼らは、茫然自失か、テストを仕組んだ者たちに深い憎悪の目を向ける。
責任者・要は、そこで初めて、自分のテストのやり方が間違っていた事を自覚する。

7人が冷凍睡眠にかけられた後、要は同じプロジェクトに参加していた教官・貴士から、
先日生まれた自分の子供に、春の季語から「花」と名づけた、自分の娘も
7SEEDS計画の対象にして欲しいと頼まれる。

※この貴士先生はテスト終盤、安居と涼に「10数年後に隕石が降って文明が滅ぶ。俺の子供に未来は無い。 
 だから行ける可能性のあるお前らが憎い。テストで死んでも気にしない」と本心を暴露していた。

要は貴士の希望に応えて、花を最初から選ばれた子供として育てる。
サバイバル知識は叩き込むが、それ以外は普通に学校へ行き、友達を作り、恋のできる少女として。
夏のAチームたちに教えてやらなかった、人の情愛や絆を花には与えた。

はるか未来。覚醒した夏Aチームは、ガイドとして同行してきたかつての教官一名を、
その場で躊躇なく射殺する。
誰も俺たちを裁けない。誰も俺たちを救えない。
絶望と虚無を抱え、かつて抱いていた希望も夢もなく、
ただ「生きる」ためだけに、夏のAチームは未来に繋がる扉を開いた…


608 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/25(日) 20:58:47
>>606
すまない。ちょっと教えて欲しいんだが
>要は貴士の希望に応えて、花を最初から選ばれた子供として育てる。
>サバイバル知識は叩き込むが、それ以外は普通に学校へ行き、友達を作り、恋のできる少女として。
>夏のAチームたちに教えてやらなかった、人の情愛や絆を花には与えた。

ってのは何かの複線なのか?『かつての教官=貴士先生』で
唯一、人の情愛を知ってる花の目の前で親をあぼーんしたってこと?


611 名前:606 投稿日:2006/06/25(日) 21:15:55
>608さん
・夏Aに殺された教官は貴士先生ではないです。
・夏Aと花は、まだ面識ありません。

最新話までの伏線は、
・要は自分の計画を見届けるために、夏Bに混じって未来に行こうとしている。
・要の苗字は「百舌戸(もずのと)」。現夏Bの面子には「百舌」と名乗る男がいる。
 ただし、素顔はまだ見せていないので、要以外の誰かの可能性あり。
・貴士先生は愛する妻と生死を共にするが、娘だけは生き延びさせたかった(エゴだよ、それは!)
・夏Aが花と出会って、彼女が虐殺テストを私怨交じりにやった貴士先生の娘と知ったら、
 何をするか分からないというお膳立てが万全。
・花は、実父と育ての親・要が、この計画に深く関わっていた事をまったく知らない。
 自分は単なる偶然で選ばれてしまったと思い、怒っている。

こんな感じ。


634 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/26(月) 01:09:00
今までのログ読んで勝手に青年漫画と思ってた7SEEDが少女漫画であることを驚き
作者が田村由美であることで納得した。

相変わらずこの作者は少女漫画らしからぬものを描くなぁ(’A`)


691 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/26(月) 23:45:50
>>686
7seed…面白いが、一話ごとに後味悪いな。

 

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