ドッグヴィル

865 名前:映画ドッグヴィル 1 投稿日:2008/01/13(日) 00:46:30
ドッグヴィル(犬の町)という名の小さな山に囲まれた、貧しい時代の貧しい町。
そこに住む自称物書きの青年トムはある冬の夜、町の外れで銃声を聞く。
そして、しばらくすると町の入り口に一人の女性・グレースが現れた。
彼女は何者かに追われ、発砲されたらしい。追手らしい車が現れ、トムは彼女を隠す。
車にはギャングらしき男たちが乗り、後部座席のボスのような男がトムに女を見なかったか、
見たらここに電話を、と名刺を渡した。
理想主義で哲学者気取りのトムは彼女を匿うことにする。
人数の少ない町だから、隠すより町全体で彼女を匿おう、
そして町の人たちにも「寛大さと受容」を学んでもらおう、
そう思って
トムは町の集会で彼女を紹介し、町の人たちの仕事を彼女に手伝わせ受け入れてもらうよう画策する。
閉鎖的な町なので最初は誰もが彼女を警戒し距離を置こうとしていたが、
「今まで私は傲慢だった、誠実さをここで学びたい」とトムに打ち明けていたグレースは、
ひたむきに町の人々の仕事を手伝った。
やがて、人々は彼女の「友人」とも言えるようになっていくかのように思われた。

866 名前:映画ドッグヴィル 2 投稿日:2008/01/13(日) 00:47:52
季節が春から夏へと移り、人々と打ち解けたかに思えたグレースだが、
街のほうから警察が行方不明者の手配書を持ってきてから少しずつ町の人々の態度は変わり始めた。
彼女に雑用をさせることは当たり前となっていき、そのくせあくまで彼女をよそ者とみなすことは変わらなかった。
そしてある時、事件が起こる。
果樹園をやっているチャック(子沢山)がグレースを通報をネタに脅してレイプした。
果樹園の手伝いを経て信頼関係を築いたつもりだったグレースはショックを受けた。
グレースに好意を持っていたトムは彼女の様子がおかしいので問い詰め、その事件を知る。
しかし彼女は事を荒立てることは望まなかった。
だが、そのことでチャックと関係しているところを第三者に目撃され、彼の妻に詰られる。
チャックの妻はやがて彼女からではなく、夫から迫ったのだと悟るが、怒りを鎮めることはなかった。
人々の態度はより硬化しグレースに辛くあたる。グレースはトムに相談し、ドッグヴィルを出ることにする。
ドッグヴィルの運送業を担うベンに、友人として謝礼で10ドル渡して荷台に隠れさせてもらうのだ。
10ドルなんて報酬の少ないグレースにはなかったが、トムが自分の父に借りて用立てると言ってくれた。
かくしてベンのトラックで町を抜け出すグレースだが、しばらくして突然車が停まる。
そして何故かベンが荷台に入ってくる。道に警察がいる、お前は危険な積荷だ、
10ドルじゃ足りない、要はやらせろ、的なことを気弱な態度でくどくどと迫るベン。
なだめようとしても聞きやしない。
またもレイプされてしまうグレースだが、
「神が彼女に与えた前だけを見ようとする才能」のおかげで、
その後目的地に着くまで新しい街で生活することを思い馳せながら眠りに着く。
またトラックが停まり、荷台のカバーがはがされる。そこはドッグヴィルだった。
チャックが「お前が逃げそうだからベンが怪しいと思った」、
ベンが「見つかったから戻るしかなかった」と言い、挙句逃亡前日、
グレース以外の町の人間が集会中、トム父の金が盗まれたことがわかったという。

868 名前:映画ドッグヴィル 3 投稿日:2008/01/13(日) 00:48:24
当然のようにグレースに疑いがかかるが、
それはトムが父親から無断で拝借してグレースに渡した10ドルだった。
トムを思い、沈黙を守るグレース。
町の人々はグレースにベル付きの首輪、長い鎖、その先に鉄の車輪をつけ、彼女の自由を奪った。
トムは理想論という名の言い訳で、父に借金すると断られると思った、自分が盗んだとは言えないと言った。
グレースの自由が奪われたことにより町での労働はさらに過酷になり、
さらに夜な夜な町の男が彼女の家を訪れた。
グレースは容易に凌辱されることとなり、彼らにとってそれは最早性的行為ですらなかった。
この事態に及んでも、トムはグレースと肉体関係になかった。
グレースが「愛してるあなたとは自由の身になってから結ばれたい」と言ったのだ。
トムはグレースを集会に呼び、ここに来てから何があったか真実をすべて話すことを計画する。
トムの指示通り、感情的にならずできるだけ明快に真実を集会で語るグレース。
しかしグレースが退室すると、人々は「ウソだ」「トムはこの町とあの女のどっちの味方だ」と罵る。
さすがのトムもこの反応には呆れ、「なんて心の狭い人間たちなんだ」と集会所を後にする。
グレースの家を訪れたトムは、
「町を捨てて君を選ぶ、明日、もう二人とも殺されるかもしれない」などと囁き、彼女に関係を迫る。
「でも私たちの愛のためには今こうなることは間違ってる。あなたがしたいならしてもいい、
警察に通報すると脅せばいいのよ」グレースはトムを静かに諭した。
一旦は納得し、散歩をすると言って外に出たトムは考えた。トムは何かに怒りを感じていた。
彼女に対して?いや、彼女が正しいことを言って自分の考えが見透かされていたことに、だ。
若き哲学者(自称)である彼にとって、彼女はその瞬間に危険な存在となった。
そして彼はいつかもらった名刺を探した。

