ミノタウロスの皿(藤子・F・不二雄)

782 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/25(日) 06:43:21
「ミノタウロスの皿」(うろ覚え)

未来の話で、一人乗りの宇宙戦闘機かなんかに乗ってた主人公(青年)が機械の故障で、
とある星に不時着する。そこは地球によく似た美しい星だった。
付近を調査していると一人の可愛い少女と出会う。
少女は主人公を自宅に連れて帰り、手当てをしてくれる。
少女の家族たちも良い人で、いつしか主人公と少女は惹かれあっていく。
ある日、主人公と少女が薔薇の花園でデートしていると、誤って少女がバラのトゲで指をケガしてしまう。
もちろん指から少し血が出たくらいで舐めておけば治るようなケガだ。
しかし、ケガをした少女はパニック状態。疑問に思いつつ、少女を両親のところまで連れて帰る主人公。
そして少女の両親もケガを見て大慌て。両親は急いで医者を呼ぶ。ワケの分からない主人公だったが、
駆けつけた医者の姿を見て呆然とする。なんと医者は牛だったのだ。(二足歩行の頭のよさそうな牛)
医者に大丈夫と言われてホッと胸を撫で下ろす両親と少女。
主人公は少女達になぜあの程度のケガで慌てたのか尋ねた。


783 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/25(日) 06:44:34
少女はこう答えた。「私、今度お皿に乗るから綺麗な体でいなければならないの」
話を聴いていく内に主人公は気付く。この星は人間と牛の立場が逆転しているのだと。
だが、牛に支配されているのでは無く、人間は地球の牛のように大事に育てられていると。
そう。少女が過保護にされているのは"高級な肉"だからなのだ。
主人公は少女を助けようとして、少女に一緒に逃げようと説得した。
しかし、「お皿に乗るのはとても光栄なことなの。どうして逃げるの?」と、少女は言う。
この星では人間が食べられるのは当たり前なのだ。地球で牛が食べられるように。
頭では分かっていてもやはり少女を助けたい主人公は、乗ってきた戦闘機に戻り修理をする。
だが、うっかり足を滑らせて気を失ってしまう(←このへんうろ覚えスマソ)
気が付くと朝になっていた。そう、少女が皿に乗る朝だ。
慌てて食事会が行われる神殿へ向かう主人公。
神殿に着いたが、すでに食材が牛たちによって神殿へ運ばれている最中だった。
そして主人公は少女を見つける。少女は大きな皿の上に裸で座っていた。
「まだ間に合う!」主人公は皿を運ぶ牛たちに飛び掛ろうとするが、警備の牛たちに阻まれてしまう。
少女は主人公に気付き、皿の上から笑顔で手を振る。
主人公の奮闘もむなしく、少女の乗った皿は神殿の扉の中へと消えていった。
絶望する主人公に、あとから来た親切そうな牛が声をかける。
「どうしたんだいキミ?食事会を見学に来たのなら、もう始まるから急いで中に入りたまえ」

終わり。

子供の頃にビデオで見てトラウマになった。
大人になってから考えると、この星で異端なのは主人公なのだなと悲しくも思った。
なにが正解なのか分からなくなってしまうな、この作品は。


805 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/25(日) 13:41:00
>>783
そこで終わりじゃないだろ。
その後、主人公には救助船が来て、その船の中で、ビフテキを食って終わりだよ。

814 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/25(日) 15:07:36
>>805
そうそう、
食べながら「俺はビフテキを腹一杯食べてやった」みたいなナレーションが入るんだよな。
すげぇ悔しそうにガツガツビフテキ食うんだよ。

んで確か少女は、
食べられてる最中も周りの音が聞こえる機械を取り付けて貰って
「私の事美味しいって言ってくれてる声を聞く事が出来るのよ」
とか、主人公に嬉しそうに話すの。
子供心に何ともやり切れない気持ちになったなぁ。


818 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/25(日) 17:07:32
ミノタウルスは主人公が自分の矛盾に気づかないところがまた…

827 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/25(日) 18:36:06
>>818
ミノタウロスは、最後に泣きながら牛肉を食べる、というところに
頭でわかっていても感情で割りいれない葛藤を表したんだと思ったけどな。

 

ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
ミノタウロスの皿
(小学館文庫―藤子・F・不二雄
〈異色短編集〉)
藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 1 (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
藤子・F・不二雄大全集
SF・異色短編 1