ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その50 » マーヴルズ(カート・ビュシーク)

721 名前:マーヴルズ1 投稿日:2006/07/16(日) 01:51:13
アメコミ『マーヴルズ』より、後味悪いエピソード。

まず前提として、
知っている人もいるかと思うけれども、アメコミは同じ出版社の作品は基本的に同じ世界観を持っている。
たとえば、スパイダーマンとX-MENはともにマーヴル社の作品なので、同じ世界での出来事となっている。
で『マーヴルズ』という作品は、このマーヴル社の作品世界を、作中のカメラマンの視点で捉えたお話。
戦前から始まって、各時代ごとに独立したストーリーになっている。

で、その中の、1エピソード。
第二次大戦後、スーパーヒーローたちは一時期姿を消していた。
だが新世代のヒーローが現れ、また旧世代のヒーローたちも復活して、時代に活気が戻ってきた。
だが、それに呼応するように、暗い陰もまた存在していた。
ミュータント。
恐ろしい力を持った突然変異種に、人間たちは恐れを抱いていた。
いつかはその力で人間を支配するのではないだろうか。
主人公は、これは人類がスーパーヒーローと言う加護を得た代償なのではないかと思い悩む。


722 名前:マーヴルズ2 投稿日:2006/07/16(日) 01:51:48
そんなある日、主人公は群衆が集まって騒いでいるところに出くわす。
さては事件かと、カメラを持って駆けつけると、そこにいたのはミュータントの集団であった。
悪名高き、ミュータントテロリスト軍団X-MEN。
彼らが罪も無い作業員をいたぶっていたと言うのだ。
後に、彼らは落下した作業員を助けようとしていたという証言も出たのだが、そんなはずは無い。
彼らは人類の敵、ミュータントなのだから。
怒り狂った群集は、X-MENに物を投げつけ始める。もちろん、主人公も我を忘れて投石をしていた。
その行為にX-MENのメンバーのアイスマンが反撃しようとする。
だが、リーダのサイクロップスが彼を止めた。「そんな価値もない奴らだ」

そういい残して、彼らはその場から逃走した。

いままで、事件の記録役に徹していた自分が、群集に混じって投石するとは-
自らの行動に驚くカメラマンであったが、帰宅するとその考えも吹き飛んだ。
自宅で待っている妻とかわいい二人の娘が、ミュータントの奴隷になるような事があってはならない。
自分の行動は、家族を守るための正しい行いだったのだ。


723 名前:マーヴルズ3 投稿日:2006/07/16(日) 01:52:30
その事件からしばらくたって、仕事から帰ってくると街が騒がしい。
聞けばミュータントが、街中で目撃されたと言うのだ。
胸騒ぎがして、家に急ぐ主人公。
はたして、家族は無事であった。
だが、そこにはもう一人、娘たちがかくまっていたミュータントの少女がいた。
間近で見るミュータントの少女に恐怖と嫌悪感を覚える主人公。
だが娘たちのミュータントの少女をかばう訴えに、一つの光景を思い出していた。
それはかつて従軍カメラマンとして大戦中のヨーロッパに渡ったときに目撃した、戦災者達の姿。
目の前の少女は、それにそっくりだった。
人間もミュータントも無い。彼女もまた被害者なのだ。

そう思い、少女をかくまうことに決めた主人公はミュータントについて調査を開始する。
そして事実にあたってみて、自分が、そして世間が様々な誤解をしていたことに気付く。
X-MENにいたってはテロリストなどではなく、
むしろテロリストからアメリカを守ったこともあるヒーローチームでさえあった。
だが、それらの事実は時には報道されず、時には捻じ曲げられて伝えられていたのだ。
偏向報道に踊らされ、X-MENをテロリスト扱いしていた事を恥じる主人公。
そして、彼らであれば、ミュータントの少女を保護してくれるのではないかと思い至る。


724 名前:マーヴルズ4 投稿日:2006/07/16(日) 01:53:08
そうして、X-MENを探す主人公であったが、かつて彼らに投石をしていたことを思い出す。
「そんな価値もない奴らだ」
かつて、X-MENのリーダーが言った言葉が蘇ってきた。
彼らはあの世のことを覚えているだろうか。自分が投石をしていたうちの一人だと気がつくだろうか。
人命救助をした代償に投石を持って報いるような人間の言葉を信じてくれるだろうか。
そう考えると怖くなり、X-MENに接触する踏ん切りがつかなくなってしまう。

ところが、主人公が迷っている数日で情勢ががらりと変わってしまった。
反ミュータント派の急先鋒であるトラスク博士が作成した、
ミュータントハンターロボ「センチネル」が暴走を始めたのである。
パニックに陥る市民たち。
都市部では暴動まで発生する。
家族の身を案じた主人公が家に帰ると、泣きじゃくる二人の娘が待っていた。
ミュータントの少女がいないのだという。
彼女は、自分がいることで一家に迷惑がかかることを恐れて出て行ったのだ。
最後に残された書置きには、たどだとしく、
そして誤字だらけの文でかくまってくれた事へのお礼が書かれていた。

そして、主人公は再びミュータント少女と出会うことは無く、その行方を知ることも無かった。
彼女がどうなったのか、誰も知らない。


725 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/07/16(日) 01:59:25
それが後のジーン・グレイだったりしてほしい

726 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/07/16(日) 02:08:14
>>725
このエピソードの時点で、既にジーン・グレイはX-MEN入りしています。
書かなかったけど、最初にカメラマンがX-MENと遭遇したときにいました。
このエピソードのミュータント少女は、
その後のX-MEN関連のどの本にも出てこないので、本気で消息不明。

728 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/07/16(日) 02:13:00
>>726
「敵になって登場」よりもずっとリアルで強い後味の悪さだね。乙でした

729 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/07/16(日) 03:41:55
>>721-724
正統派の後味悪さだね。
主人公の人間としての弱さや偏見も理解できるし
しかしミュータント側に立ってみれば
これほどひどい差別もない。
後味わるー。

805 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/07/17(月) 19:35:27
>721
>726

その娘、助かってるよ。
対センチネル戦のエピソードが連載されてた時の扉絵に、
X-MENの一人がミュータントの女の子を助け出すカットがある。
その娘が「マーブルズ」の娘とそっくりなのだ。

確か日本語版「マーブルズ」の脚注にもその扉絵が出てたと思う。

 

マーヴルズ (Marvel super comics (No.046))
マーヴルズ
(Marvel super comics (No.046))


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