ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その61 » 幽霊船(高橋葉介)

519 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/23(土) 23:34:35
夢幻紳氏って漫画

不思議な力を操る紳氏が船に乗る。
すると、海の方を見ながらうなだれている中年男性がいた。
理由を聞くが彼は口をつぐむ。紳氏は能力で口を割らせた。
中年は結構な年になってから若い女性と結婚した。
幸せな日々だったが、妻と仲の良い若い男が気にかかった。
ただの友達だと言われていたが、そのあまりの仲の良さが引っかかる。
やがては不貞を働いているのではという疑惑に発展した。
しばらくして生まれた娘も、あの男の子ではないかと思えて素直に愛せなかった。
妻との仲も上手く行かなくなった。ある日、娘が井戸に落ちて溺死した。
妻は外出していた。中年は部屋にこもっていた。
娘の助けを呼ぶ声が部屋の中にも届いていたはずだと妻は責めてきた。
「私には娘の呼ぶ声が聞こえなかった。いや、本当は聞こえていたのかもしれない。
 聞こえていて、その上で娘の死を願ったのかもしれない……」

酒を飲み過ぎたのと船酔いのせいで嘔吐している青年がいた。彼も語る。
彼はとある名家の使用人だった。名家の息子は主人という立場にありながら、
優しく穏やかに青年に接し、青年にとっては1番の友人でもあった。
だが、時に友人に対して複雑な感情を抱く。
生まれながらに恵まれた彼への嫉妬。
まだ友人がその事を鼻にかけた性悪だったら見下しようもあったが、
友人は性根も良く、身分違いの青年を差別する事もなく、
その事が余計に青年を惨めにさせた。
女を知らない友人は、場末の酒屋の店員の女に恋をした。
青年がはした金をちらつかせただけで簡単に寝るような、そんな女だった。
だが友人は本気だった。青年が店員を抱いた事を知り、友人は自殺してしまった。
端正な顔は水で膨れてとても見れたものではなかった。
「俺があいつを殺したようなものだ…」


520 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/23(土) 23:36:18
なにかにおびえたような顔の少女がいた。彼女も語る。
少女は妾の子で、父の家では暮らせず、母と共に生活していた。
貧乏だがそれでも辛くは無かった。母が死ぬまでは。
母が死ぬと、父の本妻が自分の家にくるようにと言ってきた。
父ももう死んで繋がりなどないようなものなのに、なんてあり難い話だろうと
少女は思ったが、それは甘かった。少女は事あるごとに妾の子だと悪口を言われ、
使用人代わりに扱われすりきれるような日々をすごす事になった。
本妻はいつも眠る前に睡眠薬を飲み、寝入ってからしばらくは何をされても目覚めない。
ある夜、少女は本妻を殺す事を決意した。
寝入った本妻の顔に、濡らしたタオルを置いて呼吸のできないようにした。
「そして私は逃げました もうおばさまは生きてはいない 私が殺したんです…」

やがて事故が起き、船が転覆した。
紳氏は海中に潜り、沈んだ人々を助けようとした。
青ざめた顔の幼女が中年にしがみついていた。
ぶくぶくに膨れた男が青年にしがみついていた。
そして、少女の背にはなにもついていなかった。
紳氏は少女を助けた。

中年と青年は助からなかったが、紳氏と少女は生還した。
入院していた少女のところに、本妻がやってきた。
少女のたくらみに気付き、薬を飲まないでおいたのだと本妻は言う。
「もう家を出ることなんてないんだよ 私と死ぬまであの家で暮らそう ずっと」
本妻は不気味に笑いかける。少女はただ本妻に従う事しかできなかった。

 

夢幻紳士 (怪奇篇) (ハヤカワコミック文庫 (JA889))
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