ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その52 » beautiful people(三原ミツカズ)

295 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/08/11(金) 08:43:45
明治か大正ぐらいの日本で、ロングヘアーでマントを纏ったイケメン吸血鬼が暗躍する。
いつものように通りすがりの女に襲いかかり血を吸い尽くして殺した帰り、
金髪碧眼の幼女が泣きながら歩いているところに出くわす。
幼女の口ぶりから、異人の血を受け継いだがために捨てられたようだった。
吸血鬼は幼女を拾って帰る。腹が減った時の非常食用に。
だが拾って三日で後悔した。幼女はとにかくしゃべりまくり姦しいのだ。
それでも見捨てなかったのは、幼女が同じ異形のものだからかもしれない。

日に当たると吸血鬼は死んでしまう。
なので青い空を見た事のない吸血鬼に幼女は空の話を聞かせる。
どんな色かと訊ねる吸血鬼に幼女は、自分の青い瞳を見せた。
「私がおじさんの空になってあげる」

非常食として生かしたまま20年がすぎた。
吸血鬼は変わらない姿のままだが、幼女は大人の女性へと育った。
ある日、男たちが女性を輪姦しようと襲いかかってきた。
助けようと無我夢中で駆けより、吸血鬼が覚えているのは
二人の男の喉笛を噛みちぎったところまで。
一人は逃げてしまい、噂が広まりもうその街にはいられなくなった。
吸血鬼と女性は廃屋となった教会に移り住む事になった。
恐ろしいのは十字架などではなく信仰心だと吸血鬼は語る。

何百と空の話を聞き、平穏な日々がすぎていく。
小さな町で、家畜すら襲えず吸血鬼は飢えを抱えていた。
だが長い月日の中でもう女性を非常食だと思う事はなくなっていた。
金の髪を白髪に変えながらもなお青い瞳を持つ女性は空を語り、
あなたにもあのキレイな空が見えればいいのにと、吸血鬼に言う。
「いいや私はもう空を手に入れた」

老いた女性は病であっさりと死んだ。だが吸血鬼は涙など流さなかった。
女性がどこにいるのか知っているから。真昼に教会の扉を開き、吸血鬼は空を見上げる。
「ああこれがあの青か」


302 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/08/11(金) 09:57:22
>>295
三原ミツカズの「beautiful people」だね。

 

beautiful people (Feelコミックス)
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