869 名前:映画ドッグヴィル 4(おわり) 投稿日:2008/01/13(日) 00:48:56
翌日、グレースは仕事から解放された。
町の人々も口々に「休養が必要よ」と言う。
トムは
「あの後またみんなで話し合った、君もゆっくりするといい。ところで小説書き始めたんだけど~」と自分語り。
何かおかしな気配を感じるグレース。案の定、トムはギャングに電話したのだ。
それどころか「ギャング来たときに彼女が自由にしてるより、監禁してあるほうがよくね?」
と提案し彼女の家の鍵を外から閉める。

そして数日後、真夜中にギャングたちの車が数台やってくる。
客人をもてなそうとするトムだが、ギャングはグレースはどこだと手荒い。
ギャングはグレースの鎖を急いで外させ、ボスの車に乗せた。
「謝礼なんてもらえないですよ、そりゃ是非にといわれたら考えますけどw」なんて言ってる場合じゃない、
トムは完全に空気が読めてなかった。グレースは、ギャングのボスの娘だったのだ。
ボスは娘に発砲を謝り、あのときお前に言われたことがすごく頭にきたのだ、と語った。
グレースは神の与えた権利(命)を奪うパパは傲慢だ、と父親を批判し、
ギャングの家督を継ぐことを拒否して逃げたのだ。
だがボスにしてみれば、他人の罪を許す、人が悪いんじゃない、
環境のせいだ、そんな口を叩くグレースのが傲慢だと言う。
戻ってきてほしいといボスを車内に置いて、グレースは外に出て町を見渡す。
私もこの町で育って、私のようなよそ者がきたら、彼らと同じことをするんじゃないか?そう考えるグレース。
しかし、そのとき月明かりに町全体が照らされた。月明かりでさらけ出された町は、
薄汚れて汚く、町の人々も同じように醜かった。彼らの罪を許すことで自分に彼らが救えるというのか?
今自分が許したことで、またいつか自分のような目に遭う人間が生まれるのでは?
決意し、グレースは父に言った。「この町を消して」ギャングたちは町の人間を撃ち殺し、火を放った。
トムは、グレースが撃った。町を去ろうとすると、ドッグヴィルの町の番犬モーゼスの鳴き声がした。
焼け跡の中、奇跡的に犬だけが残ったのだった。


872 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/13(日) 00:56:17
>>869
主演はニコールキッドマンだったね。
最後のオチ、ニコールキッドマンが権力を手にする姿が好きだったな。
映画というより演劇だったね。

877 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/13(日) 01:06:35
いや、正直ザマアミロと思った!
ただもや~んとするね、今さっき見終わったばっかりなんだけど。

ちなみに有名な話ですが「ドッグヴィル」は地面にチョークで町内見取り図を描き、
最低限な小物・家具等を置いたセット内で全編撮影されてます。
町内は壁がいっさいなく、スケスケ状態。それが「演劇っぽい」「舞台みたい」と評されてる。
特にチャックにグレースがレイプされる場面は
わざわざカメラが引きまくって、「何も知らずに日常を送ってる人々」なめ「グレースが犯されてる」、
という悪趣味かつ効果的な演出となっとりました。
集団内のことをいちいち把握したがりつつ、自分たちの醜い面とかからは目を背けてるのが浮き彫りとなっとります。


878 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/13(日) 01:14:45
>>865
乙。面白かった。
自分も後味の悪さよりスッキリしたw
元ネタは旧約聖書かな。

880 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/13(日) 01:25:03
ドッグヴィルの続編も出てたよ
タイトルも役者も違うけど後味の悪さはこっちかな
そうだ思い出した「マンダレイ」だ、親父役がウィレム・デフォーになってた

 

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